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推しに殺される大罪人に転生。推しのために……  作者: 流庵
一章

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第〇三八話 ゴーレムの性能

 今日は体力作りと魔力を消費するため、ゴーレムと散歩をしている。キースは元ダンジョンに置いてきたので、今隣を歩いているのは新たに生成したミックだ。

 

 キースで思い出したが、元ダンジョンの部屋を塞いだことにより、魔力が落ち着いてきたと父から報告があった。


 破壊できなかったのは悔しいが、父が喜んでくれたのが一番嬉しい。家族や人との関わりがこんなにも心地よいとは……レティシアだけじゃなくシャドウブレイズ領も絶対に救いたい。


 両親は俺が死んだら悲しむのだろうか? 邪神を倒すには聖女となったレティシアが必要だ。これはレティシア抜きで何度も挑戦して失敗しているから間違いない。


 できるだけ多くの大切な人を守るためには、俺の命でレティシアを覚醒させるのが一番確実な方法なのに、ここへ来てこんな気持ちになるとは……。


 俺の本体の様子も気になるが、今はできることを考えよう。


 人通りの多いところは迷惑をかけるので、避けて歩いていたら田畑がある場所に出た。


 シャドウブレイズ領は土地が痩せていて作物が育たないと聞いていたが、頑張って育てているようだ。作物の元気はなさそうだけど。


 さらに進むと、人が集まって話し合いをしているのが見えるが、こんな何もない所で何の相談だろう?


「リリアナ、あれは何をしているのだと思う?」


「何でしょうかね? 聞いてきます」


 リリアナが集まっている人たちの所に行き話を聞いてきた。


「この辺りは開墾予定地らしいのですが、大きな岩があって作業が進まないようです。岩をどうやって移動させようか相談していたようですね」


 なるほど、この辺りも田畑にする予定だったのだな。


「ゴーレムなら動かせそうか?」


「ゴーレムなら可能だと思いますが、ルシャ様がなさるのですか?」


「ダメだったか? シャドウブレイズ家の事業なら、俺がやっても問題ないだろ?」


「仰る通りですね。話をしてみましょう」


 リリアナはまた話に行った。行ったり来たり申し訳ないが、ゴーレムを歩かせるだけじゃ魔力を消費できていない感じがする。


 実際にゴーレムを運用する場面も少ないので、手伝っておきたいところだが、何か揉めているような……。


 仕方がないので、少し近づいて話しかける。


「リリアナ、どうした?」


「ルシャ様!? この者たちがルシャ様にそのような作業はさせられないと言って聞かないのです」


 まさかの手伝い拒否!


「ここの責任者は誰かな?」


「ルーシャス様初めまして。わたくし、ノーマンが開墾の責任者でございます」


「ノーマンに尋ねよう。俺のゴーレムに作業させた方が早いと思うがダメなのか?」


「ルーシャス様に岩を移動させる作業なんてさせられません」


「ゴーレムがするのでもダメなのか?」


「我々の仕事をルーシャス様に手伝わせるのが問題なのです」


 ゴーレムを使わないと練習にならないのに、ゴーレム自体土木作業がメインなのでなかなか使用する機会がないんだよな。採石場は遠いので近場で練習できるチャンスを逃すのはもったいない。


「では、ゴーレムで岩を移動させる練習をしたかった俺が勝手にやったというのはどうだ?」


「結果的にルーシャス様がやったことになるので、ダメでございます」


 まさかの即答での拒否!? 大体こういうのは、見なかったことにするのがパターンじゃないのか?


「どうしてもダメか?」


「どうしてもダメです」


 なかなか手強いな。


「何が問題なのだ?」


「ルーシャス様はシャドウブレイズ公爵家嫡男です。そのような方に岩の移動をさせたとあっては、我ら領民が笑われてしまいます!」


 力説されても全くわからないが、彼らにはシャドウブレイズ領民のプライドのようなものがあるようだ。


「リリアナはわかるか?」


「彼らは領民の鏡です。諦めましょう!」


 リリアナはわかるのか……しかし、ここで諦めてはゴーレムの研究が進まない。


「ノーマンは勘違いしているな」


「勘違いでございますか?」


「困っている領民を見捨てる人間がシャドウブレイズ公爵家嫡男に相応しいと思うか?」


「……しかし、このような雑用をルーシャス様にやらせるわけにはいけません」


 今のは効果大だな。もう一押しだ!


「仕事に大小などない。お前たちは今、岩が邪魔で困っている。手伝うには十分すぎる理由だ」


「我々のためにそこまで仰っていただきありがとうございます!」


 何とか丸め込めたか。


「それでは、早速手伝わせてもらおう。この大きな岩を移動させれば良いのだな?」


「はい、あの辺りまで運んでいただけると助かります」


「わかったぞ。岩は砕いても大丈夫だな?」


「そうしていただけると、なおさら助かります」


「よし、それでは早速かかろう。お前たちは少し離れてくれ」



 ノーマンたちが十分離れたのを確認してゴーレムを操作する。さすがに身長二百センチぐらいのゴーレムで、埋まっている百センチ以上もある岩を持ち上げられないだろうが、まずは試してみるか。


 見せてもらおうか新しいゴーレムの性能とやらを!  と頭の中をよぎったが口には出さないでおこう。


 ゴーレムを岩の近くに移動させ、しゃがませて岩を掴む。


 ミトンのような手で掴めるのかなと思ったら、手の平が岩と一体化したように見える。どこかのネコ型ロボットのようにピッタリくっつくんだな。ジャミング転移を利用しているのか、ファンタジーの一言で片づける現象なのかわからない。


「このまま持ち上げられそうだな」


 ゴーレムを操作すると地面から岩が抜け、意外と簡単に持ち上がった。


「ゴーレムって力持ちなのか?」


「普通のゴーレムでは持ち上がらないサイズだと思います」


 俺の呟きにリリアナが答えた。普通のゴーレムの動きを見てみたいな。


 そのまま指示された場所まで運ぶとパンチで砕く。


 同じ作業を夕方まで繰り返したのだが、俺の魔力が尽きることはなかった。

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