ソウルの部屋
この日ソウルはようやく借りられそうな部屋を見つけることができたので、引っ越しをする事になっていた。
流浪の身だったこともあり、大きな荷物はない。しかし生活必需品の購入など手間のかかることがたくさんあった。
そのことをオリビアに相談すると「一緒に見に行きましょう!」と協力を申し出てくれた。
そしてそれを聞いていたシーナも「手伝う」と言って付いてくることになる。
それをレイに伝えると「.......ぼくも行かなきゃいけないかぁ」と言って付いてくることになった。
別に無理して来なくてもいいと伝えるが「いや、そういう問題じゃないんだよ」と疲れきった顔で呟いていたのが印象に残っている。
「では、まずは何から行きましょうか?」
先頭を歩くオリビアが振り返りながら尋ねてくる。
「まずは部屋を見に行こう。買ってからサイズが合わないとかがあると面倒だし、向こうに使えるものがあるかもしれない」
「あー、なるほどなぁ」
ソウルは引越しをした事がなかったのでやり方は2人に任せることにした。シーナも黙ってついてくる。
ソウルが借りたのは町の外れにある集合住宅で、6畳ほどの部屋が1つ。風呂場に洗面台、トイレなど必要最低限の設備が備わっている部屋だった。
建物は木材建築で床はフローリング、壁は白い塗装がなされており、孤児院のソウルが暮らしていた部屋に似ていると感じ、即決でこの部屋に決定した。
「ここがソウルさんの新しい部屋なんですね」
部屋に着くとオリビアはキョロキョロしながら部屋を物色する。
「キッチンには.......鍋にフライパン、その他もろもろ.......色々揃ってるね」
レイもふむふむと頷きながら調理器具を並べていく。
なるほど、確かに少し古びているがまだまだ使えそうな料理器具の数々が揃っているようだった。
「ソウルは料理するの?」
するとシーナが窓を開けながら尋ねてくる。
「あぁ、料理は孤児院の頃からやってたし、旅の間もおれがメシ作ってたから、まぁやるんじゃないかな?」
「そう。じゃあ料理はソウルに任せるね」
.......は?
空気が凍りつく。
「え、それってどういう?」
「?一緒に暮らすんだからどっちが何をするか決めようと思って」
そんなソウルをよそにシーナは淡々と答える。
「はぁ!?!?」
するとオリビアが顔を真っ赤にして叫び出した。
「なななな何考えてるんですか!?男性と1つ屋根の下で暮らすなんて、あなたどういう意味が分かってるんですか!?!?」
オリビアはシーナの肩を鷲掴みにし、そのままぐわんぐわんとシーナを揺すり始めた。
シーナは首の座っていない赤子のように首を振りながら「あぁぁぁ」と悲鳴をあげている。
「ちょちょちょちょちょ!?落ち着け!?」
ソウルはオリビアを宥める。
「おっおちっ落ち着いていられるわけないでしょおおおお!?」
まずい、オリビアが暴走しているようだ。
「だって、ソウルとずっと一緒って約束したもん」
プイっと目を逸らしながらいじけた子どものようにシーナは呟く。
「ソウルさん!?」
オリビアの怒りの矛先がソウルに向いた。これはやばい。
「ままま待ってくれ!?確かに一緒にいるとは言ったけど、一緒に暮らすとはいってないぞ!?」
ソウルは必死に弁明する。
「そう言ってますよ!?シーナさん!?」
「でも、ソウルにはもう裸を見せた仲だし大丈夫」
「うん!だいじょばないな!」
シーナの怒涛の口撃にソウルは悲鳴をあげる。
「ソウルさん!!!」
もうオリビアの怒りは収まるところを知らない。
「それに.......」
トドメにシーナはうっとりとした表情で告げた。
「1人で寝かさないって、追いかけてきたもんね」
「ソウルさぁぁぁぁぁん!!!」
オリビアはソウルに掴みかかるとそのままソウルの首をぐわんぐわんと振り始めた。
「ちがっ、それは1人で野宿させる訳にはって話でってうおおお!?おい、レイ!助けてくれぇぇえええ」
ソウルはレイに助けを求める。
レイは騒がしい喧騒から1人離れ椅子に腰掛けて紅茶をすすりながら
「あぁ、今日も平和だなぁ」
と一息ついていた。




