しんがり
シーナに投げ飛ばされた3人は地を転がる。同時に遺跡の入り口は激しく崩れ、中の様子を伺うことさえできなくなった。
「くそっ、あのバカ!!」
ソウルは瓦礫を殴りつける。
「こんな.......こんなことって.......」
「ソウル」
そんなソウルにレイが歩み寄ってきた。
「行こう、シーナの行動が無駄になる」
レイの表情は暗い。
「ダメだ!シーナを連れていく!」
しかし、ソウルは諦めきれずに瓦礫をどかし始める。
「あんな化け物相手に1人で立ち向かうなんて無茶だ!ふざけんなよ!?おれは、おれはまだ.......!」
「いい加減にするんだ!」
レイは怒声を上げてソウルを殴り飛ばした。
「この瓦礫はぼくの魔法でもどかせない!ここ以外に中は通じる道はないんだ!ぼくだって.......ぼくだって行けるものなら行きたいさ!」
レイは涙を零しながら叫ぶ。
「シーナに全てを預けて逃げるしか無かった自分が.......くやしくて仕方ないよ」
そう言いながらレイは膝をつく。
「.......ごめん、私が足でまといになったばっかりに」
エレナも俯いたまま立ちすくんでいる。
「......行こう、せめてエレナを安全な場所まで連れていかなくちゃ」
そう言ってレイは立ち上がった。
「.......なぁ、レイ」
ソウルは立ち上がりながら告げる。
「お前1人で行ってきてくれ」
「いい加減にしてくれ、ソウルも一緒に.......」
「もし、シーナが無事なら一緒に連れて逃げれるやつがいるだろ?それにもしあの女がここから出てきた時に追撃されたら終わりだ。足止めするやつがいる。おれにそれをさせてくれ」
「何を!?仮にそうだとしてもそれは君じゃなくて魔法が使えるぼくが」
「魔法を使えるお前だから、1番守らなきゃならねぇエレナを連れて安全な所まで避難しなきゃならねぇだろ!?」
「.......っ」
そう。今回の任務はエレナを守り抜くこと。
シーナの言葉を信じるなら、地上に敵はいない。だが、仮にもし敵がいるのであれば、守り戦わなければならない。
そして、仮にそうなった場合追撃してくるあの女と挟み撃ちされるようなことになれば終わりだ。
そうならないように、足止めをする者がいる。
「.......任せられるか?」
ソウルはレイを見つめる。
「.......分かった。でも、できるだけ時間を稼ぐだけでいい。すぐにぼくも戻るから」
「頼んだ」
そしてソウルとレイは拳を重ねた。