メガネの曇り part2
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これの他に長編として『白い紫陽花』という小説も書いているのでそちらもよろしくお願いします。長編は毎週土曜日の午後に更新しています。
新幹線と快速、バスに揺られること3時間。何もないと言っては失礼だが自然が豊かな一応故郷に帰ってきた。実家はこの辺で唯一の診療院をやっている。実家に行く前に昔よく行っていた神社にお参りに行くことにした。途中、近所のおばあさんに話しかけられた。
「あら、珍しい顔じゃない。いつ帰ってきたの?」
「たった今だよ。おばあさんこそ元気でよかった。」
「ここら辺も人が少なくなってきて働き盛りの若い子もほとんどいないから私たちが元気でいないと。そうだ。もう診療所には顔出したかい?」
「いやこれからだけど。一先ず帰ってきましたって報告を神様にしようかなって。」
「昔からあんたはこう言ったこと本当に欠かさなかったよね。」
「死んだ母さんと良くここにきてたから。癖になってね。行かないと気持ち悪いし、習慣みたいなものかな。」
「でも、次早く帰ってやんなね。なずなちゃんずっと心配してたんだから。」
「なずな帰ってきてるの?」
「もう2年くらい前になるかね。看護学校を卒業して都市部の大きな病院じゃなくて、わざわざこっちに帰ってきてくれたから。あんたのお父さんも喜んでたよ。」
なずなとは義理の姉のことで年は3つ上。自分が12の時に父親が再婚した時の女の連れ子。その女は1年後に田舎の暮らしが嫌だと言ってなずなを置いて出て行った。その時に父親と喧嘩して仲が悪くなった。あまり帰りたくなかったのはこのためだ。なずなは姉弟という感じではなく母親よりの近所のお姉さんという感じだった。仲は悪くなかった。近くに同世代の友達がいなかったのでいつも一緒にいた。自分が高校に上がると同時に都会の方の学校に行ってしまい、もう帰ってこないと思って自分も実家を出た。もう5年もあってないことになる。
「そうなんだ。神社にお参りしたらすぐに帰ってみるよ。」
おばあさんにはこう言ったが内心神社よりはやく実家に帰りたかった。
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