表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/1167

古代文字解読

 魔法大戦の話を終えた後、3人は1番奥の部屋に入る。そこは壁一面に古代文字が刻まれていた。


 今回の学者たちの使命はこの古代文字の解読なのだとエレナは告げ、早速エレナは作業に取りかかる。


 そしてエレナはかれこれもう3時間はぶっ通しで解読作業に当たっていた。


「.......レイ、暇だ」


 ソウルはしゃがみこみながら項垂れる。


「まぁまぁ」


 そんなソウルを見下ろしながらレイは相変わらずケラケラと笑う。


「でも、エレナ本当にすごいね」


「すごい?」


「みなよ。ぶっ通しで解読を続けてるのに、全く集中力が切れてない」


 そう言ってレイは辺りを見渡す。


 他の学者たちは疲弊し明らかに集中力を欠いたり休息する者が出る中、エレナはその集中力を欠くことなくただ黙々と作業に取り組んでいた。


「やっぱり、すごいやつなんだな」


「8歳で考古学者になっただけはあるよね」


 そんな話をしていた時だった。


「よぉ」


 洞窟前でソウルを殴りつけたリーゼント頭が目の前に現れた。


「お腹の調子はいかがかな?」


 リーゼント頭はゲスな笑いを見せる。


「てめぇ...!」


「おぉ、こわいこわい。流石はあの小娘の護衛だな。お前のおつむもガキ並ってか」


 そう言うと取り巻きの2人もゲラゲラと笑い出す。


「小娘ごときがこんな遺跡に来るなどおこがましいにも程がある。とっとと帰っておままごとにでも興じていればいいものを。お偉いさま方に色目でも使ったんじゃないか?」


 ソウルはカチンときた。


 確かに年端のいかない少女かもしれない。だが、あの歳で考古学者として認められた彼女の努力は並のものではなかったはずだ。


 それは誰にも否定されるべきものでは無い。ソウルが握りこぶしを作り殴りかかろうとした、その時だった。


「そういう君達の護衛対象はどうなんだい?マイケル.......だったかな?」


 背後から声が飛んでくる。


「あの歳になってもろくな成果を出せていないじゃないか。その上年端のいかない女の子をいたぶる根性の根っこまで腐ったクズっていうおまけ付きさ」


 レイだった。笑顔で告げるその姿が逆に恐ろしい。しかも目が笑っていない。


「て、てめぇ.......」


 レイの変貌具合にマイケルは動揺する。


 シュンッ。瞬きの間にレイの姿が消えたかと思うとレイは腰の剣を抜き、リーゼント頭の喉元へと突き立てていた。


 その動きはソウルにも見えないほど素早かった。


「まだ、僕達に用があるかい?」


 レイはぬらりと顔を上げる。


「い、いや.......」


 マイケルはたじたじになってしまう。


「き、今日はこれぐらいにしといてやる.......」


 そしてマイケルは捨て台詞を残してどこかへ行ってしまった。


「レイ.......お前.......」


 ソウルは冷や汗をかく。


「あはは、ソウル」


 そしてレイは笑顔のまま告げる。


「ぼくだって、腹が立ってるんだよ」


 そう言ってレイは剣を鞘にしまうのだった。


ーーーーーーー


 冷静になったシーナは調査隊の野営に戻った。


 だがすでにそこに3人の姿はない。もう遺跡の中へと行ってしまったのだろう。どうすればいいか分からず途方に暮れる。


「おい!」


 後ろから突然声をかけられる。振り返ると、そこにはカスパルがいた。


「なぜ、お前は1人ここにいる」


 カスパルの荘厳な迫力にシーナは目を逸らしてしまう。


「いいか」


 カスパルは諭すように続ける。


「お前は【ジャガーノート】かもしれん。色々とややこしい事情もあるんだろう。だがな、お前はお前の意思で騎士になることを選んだ。違うか?」


「.......」


 シーナは黙り込む。


「ならば、騎士としてお前がやらなければならないことはなんだ?ここで拗ねることか?違うだろう」


 カスパルはシーナの目をまっすぐに見つめる。


「迷うことも、立ち止まることあって構わん。だが、自分のやらねばならぬ事をやれ!それができれば他のことは後からどうとでもできる!」


「.......そんな、簡単なものじゃ」


 シーナは顔を隠しながら呟いた。


「それも全てお前次第だ。逃げずにしっかりと向き合え。それが騎士のあるべき姿だからな!」


 そう言うとカスパルはどこかへと歩き去る。


「次、任務を投げ出したら国へ強制送還するぞ!覚悟しておけ!!」


 そう言って手を振るカスパルを見つめながらシーナはため息をつくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ