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世界最高のパティシエ〜罪深き男の奮闘物語〜  作者: 茄子の皮
お菓子屋キャンディスイーツ
32/95

ジェーンの提案とマリームの不満

 トルマの宿で目を覚ます。お金があるので、少し広めの部屋に変更してもらった。


 起床して、宿の食堂で朝食を注文したべる。食後に食堂のフルーツジュースを満タンにして、店へ向かう。食堂では足りなくなったら、キャンディスイーツに買いに来てもらう事に、なっている。朝だけは、俺がいるので補充していくのが日課になっている。


 店に向かいフルーツジュースなどの在庫を補充していく。冷蔵の魔法道具も稼働し、冷たいフルーツジュースも買える様になっている。

 魔法道具のエネルギーとして魔石が必要だが、冒険者のお客さんが、無料で持ってきてくれるのだ。

 ゴブリンやウルフの魔石だと買い取りが安いので、持ってきてくれるのだ。変わりに飴玉やクッキーをプレゼントするようにしているので、大量の魔石が集まっている。


 これならフルーツジュースの在庫を作っても、悪くなりにくいだろう。多くの魔石を入れて置けば、1日中冷たいフルーツジュースのままに出来るのだ。


 ジャムなどの在庫はあるが、キャラメルの在庫がなくなっていた。キャラメルも大量に在庫を増やして置く。キャラメルのビンは注文した鍛冶屋がわざわざ持ってきてくれたので、用意できた。



 厨房で作業をしていると、ジェーンさんがやってきた。まだお昼には早いけどどうしたんだろう?


「店長!私新商品が売りたいです!」

 ジェーンさんが必死の表情で言ってくる。


 新商品?


「お庭でフルーツジュースを飲んでいるお客さんが、食べる商品を開発します!皆近くのパン屋のパンを買って食べているので、キャンディスイーツで売れば大儲け出来ます!」


 確かにクッキーだけだと、外で食事するものでもないからもったいないのとは思っていた。シフォンケーキの出番かな?


「私が料理を出せば売上もあがり、私の料理の腕も上がります!どうでしょう。」

 ジェーンさんは、料理人を目指しているから、キャンディスイーツで腕試しをしたいのか。自分の店じゃないから好き勝手できないが、新商品くらいなら良いと思う。


「どんな商品ですか?」


「これです!このキャラメルパンです!ふわふわの丸パンにアーモンドを混ぜたキャラメルクリームを入れたパンになります!キャラメルクリームは固くなりにくい温度で調理したので、半日くらいなら大丈夫です!」

 見本としてパンを食べてみる。味は悪くない。パンもふわふわで美味しい。


 近くのパン屋ではジャムパンが売られているが、キャラメルクリームのパンはなかった。面白そうだし、任せてみるか。

 丸パンはジェーンさんが作ったパンらしい。原価いくらだろう?


「分かりました。いくらでどのくらい売りますか?」


「そうですね。1個200エルでどうですか?パン1個20エルで1個キャラメルが50エルなので。毎日100個限定にします。それ以上になると大変なので。」


 一人でパン100個を作るのは大変だからね。店の厨房で調理できるみたいだからやってみるといいさ。


「分かりました。1個200エルで販売してみてください。それなら契約しましょう。200エルの内20エルをジェーンさんに渡します。材料費と売れ残りは、店で負担します。どうですか?」


「良いんですか!ありがとうございます!まさか売上まで貰えるとは思いませんでした。調理できたらいいな〜くらいで言ったので、良かったです!」

 ジェーンさんは嬉しそうに話している。ギルドカードを使って契約する。


 1日100個なら2000エルがジェーンさんの取り分になる。店は材料費引いて11000エルになる計算だ。悪くないな。


 ジェーンさんが走って行き、マリームさんを連れてきた。


「店長私も良いアイディアがあります。」

 元商業ギルド職員のマリームさんが良いアイディアか。どんなアイディアだろう。


「まずこの店には、会計機がありません。商品の値段を登録すれば、簡単に会計が出来る魔法道具です。この魔法道具があれば会計の待ち時間と、売上の集計が倍以上短縮できます。商業ギルドで売っているので、検討してください。次にキャンディスイーツをFランク商会からランクアップする申請を商業ギルドで早めにしてください。この売上でFランクでは、ありえません。売上だけならCランク商会以上あります。ランクが上がれば貴族様からの注文も出てくるでしょう。それだけこの店の成長率はすごいのです。次が一番大事なのですが、私達にもケーキを作ってください。初めての4人には、振る舞って後の私達には、ないのは悲しいです。ジェーンさんが言うには、ロイヤルスイーツ商会よりも美味しいと言うでは、ありませんか!なぜこのキャンディスイーツでは売らないのですか!ケーキですよケーキ!ローズさんなんか、とても楽しみにしているのに、店長は店にいないし、どうしようと思っていたら、今日!ついに店長が店に来たので言いました。この3つをお願いします。」

 マリームさんが早口で言ってくる。

 肩で息をするほど呼吸が乱れているな。


 なるほど。ケーキが食べたいんだな。あとは商業ギルドに行けば解決するだろう。


「分かりました。どんなケーキが良いのか考えてください。出来るだけ頑張ります。あと今から商業ギルドに行ってみます。ジェーンさんのパンは今日から販売しても大丈夫です。それでは行ってきます。」

 俺は逃げる様に店を出ていく。


「ケーキ。ロイヤルスイーツ商会よりも美味しいケーキ。」と接客していたローズさんに言われたので、笑顔を見せて逃げる。


 大丈夫。いつか作るから。



 早足で商業ギルドに到着した。


 今日は冒険者ギルドで特訓は出来そうもないな。





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