自由市場
昼食を済ませ自由市場へ向かう。
自由市場は一本道に店が出店している場所みたいだ。一本道に100店舗ほどが並ぶ通りで、店は小さな屋台程であまり物をおく場所がなさそうだ。一番端は街の外壁近くになっている。
「いらっしゃい。出店か?」
出店受付のおっちゃんに話かける。
「はい。初めてなので、ここはどんな場所ですか?」
「ここは自由市場って言って、受付でお金を払えば誰だって店を出す事ができるのさ。今は10店舗程空いているね。」
出店場所代金は、場所と大きさによって変わるらしい。中央と受付付近は値段が高く、半端な場所は値段が安いみたいだ。
「それじゃここを貸してください。」
紙を見て空いている店舗を指名する。受付から一番遠く外壁側の店舗に決めた。値段は安く2000エルだ。端までくる客はなかなかいないので、安く借りる事が出来た。午後からなので更に値引きされている。
「まいど。時間は午後6時までだからそれまで頑張んな。」
おっちゃんから店舗の鍵を受け取り店に向かう。
「思ったよりもしっかりしてるな。」
店はカウンターと少しの物置だけの建物で、飲食店をするのは無理そうな作りだ。
カウンターに商品と値段を見せて、会計するだけの店舗みたいだ。
「それじゃ2000エル以上を目指して頑張ろうか。」
カウンターにキャラメルとクッキーを並べていく。ジャムも少し並べれば完成だ。ただ売るだけなら簡単な商品を並べてみた。
俺とアリスがカウンターに並びお客さんを待つ。
うん。
誰もこないな。
こんなに端までお客さんがくるのは、なかなかないみたいだ。
近くの店舗も暇そうにしているのが見える。
「向かい側は、魔法道具屋か。ちょっと見てみるか。」
「すみません。このスキルブックは何ですか?」
「ん?坊やスキルブックに興味があるのかい? これは解毒魔法と氷魔法だよ。」
腰の曲がった老婆が言う。この2種類しかスキルブックはない。他はポーションが並んでいる。
「いくらですか?」
「ん?買うのかい?冒険者じゃないだろうに、そうだね一つ50万エルだよ。」
二つで100万エルか。
「買います。ギルドカード使えますか?」
「買うのかい。いやギルドカードは使えないよ。現金のみだね。」
「わかりました。すぐに用意します。」
空間収納から100万エルを取り出しおばあさんに渡す。
「ほーぴったり100万エルだね。それじゃこのスキルブックは坊やの物だよ。」
おばあさんからスキルブックを受け取り、店に戻る。
「キャンディ様、お客様は一人も来てません。」
「ん?ああそうなの。」
正直スキルブックが買えただけで満足だ。
「もう!少しはやる気出してください。」
アリスに怒られてしまった。
「わかったよ。少しやる気出すよ。」
店の前に鍋を置きリンゴを入れて魔力を込めてかき混ぜる。火魔法で鍋を熱していくとジャムの完成だ。鍋を並べイチゴジャム、グレープジャム、オレンジジャムと作っていく。
「ウィンド」
風魔力を使いジャムの甘い匂いが、自由市場へ広がって行く。
お昼の時間も終わり、飲食店が休憩しているため他の匂いが減っている中、ジャムの匂いは広がりやすくなるだろう。
ジャムの匂いを嗅いだ人達が集まってくる。そろそろ始めるか。
「はい!こちらの4種類のフルーツジャム!一つ2000エルのところ今だけ1500エルです!在庫が無くなり次第終了となりますのでお早めにお願いします!」
俺は声高らかに話す。
「坊やはジャムを売っているのかい。どれ全種類貰おうかね。」
帰り支度をしていた魔法道具屋のおばあさんが買ってくれた。
「ありがとうございます!初お客様のおまけにフルーツクッキーをどうぞ。」
「ほう? ずいぶん綺麗に作るもんだね。味も旨いしこれで100エルなら安いんじゃないかい?」
キャンディスイーツでは80エルだが、お金の計算が面倒なのできりよく100エルにした。
「さあさあ。本日限りです。在庫が無くなる前にどうですか!」
「おい!俺も全種類くれ!」
「私はクッキーを全種類!」
「本当に1500エルなのか?要らないなら買わなくて良い?いやいや、もちろん全種類くれ。」
「この大きなビンに入れてくれ。ん?この大きさで5000エルだと!よし50個くれ!」
そこからは大変だった。市民だけかと思ったら、行商の商人達も集まってきてしまい、休む暇も無く午後6時まで売り方をした。
在庫は無くなる事はなく、まだまだスイーツ空間収納に入っている。ただビンが無くなりそうなのが困るな。
「キャンディ様にやる気を出してなんてもう言わない。」
アリスは疲れきった顔で言っている。
うん。可愛い。
俺ももうこんな事はしたくないな。
店を片付けて宿に戻る。
今日は疲れた。
明日はトルマの街に帰ろうかな。
翌日、トルマの仕事人の護衛の元、トルマの街へ帰宅した。
馬車が無かったから購入したのは痛い出費だった。
馬と馬車どこに置こうかな。
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