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世界最高のパティシエ〜罪深き男の奮闘物語〜  作者: 茄子の皮
ローズマリン伯爵家御用達店
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貴族との契約

 商業ギルドにヒュードさんと向かい、副ギルドマスターのコルトさんを呼んでもらった。


「これはこれは、ローズマリン家の執事様ようこそおいで下さりました。」

 ペコペコと頭を下げたコルトさんが挨拶をしている。


 ヒュードさんは、ビシッと背筋を伸ばして挨拶している。


 これを見るだけで、力関係が分かってしまうな。4人して椅子に座り話が始まる。アリスは俺の護衛なのでついてきている。


「内容はキャンディスイーツ商会へのジャムの購入とクッキーなどの嗜好品の購入となります。数量は指定せず可能な限りで構いません。」


 値段はキャンディスイーツ商会の値段と同じで、数量の指定なし。普通に店で買えば良いじゃんと思ってしまう。


「貴族様の屋敷で使われていると商会で有利になり、他の商会に周知するために契約するのです。」

 コルトさんが説明してくれた。

 商業ギルドではどこの貴族様がどの商会と交流があるか、全て把握しているらしい。


「キャンディスイーツ商会は、トルマに一店舗だけなので、行商に買い付けを頼む事となるでしょう。」


「そうですね。離れた場所から在庫を補充出来れば良いんですが、そんな魔法みたいな事はありませんからね。」


「いえ、ありますよ。ダンジョンアイテムの共同バッグと呼ばれる変わった袋ですね。対のマジックバッグが同じ収納物を共有しているダンジョンアイテムです。」

 ダンジョンアイテムは、ダンジョンからしか発見できないアイテムで、人には作る事が難しいらしい。


 アリスを見るも首を横に振っている。物をアリスが取り込めばダンジョンポイントで作る事ができるみたいだが、共同バッグは見たことがないらしい。


「それで共同バッグは、どこで買えますか?」


「そうですね。ダンジョンアイテムでも共同バッグは、なかなか発見されませんので、オークションに出品されるくらいでしょう。」


 オークションは、王都近くの街で開催されるらしく、トルマからは馬車で10日以上の距離になるみたいだ。


「オークションに興味があるなら一度ネオンライトへとお越しください。カジノやオークションなど道楽の街と呼ばれています。各地のお金持ちが集まるので、商人には絶好の場所ですよ。」


 ネオンライトか。面白そうだけど、かなり遠いな。安全に行けるか分からないしどうしようかな。



 話をしていると、コルトさんが契約の書類を完成させて見せてもらった。ヒュードさんも確認してもらい、不備がなさそうなので契約完了となった。


「キャンディ様のギルドカードにローズマリン伯爵家との契約が登録されました。もしもトラブルや身分証明時には、ローズマリン家と交流があると証明されますので、行動には気をつけてください。」

 俺が変な行動をすれば、ローズマリン家と交流のある商会はこんな商会なのかとローズマリン家に不利益を与えてしまうらしい。


「それでは私は失礼します。キャンディ様の商会が発展することを願ってます。」

 ヒュードさんは帰って行った。



 ふぅ。疲れた。


「さすがキャンディ様。そこでネオンライトにはいつ向かいますか?」


 ネオンライトか。行ってみたいけどまだ準備が出来てないからな。

「そうですね。店に余裕が出来てから考えます。」


「8月のオークションが開催されますので、その頃に向かう事をオススメします。」

 今が5月なので、あと3ヶ月あるのか。


「分かりました。今日はありがとうございます。」


「いえいえ。キャンディ様にはお世話になってますから、今後ともよろしくお願いします。」



 商業ギルドでの用事も終わったから、キャンディスイーツに戻ろうか。




毎日朝7時に次話投稿しています。


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