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第249話 衝撃

投稿がかなり遅れてしまってすみません!

ちょっと執筆の時間が足りず、やややっつけな内容になってしまったかも……

後で見返してやっぱだめだと思ったら修正するかも知れません。

「──あっ、アトさんが帰ってきましたよ!」


 腕輪の機能で渋谷ダンジョンのロビーへと帰還した春葉アトを迎えたのは、そんなクリムの歓声と、駆け寄るラウンズの仲間達だった。


「大丈夫!? はるちゃん、怪我してない!?」

「うん。見ての通り平気だよ、ゆぅちゃん。チヨと打ち合わせした通り、上手く行ったからね」


 特に彼女の身を案じていた百合原咲は、春葉アトの甲冑に大きな傷もついていない事に安堵のため息を漏らす。

 春葉アトの鎧に【聖痕/スティグマ】特有の茨の紋様が浮いていた事もあり、居ても立っても居られなかったのだ。【聖痕/スティグマ】の効果中は、あらゆる回復魔法を紋様が拒絶してしまうというデメリットが伴う事を知っているが故に。

 そんな百合原咲を宥めた後、春葉アトはその場に集まっていたラウンズのメンバーに向けて口を開いた。


「とりあえずもう【ノブレス・オブリージュ】も【聖痕/スティグマ】も使っちゃったし、今日は深層探索は止めておこう。そうでなくても今回は色々あったし、みんなも落ち着きたいと思うしさ」

「はーい」

「カメラも壊されちゃったし、買い直しッスよね~……」

「あぁ、それもあったね。それはまぁ次の探索までに各自買っておくって事で」

「了解~」

「折角だしこの際ちょっと良いの買っちゃおうかな~」

「私も~」


 そう話し合う彼女達の声は緩く、すっかり『解散ムード』だと言う事が窺える。

 少し離れた場所から彼女達の様子を見ていたティガーは解散する前に感謝の言葉だけでも改めて伝えておこうと、頃合いを見計らって春葉アトに声をかけた。


「なぁ、今ええか?」

「ん、あたし? 何かなティガーちゃん?」

「先ずは改めて感謝しとくわ。助けに来てくれておおきに。……見た感じホンマに怪我ないみたいで、一先ず安心したで」

「あ、私も改めて! ありがとうございました!」

「良いって良いって、気にしないで。こう言うのは助け合いだから。でも、心配してくれてありがとね!」


 頭を下げる二人にあっけらかんとした様子で答える春葉アト。

 その言葉にティガーは頷きを返す。


「助け合い……せやな。今度はウチがアンタの力になるさかい、何かあったら遠慮せず言うてくれや。微力ながら手助けさせて貰うわ」

「私も出来る限り力になりますね!」


 そう言って手を振りながら二人がその場を後にしようとしたところで、春葉アトが声をかけて二人を呼び止めた。


「あ、帰るのはちょっと待ってくれる?」

「ん?」

「はい?」

「二人とも、この後一緒に打ち上げ行かない?」

「……は? いやいや、それってラウンズの打ち上げちゃうんか? ウチらは……なぁ?」

「え、えぇ。それに私、そろそろ門限が……」


 遠慮するように目配せするティガーに頷いた後、ロビーの窓の外に視線を向けるクリム。

 現在の時刻は十八時を回った頃。八月とは言え既に日も暮れ始めており、外に見える空はすっかり茜色だ。

 ダイバーとしての実力は高くとも、クリムはまだ中学生。一人で出歩く娘を両親が心配する時間帯である事も、また確かだった。

 しかし、春葉アトはそんな二人になおも誘いをかける。


「良いから、良いから。……ね? クリムちゃんのご両親はあたしも説得するから」


 笑顔で手を振りながら、そう誘いをかける春葉アトの態度に違和感を覚えたティガーとクリム。

 『何か特別な事情でもあるのか?』そう尋ねようとしたティガーは、ふいに春葉アトがふりふりと振る手の形に既視感を覚えた。


──『作戦会議』

「──っ!」


 それは、彼女達が参加した対ゴブリン戦争で決められたハンドシグナルの一つだった。

 何かこの場で口に出せない話がある。そう理解したティガーは、彼女の意を組み一芝居付き合う事にした。


「クリム……折角のお誘いヤシ、ウチらモ参加スルカ!」

「……えっと、何で片言なんですか……?」


 もっとも、演技力が低いせいでかえって怪しまれてしまったが。




「──いらっしゃいませ~! 何名様ですか?」

()()です」

「空いてる席でおくつろぎください~」




「──いやぁ、壁際の席空いてて良かったね~。皆は何食べる? 今日はあたし、奢っちゃうよ~」

「せやなぁ。ウチ、今日はめっちゃ戦ったし、ガッツリ系がええなぁ~……──って、ちゃうやろ……っ!」


 ディナータイムと言う事もあってそれなりに賑わうファミレスの店内で、声を押し殺したティガーのノリツッコミがひっそりと炸裂する。


「なぁ、アト。アンタ打ち上げって言うたよなぁ……? 何でファミレスやねん……! 何で四人しか来てへんねん……! あのハンドシグナルなんやったんや……!?」

「まぁまぁ、落ち着いて」


 メンチを切るように近付けられたティガーの顔を手で優しく押し戻しながら、春葉アトが宥める。

 そしてテーブルの隅に立てかけられていたメニューを広げながら、落ち着いた口調のまま続けた。


「とりあえず、みんなドリンクバーは要るよね? ()()に入る前に、先ずは喉を潤わせて落ち着こうよ」

「……はぁ、分かったわ。折角の奢りやしな」

「い、良いんでしょうか……ごちそうになっちゃっても」

「はるちゃんが奢るって言ってるんだから、遠慮しなくて良いよ。私も遠慮しないし」


 そんな調子でそれぞれ注文を終え、ドリンクも用意し終えた頃。

 百合原咲が二人の気持ちを代弁するかのように、春葉アトへと問いかけた。


「……それで? 結局はるちゃんが態々二人を集めた理由って何なの? あの場で話せない事ってのはなんとなく察したけどさ」

「そうだね~……──うん。注文の料理が来るまで暇だし、そろそろ話そうかな」


 春葉アトはさり気なく周囲の様子を伺った後……小さな、それでいて至極真剣な声色で事情を明かし始めた。


「先ず、ダイバー協会……特に、渋谷のあのロビーは、既に悪魔の支配下にある──」

「な……っ!?」

「えっ……」

「──かもしれない……っ!」

「なんっ……やねん、それ……! ハッキリせぇへんなぁ……!?」


 『真剣な話がしたいのか、それともおちょくりたいのかどっちなんだ』と言いたげな視線を春葉アトに向けながら、もやもやした感情のままにツッコむティガー。

 しかし、春葉アトは表情を崩さずに続けた。


「あたしもチヨから聞いただけで、ハッキリ断言できる訳じゃないからね。だけど、どうも悪魔のリーダーは長い事協会のお偉いさんとして人間界に潜伏していて、ずっと暗躍してるって事らしい」

「……それ、信じて良いの? 相手はチヨとは言え悪魔だよ? 疑心暗鬼に陥らせる作戦って可能性も……」

「あたしの勘は信じて良いって言ってる」

「……なら……、信じるか……」

「なぁ。大事な確認なんやけど、これコントしとるわけとちゃうんよな?」


 春葉アトの直感が鋭い事はティガーも知っているが、内容が内容だけに信じ切ることが出来ない。

 クリムも同様で、先程から疑問符の浮かんだ表情で春葉アトと百合原咲を交互に見ており、どこまで信じて良いのか判断に困っている様子だ。


「……これでも大真面目だよ。今からあたしが伝えるのは、チヨから聞いた悪魔の裏事情。本当はヴィオレットちゃんにもこれを伝えたかったらしいんだけど……『もう次の機会があるかも分からないから』って、あの後あたしがチヨから伝えられた内容なんだ。他のラウンズにはいつでも私かゆぅちゃんから伝えられるけど、二人はそうも行かないからこうして打ち上げに誘ったって訳。だから、しっかり覚えて帰ってね」


 そして、春葉アトの口から衝撃の事実が伝えられた。

 ティガー、クリム、百合原咲の三人はその内容の重大さに悩まされ、この日の料理の味をほとんど覚えていなかった──それほどの衝撃だった。

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