EPI.015 2026年9月27日 第60回-スプリンターズステークス- 予想パート
「なんか、この空気少し久しぶりだね」
「六月の宝塚記念以来だから、およそ三か月ぶりくらいかしら。私は毎週末競馬を見ているからあまり久々という感じはないんだけれど、瑞希パイセンや、G1レースを楽しみにしているファンからしたら待ちに待った日ってことになるかしらね」
「……私はそこまで待ち遠しかったわけでもないけれど、ま、いいか。で、今度はどんなレースなの?」
「今週末開催のレースは、スプリンターズステークス。中山・芝の1200メートルの条件で行われる、文字通りの短距離のG1よ。日本だと、年に二度しかない短距離G1レースのうちの一つね」
「短距離戦って、たった二回しかないんだ? 競馬だと短距離って、意外と王道じゃないんだね。オリンピックとかだと100メートル走とか花形なのに」
「王道という意味だと、日本競馬ではクラシックディスタンスがそれにあたるのかしらね。けれど、短距離戦もとても面白いものよ。わずか一分ほどで決着がつくレースに、技術と能力が極限まで凝縮されるの。スタート、展開、位置取り、駆け引き、そして最後の直線の鍔迫り合い――。すべてが一瞬一瞬で展開していき、勝てるのはそのすべてが嚙み合った馬だけ。この緊張感と熱気は、ほかの距離では味わえないわ」
「はえー、達人同士の試合みたい」
「いい例えだわ。そんな極限のレースにもかかわらず、最終的には泥臭いド根性全開な意地の張り合いになることも多いの。最後の直線では走っている子たちの顔を見ることをお勧めするわ。鬼気迫るものがあるから」
「今回の本命はどの子なの?」
「今回の私の本命は、13番パンジャタワーよ」
「あれ、なんか聞いたことある名前かも」
「いい記憶力してるわねパイセン。六月の安田記念で私が対抗馬に挙げさせてもらった子よ」
「ああ、なるほど。だからか」
「対抗には、阪神JF桜花賞の二冠からオークスで大敗に沈み復権を狙う9番スターアニスを選ぼうかしら。三歳馬だから斤量の有利もあるしね。あとは紐候補として三年前のスプリンターズS覇者の3番ママコチャ、二年前のスプリンターズSの覇者で去年末も阪神Cを制しなお充実期の11番ルガル、近走で安定した成績を残している16番ピューロマジックあたりを満遍なくと言ったところかしらね」
「たくさんお馬さんの名前が挙がっていたけれど、その中でパンジャタワー君を本命にしたのはどうして?」
「今回は出走馬の構成が逃げ・先行馬に偏っているわ。加えて、抜群の先行力を持つピューロマジックが大外の16番に配置される枠順の妙も重なっている。であれば、レース展開は十中八九、ハイペースでの苛烈な位置取り争いが予想されるわ。近年のスプリンターズSが逃げ先行勢に有利であることや、渋り気味な天候からの馬場状態が気になるところではあるけれど、それを差し引いても中団から勝負できる馬、つまりはパンジャタワーのような差し競馬が得意な馬が最も有利と判断したの」
「……なるほど。聞いておいてなんだけれど、理屈がさっぱりわからないや」
「競馬予想っていうものは、言ってしまえば勝手な妄想よ。理屈なんてあってないようなものだから、分からなくて当然よ」
そう言って、まりあは控えめな言葉とは裏腹に強気な顔で笑う。
「それで、買い目はどうするの?」
「枠順が発表されて本命を決めたあたりではパンジャタワーからの馬連流しを想定していたけれどね、ふと思い出したの」
「なにを?」
「前回の宝塚記念で負けちゃったから、まだワイドで的中を出していなかったでしょう? だから、今回はそのリベンジ。人気も程よくバラけているし、今回もワイドで勝負よ」
「じゃあ、13番と、さっきたくさん挙がった子たちの組み合わせのワイド馬券ってこと?」
「いいえ。今回はせっかくだから、ボックスで買うわ」
「ボックス?」
「むかし、数学の授業で習ったでしょう? 候補に挙がった子たちから二頭の組み合わせを総当たりで選ぶ買い方、それがボックスよ。今回は本命のパンジャタワーを含め候補が5頭いるから、5頭ボックスね。さて、パイセンにクイズです。全部で何通りになるでしょう?」
「えっと、10通り、かな?」
「はい、正解です。やるぅー、即答できるなんて、やっぱりパイセン競馬の才能あるわね」
「……すっごいテキトー言ってるでしょ」
競馬の話題となると途端にテンションが高くなるまりあに、瑞希は呆れ気味に息を吐く。
そして、少しだけ懐かしさを覚えるそんなやり取りに、心地よさを感じていた。
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第60回 スプリンターズステークス 竜ヶ崎まりあの買い目
単勝:13 20,000円
複勝:13 30,000円
ワイド:ボックス 3,9,11,13,16
各5,000円
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合計: 100,000円




