<13話> 天幕にて ~side:フェルナンド~
天幕で出迎えた壮年の男は、この国の宰相だという。
全員に椅子を勧めるなんざ、俺らに普段依頼を寄こす下級貴族と違って、身分や形式に拘りはないらしい。
(下位の貴族ほど、身分や権力に執着するもんなのか?)
宰相が依頼内容を確認し終わったところで、レウナスが傭兵の動きについて聞いているが、どうやら俺らの好きにさせて貰えるようだ。
(引っ込んでてくれるのは有難い。)
個を生かした戦い方を好む傭兵にとって、集団で動く軍など足手まとい、むしろ邪魔にしかなんねぇ。
それに魔獣相手に固まっていては、いい餌だ。
すぐに何匹も寄ってきて囲まれちまう。
身動きが取れなくなれば、奴らは一斉に襲い掛かって来る。こっちまで巻き添えになるのは、御免だ。
一区切り付いたようなので、エディからの頼まれ事を実行するべく、口を開く。
『【黎明】の副統領フェルナンドだ。報酬の変更を希望する。』
すると宰相が慌てて、「これ以上の増額は厳しい」と言う。
(言い方が悪かったか?逆に採られちまったな。)
「勘違いさせて済まないが、逆だ。報酬の内、金貨3枚を返上する。その代わり、魔獣の中に騎獣がいた場合、【黎明】が捕獲し所有する許可が欲しい。確か軍は、騎獣1頭を金貨3枚で買い取るんだろ?」
(ロートフの連中はともかく、【深紅】と【烈光】まで驚くこたないだろ。)
反応が返って来ないので、続けて理由を話すことにする。
「この依頼で初陣の奴がいるんで、そいつの騎獣を捕らえるのに、今回の異常繁殖は丁度いい機会だからな。もちろんそちらに迷惑は掛けない。」
しばらく無言が続いた後、王が宰相と将軍を傍に呼び、話し合っている。
「1頭ならば許可しましょう。それ以上捕獲したときは、こちらが所有します。」
ようやく宰相から許可が下り、打ち合わせが終わったのは烈の刻だ。半刻後には作戦が開始される事になった。
魔獣・・匹、騎獣・・頭と数えます。




