プロローグ
「.......我々はこれでいいのだろうか」
揺れる炎と燃え盛る街...。鎧の男はポツリと心境を漏らす。
「ダメですわ王。あなたが迷えば仲間が迷います。我々に残された道は、もうこれしか.......」
傍に控える少女は頭を垂れる。少女の頭からは可愛らしい兎の耳がひょっこりと生え、それは何かを憂いているように地面に向けて力なく垂れていた。
「しかし、これではどちらに正義があるか分からぬではないか」
王と呼ばれた男は兜を外す。
そこから現れたのは獣の頭だった。鋭い眼光に口からは牙を覗かせ、風に揺れるたてがみが王としての風格をより一層際立たせている。
10年前はここまで大きく戦火が広がるとは思っていなかった。
ただ、生きていくために戦ってきた。だが、もはやこれは街を揺るがす大反乱となり、もはや彼自身にも止めることは叶わない。
「.......我々獣人が生きる世は、もう無いのかもしれないな」
「何をおっしゃいますの!?」
兎耳の少女は激しく動揺を見せる。
「ここで終わっては、これまで犠牲になってきた者たちが報われませんわ!」
「.......そうか、そうだな」
王は唇を噛む。プツリと皮膚に穴を開けてうっすると血が滲んだ。
もう、戻れない。賽は投げられた。もう、どちらかが滅ぶまで戦い続けるしか道はない。
その時だった。カツカツと、何者かが背後に迫る気配を感じる。
「何者だ!?」
王と兎耳の少女は構える。
「.......!?」
そして、現れた相手を見て凍りついた。
ここから運命の歯車が大きく動き出すことになる。




