最初の任務
目を覚ましたソウルは優美な服に包まれたお偉いさんに連れられて城のエントランスへと案内されていた。
周りには他にも試験に合格した者が集められており、そのどれもは試験を受かった事に浮かれている様子で和気あいあいと「おまえも受かったか」「あいつはだめだったかー」などと楽しそうに話をしている。
ソウルは知り合いがいなかったため、1人でボーッとこの後何が起こるのかを考えていた。
すると、何人かの騎士が整列を始める。この後どうするかの説明があるようだ。
「よし、いよいよだ」
ソウルは伸びをしてその時を待つ。
しばらくすると、並ぶ騎士たちの前に1人の金髪の少女が現れた。
「みな、よくぞこの試験を超えてここに集まった!」
華奢な見た目を裏切り威厳に満ちた堂々とした口振りで話すその姿にソウルはおぉ、と感心した。
「あんな女の子がよくもまぁ、あんな風に話せるもんだ」
「おい、貴様。口を慎め!」
近くの男が小声で声をかけてくる。
「あのお方は、伝説の聖剣【エクスカリバー】のマナを持つ、聖女ジャンヌ様だぞ!」
「ほー.......」
そう言えば、シナツが旅をしていた時に聖剣がどうとかと話をしていたことがあったような.......。
「これから、君たちは見習い騎士として実際に任務についてもらう!」
カァンッ!!!
そして、聖女ジャンヌは手に持った両手剣を床に叩きつけた。
空気が凍りつくようにしぃんと静まり返る。先ほどまでの浮かれていた空気が一変し、張り詰めていく。
聖女の名前は伊達ではない。凄まじいまでのカリスマ性だった。
「見習いとはいえ、世に出れば君達は騎士だ!迷っている者がいれば導き、傷つき倒れている者がいれば助け、倒すべき敵が現れれば打ち倒す。君たちにはその義務がある!」
ジャンヌはつまり見習いだからといって甘えるな、と釘を刺したのだ。
見習い騎士になったとはいえ、それで終わりではない。むしろこれからどうやって騎士として自分を磨けるか、と言っているのだ。
「諸君らの今後の活躍に期待する!以上だ!」
ジャンヌは演説を終える。
たったこれだけの演説で、ゆるんでいた空気を全て吹き飛ばし、緊張感のあるものにした。
「上等だ!」
これから、ソウルは騎士として強くなる。そしていつかシルヴァのようにみんなを守っていける存在になるのだと決意を新たにする。
「それでは、これから見習い騎士として最初の任務を与える!」
ジャンヌのそばに控えていた白髪頭の大男は声をあげる。さぁ、なんでもこい!とソウルは身構えた。
「この中で、3人組のチームを作れ!できなかったものは騎士になる以前の問題だ!早々にここから去ってもらう!」
「.......は?」
その宣言にソウルは絶望した。




