カルロ王子のお妃選び 11
あらかじめ決められた順番で前に出ては、一人一人、恭しく名乗ってアピールポイントを一言添えていく。
「1番、アデラーイデ。お裁縫が得意です」
「2番、アドリア。お裁縫が得意です」
「3番、アドリア。ダンスが得意です」
「4番、アガタ。歌が得意です」
「5番、アニェッラ。三カ国語を話せます」
「6番、アニェッラ。バイオリンの演奏が得意です」
同じ名前も多い。
アリアンナの順番は、意外に早くて132番目だった。
「132番、アリアンナ。お料理が得意です。カルロ王子殿下の好みに合わせてお作りいたします」
何を喋るのか聞かされていなかったレーナは、愕然とした。
アリアンナは、一度も包丁を握ったことがなく、鍋でお湯を沸かしたことさえない。それで料理が得意とか、口に合わせて作るとか、できないことばかり並べ立てている。
終わると、ホッとした顔でレーナの元に戻ってきた。
「しっかりアピールできたと思わない?」
「手料理を食べたいとご所望されたらどうするおつもり?」
アリアンナはキッとレーナを睨みつけた。
「その時はレーナが作るんでしょうに。くだらないことを聞かないでよ」
「は?」
「レーナの料理はどれも美味しいでしょ。きっと王子も気に入るわよ」
どうせそんなことだと思った。
「もしも結婚ということになったら、一生嘘を続けるつもり?」
「うるさいわねえ。結婚してしまえばこっちのもの。あとはどうにかなるわよ。王室料理人がいるんだから、お妃様が作ることはないでしょうし」
結婚した後はプロの料理をお手製だと偽るつもりなのだろう。
騙される方が悪い。そんな悪意が透けてみえる。
ド派手なドレスのフランカが、満月のような満面の笑顔で前に出てきた。
「あ、フランカだ」
何を言うのか興味のあったレーナは耳をすます。
「458番、フランカ。笑顔がチャームポイントです。それと、話題が豊富です」
これはあながち嘘ではないと思った。
カルロ王子とランベルトは、オペラグラス片手に、会場から見えない場所でお妃候補たちを見ている。
「例の料理人は出ていませんね」
「そうだな」
「あ、ホール係です」
ドレスアップしたフランカが前に出てきた。
彼女を見たランベルトは、(綺麗だ……)と思った。
(バカ! 騙されるんじゃない! あの女の性格の悪さは誰よりも分かっているじゃないか!)
ドギマギしつつ、カルロ王子の反応を見ようと話しかける。
「あのフランカが参加していますよ」
「ここから見ていると、店とは別人だな」
「いくら着飾っても、中身を知っていますからね。あのドSではお妃に相応しくない」
「では、そなたに譲ろう」
突然何を言い出すのかと、ランベルトは困惑した。




