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73、カフィスの洞窟3 ~未来眼覚醒~

「ゴォォ?」


 急に苛立ちがこみ上げてきた俺は、大声で叫んでしまった。


 だってそうだろう。現状、俺が強ければ考えることもないのだから。


 蹴散らして終わりなのだから。


「ん?」


 俺は突如頭の中に浮かび上がった文字を見た。


 偽勇者の、未来眼?


 何だそりゃ。


 未来の眼、か。


 何ができるんだろう。


 まさか未来を見られる訳でもないだろうに――


「ゴオオゥ!」


 俺の姿を察知した亜人獣達が一気に俺の方へ押し寄せてきた。


 ――いや、まだだった。押し寄せてきたように、見えた。


 影が、動いた気がした。


「これは――」


 俺は亜人獣達が動き出す前にその場から動いた。


 直後、さっきまで俺がいた場所に、亜人獣達が押し寄せる。


「なるほど! こいつは面白い」


 俺が得た力の意味が分かった。


 ならば、これを使うだけだ。


 亜人獣達の数は大体十五くらい。まだ奥から出てくる可能性もあるが、今は取り敢えず、こいつらを片付ける。





 偽勇者の彗星眼


 生体名 ゴルニア

 種族  亜人獣

 レベル 80





 ほう。レベル80か。





 生体名 ゴルニア

 種族  亜人獣

 レベル81





 ふむ。だいたいこの辺だな。


 こいつらのレベルは平均約80。


 それが十五体である。


 俺の現在のレベルは42。


 うーん、まあ、いけるんじゃないですかね。


「光円!」


 次々と頭の中に浮かんでくる技名を口にする。


 光円は指定した座標から半径何メートルかのゾーンは眩い光で包む技である。勿論、今咄嗟に考えた。

 目が良いと推測される亜人獣は光に弱いはずだ。そんな大量の光を目に浴びたらしばらくは見えなくなるのでは。


「剣の舞!」


 剣の舞は、そうですね、攻撃力を高める技かな。別にパクリじゃない。俺は音楽の方の剣の舞をイメージしたんだから。何の問題もない。それに、上げるのは物理攻撃だけではなく、魔法攻撃もだから。俺の剣舞は高性能だから。


 取り敢えず技に名前をつけることでイメージしやすくなるのは分かった。だから状態強化の技にも名前をつけた方が良く働くんじゃないか、と思いまして。


「ゴオオオッ!」


 思った通り、亜人獣達は光円の中で足を止めており、目を塞いでいる。よし、効果はあるようだ。このまま一気に決めるしかない。


「氷双八双!」


 勝手に考えた技で、俺は亜人獣達の体を貫いた。


 氷の刃で、貫いた。


 これも予想以上に効いている。


 予想以上というか、効果抜群だった。


 どれくらい効いたかというと。


 亜人獣の体を貫いて、そのまま倒れる、という――


 つまりは、倒してしまった。


 十五体くらいいた亜人獣を光円で一気に足止めして、剣の舞で攻撃力を上げて、氷双八双で皆貫いた、と。


 我ながら中々良い手際であった。


 相手が行動を起こす前に動けたのが大きいだろう。


 それはつまり、偽勇者の未来眼のお陰だ。


 こいつの能力はずばり、少し先の未来を見ること、なのだろう。面白い特殊能力である。と同時に結構よく出てくる能力でもある。


 コー○ギアスとかアル○ノア・ゼロとか。


 その他諸々、超能力ものでは、姿を消す、姿を偽る、思考を読む、といったものと同じくらいの割合で登場する。


 ついに、俺もそれを手に入れたということか。


 実に頼もしい。ただ、よくよく考えてみると、こういう能力も全部想像魔法で代用可能なのではないだろうか。


 未だにいまいち「眼」シリーズの能力がよく分からないのだが。


 ま、いっか。一度使えるようになればそんなものは些細な問題だ。


「さて、帰ろうか」


 案外あっさり終わってしまった。あの村長、嘘つきやがったな。


 全然強くないじゃん。


 どちらかと言えばあのネズミの方が強かった気がするぞ。


 強さは見かけだけ。大したことはなかった。


 連携もされる前に倒したし。


 さて。今のでどれくらいステータスが上がったかな?







 NAME Kier Kir Raura Gouwor

 LV  60

 HP Great.

 MP Wonderful.

 ATK 190

 DEF Depending on your condition of spirit.

 MAT Fantastic.

 MDF Not depending on your condition of spirit.

 SPD  Sonic.

 LUK Special.

 EXP  Your experiences are worth appreciating. The better you try to become, the better your status become. BRAVERS are not always strong, but you are believed that you will be a special hero, SAVIOR of this world. So it is no use expressing your strength numerically.

 Sp.Magic Counterblow

      Lacking of Existence

 JOB Faked Hero  Broadcaster(340days before Chaos War)

 ※This status can be changed.






 あれ、何か英語になってる。え、何で?


 ちょっと読みにくいんでやめてくれませんかね……


 えーっと。まあ書いてあることは大して変わってないな。でも経験値の所は少し気になる。



 お前の経験は賞賛に値する。良くあろうとする程、ステータスは良くなる。勇者は常に強い訳ではないが、お前は特別な英雄、この世界の救世主になると思っている。故にお前の強さを数値で表すのは無意味なことだ。



 と、書いてありますね。


 はい、何でわざわざ英語にしたんでしょうね。


 しかも、『魔王戦』の訳が「カオスウォー」っていうのも、何かな。混沌戦争だぞ。全然違うじゃないか。魔王だったら、サタンどか、デビルとか言っておけばいいものを。







 ……………………





 ……………………







 それでさ、敢えてここまで触れなかったんだけどさ?




 ――――俺の名前、変わってる。





 誰だよこいつ! Kier Kir Raura Gouwor って!


 キェル・キル・ラウラ・ガウアー。いや確かにキエル・キララガワに聞こえなくもないけどさ! でも誰やねん!


 ……ふう。数日ぶりにステータスに突っ込みを入れてしまったぜ。


 まあこのよく分からないステータスに突っ込んでもしょうがないな。


 さっさと帰ろう。







         ――――――――――★――――――――――







「――以上が、ヘレヘスの概要でございます。お分かりいただけたでしょうか」


「はい。大丈夫です、レグラリオさん」


 四人は第一級犯罪人ヘレヘスに関しての情報を聞くと、頷いた。


 話を聞く限り、相当凶悪な相手であるようだった。


 虎のような獰猛さと狐のような狡猾さを持つ、正に君主たるにふさわしい男であるということを理解した。勿論、悪の君主であるが。


「早く出た方がいいよな。準備をして出発しよう」


「おう!」


 海王が皆に指示を出す。


 皆、ヘレヘス確保に向けて、動き出す。


 対人経験のないままに。




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