カルロ王子のお妃選び 2
急いで城に戻ったカルロ王子は、国王夫妻に説明を求めた。
「お妃選びのような大事な話を、私抜きで決められては困ります」
「カルロ王子、いずれは結婚しなければなりません。あなたには将来ヴェントーネ王国を担ってもらうのですから、しっかりしたお妃が必要です。時間はいくらあっても足りません」
お妃選びは難しい。長い期間を選別に費やすことになるだろう。それこそ、一年、二年で終わるかどうか。今から始めても遅くないというわけだ。
「しかし……」
しつこくごねしようとするカルロ王子に向けて、王妃が深い湖のような緑色の瞳でカルロ王子を見据えた。
「すでに心に決めた人でもいるのですか?」
一瞬、レーナがカルロ王子の頭に浮かんだが、まだ早いと否定した。
「いいえ……、おりません……」
まったく誤魔化せていない。
分かりやすく動揺するカルロ王子に夫妻はピンときた。本人がまだ意識していない好きな娘がいるのだと。
しかしすでにお触書を大々的に出したあと。
民の期待が高まっているここは、あえて気付かぬふりをする。
「それならよいではないか」
「少なくとも、そのような場所に出てくる娘から選ぶ気にはなりません。お妃は自分で選びます」
「ふ……。カルロ王子もまだ青い。あなたは知らないのです。世の中には狡猾な性悪女がいて、虎視眈々と王子を狙っていることを。悪魔のような人間は、最初に天使のような顔で近づいてくるものです。それこそ、真の意図を悟らせずに相手の懐に入り込む術に優れている。そんな女にカルロ王子が捕まって、王室に入り込まれたら大変なことになります。穢れた血が一滴でも入れば、王室が中から腐ってしまう。そんなことになってみなさい。ここまで繁栄させてくれた先代王に顔向けができません」
大げさなことを言うとカルロ王子は呆れた。
「そんなことは決してありません。しっかりと見極めて選びます」
「本人だけが気付かないものなのです。今回の園遊会参加者は推薦された子女限定。身元が確かで近所でも良い評判なら、幼少からの教育もしっかりしていて気立てもよいでしょう。お前はその中から気に入った娘を選べばいいのです」
「………………」
一見もっともな意見に聞こえるが、親から与えられた世界の中だけで生きろと言われているようなもの。自由などない。
だが、結婚を約束した娘のいないカルロ王子には断る理由がない。
全てはヴェントーネ王国繁栄のために、親がしっかり考えた結果である。
カルロ王子は受け入れる代わりに、「当日、私は顔を出しません。どうせ自分で選べないのですから」と、条件を出した。
「いいのか? こちらで選んで」
「最終的には、私とお相手との合意を得るものとしてください」
「分かった。きっとカルロ王子が気に入る娘を選ぶから」
国王と王妃は、カルロ王子が同意したのでホッと笑った。




