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鏡に映っている成長した姿の私は、頭から足先まで栄養不足の柳のような痩躯である。顔は柔和だが彫りが浅いわけでもなく、眉間から鼻梁にかけて陰翳は険しい。他人と比べて睫毛が濃く瞳は飴玉のように丸く大きく見えるが、右目が一重で左目が二重であり、まるでよく似た別人が背中合わせに同居しているようにも見える。
尊い勤勉さを得た代償に、自己肯定感をかなぐり捨てたような書生顔をした同級生の友人たちには、雑談の継ぎ目のことあるごとに羨ましいと言われるくらい、私は少しくらい整った顔立ちをしているらしい。