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ハズレ判定から始まったチート魔術士生活  作者: 篠浦 知螺


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マールブルグの鉱山

 ヴォルザードの北に位置するマールブルグは、鉱山を中心として栄えてきた領地です。

 こちらの世界では、山から掘り出した鉱石は、魔法によって精錬が行われています。


 坑道を掘り、鉱石を運び出し、砕き、石の中から鉄を取り出す。

 多くの土属性人々が、鉱山に関係する仕事に従事しています。


 いくつかある鉱山の出入口の近くには採石場があり、採石場の近くには精錬場があり、それらを一つの商会がまとめて所有している感じです。

 それらの鉱山の中央にあるのがマールブルグの街で、今は大混乱に陥っています。


「ラインハルト、街の人々を助ける者と、根源である鉱山の出入口を塞ぐ者に分けよう」

『了解ですぞ、小回りの利くコボルト隊に、街での討伐を担当させましょう』

「うん、ささっと魔石を奪って倒しちゃおう」

『ぶははは、討伐と回収を一度に済ますのですな。では、取り掛かりましょう』


 僕の眷属が動き出せば、状況はすぐに好転すると思ったのですが、そう簡単には行かないようです。

 コボルト隊の活躍で、街に侵入してきたゴブリンやオークの討伐は終わったかと思ったら、また別の方向か街に雪崩れ込んで来ました。


「わふぅ、ご主人様、またいっぱい来た」

「どうなってるんだ?」

「あっちから来てる」


 これまで魔物が溢れて来ていた鉱山とは、まるで別の方角から続々と魔物が街を目指していました。


『ケント様、どうやら複数の鉱山から魔物が溢れておるようです』


 最初に魔物が溢れた坑道は、古くなり鉱脈が尽きて廃坑となっている場所でした。

 後から魔物が溢れたのは、今現在も鉱山として使用されている場所で、出入口で魔物を封じ込めようと奮戦したものの、破られてしまったようです。


 抵抗していた分だけ、魔物の到着が遅れたのでしょう。


「ラインハルト、もう一ヶ所の封鎖も出来る?」

『一ヶ所目の封鎖はほぼ完了しましたので、すぐに取り掛かりますが、一つ悪い知らせがございます』

「悪い知らせ?」

『はい、鉱山がダンジョン化しております』

「ダンジョン? 坑道が変化しているってこと?」

『おっしゃる通りです。まるで坑道が一つの生き物のように、内部構造を変化させております』

「それは、例の空間の歪みが原因なのかな?」

『恐らく、そうではないかと感じておりますが、所在を見つけ出せるかどうか……』

「でも、空間の歪みは見れば分かるよ」

『そうかもしれませんが、今現在もダンジョンとして空間が広がり続けております』

「そうか、そもそも見つけること自体が困難になっているのか……」


 鉱山がダンジョン化したならば、壁や床面から魔物が湧いたとしても不思議ではありません。

 それは、見方によっては空間の歪みから魔物が飛び出してくるのと酷似しているかもしません。


 そうなると、どこが塞がなきゃいけない場所なのか、判別できなくなってしまいそうです。


「あれっ、もしかして、二番目に魔物が溢れた鉱山もダンジョン化しているのかな?」

『その可能性は十分にあるりますな』

「ラインハルト、そっちの鉱山を先に調査して、逃げ遅れた鉱夫が居ないか探して。発見出来たら僕が送還術で鉱山の外まで送還術で送るから」

『了解ですぞ』


 ようやく街が平静を取り戻しつつあるのに、鉱山のダンジョン化は想定していませんでした。

 少し前に、リーゼンブルグ王国の旧カルヴァイン領の鉱山が魔物に占拠されたことがありましたが、あの時は中から湧いて出たのではなく、外から入り込んだものでした。


 なので、占拠している魔物を倒せば、追加の魔物は現れませんでしたが、ダンジョン化したとなると、倒してもまた新たな魔物が湧いて来るはずです。

 完全に討伐するのは難しくなりますが、その一方で定期的に魔物が供給され、魔石を取り出せるようになるので、鉱山とは別の産業が生まれる可能性を秘めています。


『ケント様、最初に魔物が溢れた鉱山は、ゼータ達に出入口を封鎖させました』

「そっちは、もう廃坑だから人は居なかったんだよね?」

『はい、内部はもちろん、周囲にも人影はありませんでしたぞ』

「よし、街中も守備隊と冒険者に任せて大丈夫そうだから、僕らは鉱山に集中しよう」

『了解ですぞ』


 マールブルグの街の中は、落ち着きを取り戻しつつあるので、ダンジョン化した鉱山へ向かいました。


「うわっ、何これ……」

『まさにダンジョンですな』


 鉄などの鉱石を掘り出していた場所のはずが、内部には草原が広がっていました。

 狭苦しい洞窟などではなく、見上げる程の空が広がっています。


 僕らが捜している空間の歪みと同様に、ダンジョンは空間自体が変質して内部の大きさが物理的にはあり得ない状態になります。

 例えば、今みたいに深さ的には地上から地下四、五階程度降りたぐらいの感覚なのに、頭の上には空が広がっていたりするのです。


「太陽は届かないはずなのに、この明るさって……どうなってるの?」

『そこは、ダンジョンだからと申し上げるしかないですな』

「そもそも、ダンジョンって、どうやって出来るものなんだろう?」

『詳細は分かっておりませんが、地下に魔力が溜まり、凝縮することで周囲の空間が変質して発生すると言われてますな』

「じゃあ、今回マールブルグの鉱山がダンジョン化したのは、南の大陸の魔力だまりと空間の歪みで繋がってしまったから?」

『その可能性は高いですが……こうなってしまうと確かめようがありませんな』


 これまでのケースだと、空間の歪みは特定の場所にあって、そこから魔物が出て来ている感じでした。

 ですが、今回は繋がっている場所の特定すら難しい状態です。


「それに、これはもう鉱山としての役目を果たせなくなってるよね?」

『それは間違いないでしょうな』

「だとしたら、空間の歪みを僕らが排除して、ダンジョンとして成り立たなくしちゃうのは、かえって良くない気がするんだけど……」

『その辺りは、マールブルグの領主殿と相談するしかないでしょうな』


 ダンジョンは厄介な存在であると同時に、素材や資源を生み出したりします。

 ヴォルザードのダンジョンでは宝石類が多く産出していますし、魔物自体からも素材が取れるので、一種の産業となっています。


「わふぅ、ご主人様、鉱山の人が居たよ」

「ご苦労様、よく見つけてくれたね、案内して」

「わぅ、任せて!」

「ラインハルトは地上に転送できる場所を確保して」

『了解ですぞ!』


 ダンジョンの内部を捜索していたコボルト隊が、鉱夫の皆さんを見つけたのは森の中でした。

 オークに追われていた所を救出して警護していました。


「ヴォルザードの冒険者ケント・コクブです。皆さん、無事でなによりです」

「おぉ、このコボルトたちは、あんたの眷属なんだってな。本当に助かった、あやうくオークの腹に収まるところだったぜ」

「これから、皆さんを地上まで魔法で転送します。その前に、一緒に作業されていた方は全員いらっしゃいますか?」

「いいや、かなりはぐれちまったな」

「タルボが居ないぞ」

「ネイバースもだ」


 発見した鉱夫の皆さんから聞き取りをして、はぐれてしまった人を確認しましたが、けっこうな人数になりそうです。

 一旦、救出した人を地上へと送還して、それから捜索活動を再開しましたが、その日のうちに発見できたのは行方不明とされた人の半数ほどに留まりました。


この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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― 新着の感想 ―
ケント氏の即時性が事件の最小化に繋がっているけど、本来であれば、地元の経験になるべき案件も少なくない。 被害の最小化を喜びべき所だが、為政者としては頭の痛いところかも、と思いました。
もはや依頼をキチンと受けて行動しよう、って行動理念ないな。 ヘタなチート主人公と違って数の力使えるから手が足りない、他所の力借りよう、にならないし。 ケントの力知っていると周りの冒険者やる気ガタ落ちに…
 ケントが即座に攻略できないダンジョンなんて、只人の手に余ると思いますが。  ヴォルザードのダンジョンよりも、厄介すぎますね~  マールブルグは以前、やらかしていますから。  到着しても、即座に報…
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