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二十一日目




 秋が終わり、本格的に寒くなってきた今日、再びノアがやって来た。


(この人は暇なのかしら……)


 フェリシティがそう思うほどノアはウィリアム邸に訪れている。フェリシティがウィリアム邸で過ごすようになってから今日で三度目だ。


 ノアは獣人に対して反対的な意見を持っているようで、フェリシティはできる限り関わりたくない。


「まだこのうさぎを飼っているのか?」


 ノアはフェリシティのことが嫌いだという態度をする。その一方で――


「ほれ、うさぎには野菜が良いんだろ? 持ってきた」


 フェリシティの口元に持ってきては食べさせようとする。この行動は何だろうか。嫌いならほっといてほしい。


「ノア……フェリシティが嫌がっているよ」


 フェリシティが一向に食べようとしないと、ウィリアムが助け舟を出してくれる。そして、すぐさまウィリアムに抱き上げられる。


「くっ、ずるいぞ!」


 フェリシティがウィリアムに懐いている様子にノアが羨ましそうにウィリアムを見つめた。


「ずるいも何も、フェリシティは僕が飼っているのだからね」


 フェリシティはこの時間が好きだ。ウィリアムがノアに見せつけるように愛で、自分のものだとアピールしているようだから。


 これは決して恋からではなく、大事なご主人に認められたような気持ちになるから嬉しいのだ。


「俺もうさぎを飼ってやる!」


 もしかすると、ノアが何度も来るのはフェリシティに癒やされたいからかもしれない。確かにふわふわなフェリシティは極上の癒やしになるだろう。


 どうやらノアの母親が動物が苦手なようで、飼えないようだ。だから、仲の良いウィリアムの屋敷まで来るらしい。


 ノアがうさぎを飼えるようになるのは遠い話のようだ。




「フェリシティ、明日から旅行に行こう」


 ノアが帰り、ゆっくりと過ごしていた昼、ウィリアムが突然そう言い出した。


「明日から三日間、休みが取れたんだ」


 ウィリアムは割と家にいることが多いが、家の書斎で仕事をしていた。もしフェリシティに何かあったとき、すぐに駆けつけるようにするためだそうだ。


 家でできる仕事は家で行うようにしているらしい。どうしても王宮に行かなければいけないときだけ、行っているのだそうだ。


「自然豊かなところだから、フェリシティも気に入ってくれるといいのだけれど」


 フェリシティは今まで、旅行というものをしたことがない。


 実家のモンロン男爵家は商売をしており、他人に任せているとはいえ、中々休めない。また、泊まる宿屋で万が一のことがあって、獣人だとバレるかもしれないと恐れていた。


 確かに今回の旅行でフェリシティが獣人だとバレる危険性がないわけではない。しかし、モンロン男爵家よりも比べ物にならないくらい安全だから大丈夫だろう。


「旅行と言っても、僕の領地なのだけれどね」


 ウィリアムの領地であれば、泊まる場所は領地にあるウィリアム邸だろう。それなら、宿屋よりも安全だ。


 フェリシティは今から楽しみで仕方なく、早く明日になれ、と願うばかりだ。



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