シーナは聖剣騎士団?
作戦会議後、サルヴァン公の勧めで城内で夕食が振る舞われることになり、一行はサルヴァン城の食堂へと案内される。
流石は行商の町。豪華な食堂に種類豊富な食材で調理された料理が所狭しと並んでいた。
「お、おぉ.......」
見たことも無い豪華な食卓にソウルは戸惑ってしまう。
「.......」
「す、すごい料理だね」
シーナは隣で目を輝かせ、レイはあははと笑っているがその顔が少しひきつっているように見える。
「それでは、皆集まりましたな?」
サルヴァン公が両手を広げて辺りを見回す。隣にはジャンヌとケインが座っている。どうやらケインはサルヴァンの騎士団長のようだった。
.......そう言えば、イーリスト国の騎士団長って誰なんだろう?ジャンヌ様なのか?
「此度はかの有名な聖女ジャンヌ様率いる聖剣騎士団の皆様に来ていただいている。これはあの生意気な獣共に一矢報いてやる最初の1歩となるだろう!」
サルヴァン公は聖剣騎士団と他に集まった貴族と思われるお偉い様方にそう呼びかける。
「それでは、このサルヴァン繁栄の為に!乾杯!!」
そう言って乾杯の音頭がとられた。
「うん、上手いな」
隣でデュノワールが美味そうに肉を頬張っている。
「そ、そうですね」
ソウルも料理を口に運ぶが、あまり口に合わなかった。なんというか...高級すぎる味、というのだろうか。もっと質素な味の方がソウルは好きだ。
「デュノワールは何食っても上手いしか言わないから」
「あぁん!?」
「見苦しいぞ、お前たち」
喧嘩を始める2人をジェイガンが抑える。
「うーん、でもこの味付け確かにイーリストではあまり見ないよね」
レイは不思議そうに料理を持ち上げる。
「それは、南の亜国フェラルドの特産品である香辛料を使った料理です」
振り返るとそこにはサルヴァン公が立っていた。
「これは、サルヴァン公。どうされたのです?」
ジェイガンが尋ねる。
「いや、なに。今回の任務のためにはせ参じてくれた騎士団の皆様にも挨拶をと思いましてね」
そう言って聖剣騎士団の面々を品定めするような目で見渡す。正直、かなり気分が悪い。
「ほぉ、銀の髪に深紅の瞳。失礼ですがあなたは【ジャガーノート】ではありませんか?」
サルヴァン公はシーナの顔を見て驚いたように尋ねる。
「.......はい」
対するシーナは短く返事をした。
「そうですかそうですか。いやはや、まさか伝説の存在であるジャガーノートまで団員に加えているとは、ジャンヌ様の人望の高さが伺えますな」
「いえシーナは...むごっ」
ソウルが口を挟もうとしたその時だった。
「えぇ、そうなんです。うちの大事な団員でね。若いけど実力も申し分ない、立派なメンバーですよ」
デュノワールがソウルの肩に手を置いたかと思うと流れるような動作でソウルの口を塞ぎサルヴァン公に告げる。
「ほぉ、それはそれは」
サルヴァン公はじっとシーナの顔を見た。
「.......っ」
デュノワールの意図が読めずソウルは思わず彼に問い詰めたくなる。しかし、レイの隣に座るマリアンヌがしーっと小さく口に指を当てていた。
「ご期待申し上げますよ。若き聖剣騎士団のジャガーノート様」
そう言ってシーナの手の甲にキスをした。
ーーーーーーー
「さっきのは何だったんです?」
ソウルは拠点に戻る道中でデュノワールに尋ねる。
「何の事だ?」
デュノワールはあっけらかんと答えた。
「いや、だからシーナは...」
「.......ソウル」
ソウルが続けようとするとシーナが横槍を入れる。
「.......私は聖剣騎士団のメンバーだよ?」
.......は?ソウルは思考が停止してしまう。
「ほぉ」
ジェイガンが少し驚いたような顔をする。
え、ちょっと待ってくれよ。いくらシーナが聖剣騎士団に入ることを止めないつもりでいたとはいえ、こんなあっさりと!?
ソウルは困惑してレイを見つめる。するとレイは真剣な眼でソウルに目配せした。
「見習いはぼくら2人だけだけど、頑張ろうソウル」
レイも訳の分からないことを告げる。
「.......っ」
ソウルは困惑してしまう。何だよこれ。おれ達が一緒にいた時間はそんなあっさりと切れてしまうようなものだったのか!?
ソウルは目の前が真っ暗になっていくのを感じた。




