間章
ジャンヌは黒髪のつんつん頭の男をじっと観察する。
どうやら、他の者からチームに入らないかと声をかけられている様子だった。
「あー...ジャンヌ様?」
ジェイガンが言いにくそうに告げる。
「なんで今年に限ってこんな方法をとったんです?あの男、ここで落ちますよ?」
普段はこちらからその能力と素質でグループ分けをして見習い騎士のチームを編成する。
だが、今回はジャンヌの提案で彼ら自身でチームを作ることになった。
「彼にとっては厳しいだろうな。だが、入団するだけがゴールではない。大事なのはその先だ」
ジャンヌはジェイガンの顔を見上げながら続ける。
「今年は魔法を使えない男、【ジャガーノート】に盗賊崩れやよく分からない放浪者.......曲者揃いだ。下手にチームを組めば、それこそダメになる。自分たちの仲間ぐらい、自分で集めさせなければならないと思ったまでだ」
「.......それだけではなさそうですが?」
幼い頃からの付き人であるジェイガンにはジャンヌの思惑がそれだけでは無いことをお見通しだった。
「なに、後は興味本位だよ」
ジャンヌはフッと笑う。
「あの男が彼らに...この国に...そして、私たちに何をもたらすのかを、見たかったのさ」
男の手を振りほどいて【ジャガーノート】の少女に向かって歩いていくソウルを見つめながらジャンヌは満足げに告げた。