カルロ王子のお妃選び 1
お城では、カルロ王子の父母である国王と王妃が、人払いした金色の間でヒソヒソ話し合っていた。
「カルロ王子も18歳になりました。そろそろお妃選びをしないとなりませんね」
「どこかにいいお妃候補はいないもんだろうか」
貴族の中に二人の気に入る令嬢は見当たらなかった。
「国中にお触れを出してみてはいかがでしょう」
「一般から選ぶのか?」
「はい。良い娘がいれば万々歳ですし、いなければ諸外国から迎え入れることにしましょう」
「それならいいだろう。そうしよう」
本人抜きで話が決まり、お妃選びの園遊会を開く旨のお触書が国中に貼られた。
たまたまお忍びで市中を散策していたカルロ王子は、偶然お触書を目にすることとなった。
(なんだ⁉ このお触書は! 私のお妃選びだって? 聞いていないぞ! いつの間に決まったんだ!)
びっくり仰天。
お触書の前でワイワイと庶民たちの話し合う声が耳に届く。
「見てみろよ。とうとう、カルロ王子のお妃選びが始まったぞ」
「今回は一般から選ぶのか。さすがは我らの王様だ」
「これは楽しみだ。どれほど器量よしの娘が選ばれるのだろう」
「あの子はどうだ? ほら、ボニファーチョのところの……」
カルロ王子はドキリとした。
「フランカだろ?」
「ああ、そうだ」
(レーナじゃないのか)カルロ王子はがっかりする。
「あの子も確かに器量よしだ。あの毒舌が治れば、可能性はあるかもな」
「あれがいいんじゃないか。ツンデレだぞ」
「それはお前の趣味だろ」
ワハハと野太い笑い声が広がる。
「ところで、カルロ王子の顔って知っているか?」
カルロ王子は、思わずフードを引っ張って目深に被り直す。
「いや、知らない」
「生まれた時以来、見たことないな」
人々は一様に首を傾げた。
国王夫妻の方針で、王子王女は、成人、もしくは結婚するまで、表に顔を出さないことになっている。
暗殺や誘拐の危険を回避するためだが、そのお陰でカルロ王子は自由に市中を歩き回れるのだ。
「この園遊会で初お披露目されるんだろうな」
「噂ではかなりのイケメンらしいぞ」
「王様が男前、王妃様も三国一の美女だものな。イケメンなのは間違いない!」
「へえー、楽しみだ」
「早く拝みてえ。目の保養になる」
「男なのに?」
「あやかりたいんだよ」
期待値が上がってしまって、カルロ王子は耳がこそばゆい。
(今回の園遊会で顔を出さねばならないのだろうか)
そうなると、今までのように自由に外を出歩くことが難しくなる。
それは、カルロ王子にとってとてもつまらないこと。これからの日々が灰色になってしまう。
結婚相手もまだ決める気にならない。
一気に気が重くなる。




