カルロ王子のお妃選び 12
「いえ、結構です」
「今、フランカを綺麗だと思っただろう。君の本音はそこにある。好きなんだろう」
「わ、私が……フランカを……。そんな、そんなことは決してありません。あの女は私をバカにする。顔を合わせればいがみ合う仲です」
「虐げられることに快感を覚えるのも、一つの愛の形だ。何も恥ずかしいことではない」
そんな恥ずかしいことを、「したり顔」で言われても困ってしまう。
「ナナナナ! ナニヲオッシャッテイルノデショウカアアア! カルロオウジハア!」
あまりに動揺が激しくて混乱したランベルトの声は上ずり、発音はカクカクしてしまった。
カルロ王子はおかしくて噴き出した。
「意識しているとちゃんと顔に出ているというのに。自己欺瞞はよせ。人は自分に嘘を吐けないんだよ」
ランベルトは動揺が収まらない。冷静さを取り戻すまで軽く半時ほどかかった。
「カルロ王子の思い違いです。謹んでお断りさせていただきます」
「違っているというなら、すまなかった。だが、自分の欲望には正直になっていいんだぞ。私と違い、君には好きな伴侶を求める自由と権利がある」
「カルロ王子……」
カルロ王子の哀しい本音を、長い付き合いで初めてランベルトは聞いたのだった。
園庭では、自己紹介が続いている。
「825番、ジルベルタ。回文が得意です。世界を生かせ!」
「826番、ジルベルタ。動物の物まねが得意です。ワンワン!」
目立つように個性重視で選んだ特技が、もはやお妃の資質と関係なくなっている。
数千人もいるので、一日では終わらない。あらかじめ4組に分けて、アリアンナ、フランカは一日目の組であった。
最後の人が終わったときには、とっぷりと暗くなり、空には赤い月が浮かんで一番星が光っていた。
司会が閉会の挨拶をして終了である。
「一日目のお妃選びはこれで終了となります。皆さま、お疲れ様でした。一次選考通過者には後日連絡が行きます」
長時間に及ぶ緊張の連続で、皆、ぐったりしていた。途中で倒れる者もいて、救護テントは大混雑であった。




