訓練と決定した運命
相変わらずの駄文でまとめきれてませんが、温かい目で見てやってください^^;
追記:一半分以上書き直しました
あの日以来、僕達は猛烈な訓練を受けている。あの一件から楓は僕の元に来なくなった。いや、それどころか良く僕を苛めていた光輝の方と積極的に話をしたり、流した汗を拭いてあげるという光景が見えた。
なんで……という気持ちが無いのか? と言われれば嘘になる。だが、同時に彼女の気持ちも解る。全ては僕が弱いのがいけないのだ。だけど僕は信じている。幼馴染でずっと小さい頃から妙におせっかい焼きで、僕の優しさが好きだと言ってくれた女の子。おばあさんの荷物を持ってあげる、なんて大した事ないのにそんな事も褒めていた笑顔が素敵な女の子の事を。
まだだ。ここは異世界!!光輝の様なチートじゃなくても、クラス最弱と言われる僕でも訓練次第では強くなるかもしれない。
さて訓練の方だが、武技は近衛騎士団副団長のハンバートさん、そして魔法の方はアビゲイルさんだ。だが訓練というよりは、むしろ拷問というのに近い物だった。しかも僕の訓練の前には必ず光輝君と話をしている。
「一閃」
ドガッ!!
「ぐはぁ~ う……うぅ」
「おらぁ どうした。そんな程度で魔族と戦うとか言ってんのか?!! さっさと立ち上がって来い」
「やぁぁぁぁ!!」
僕は上段に振りかぶって飛び上がるように相手を打ち込もうとした
「なんだぁ~? その素人丸出しの剣は~」
すかさず蹴りを入れられた後
「そんなんで魔族に勝てると思ってんのか? この無駄飯喰いがぁ」
倒れた僕の顔の上を足蹴にし、さらに顔を庇った為にがら空きになった腹にも一発二発貰ってしまった。
「みんな~ 今日はこの辺りで訓練終了だ!!」
みんなぞろぞろと宿舎に戻る中、寄ってくる3人組。
「へへへへへ 大変だなおまえも。俺が特別稽古をつけてやるよ」「そうそう、田山さん に感謝しろよ~?」と嫌な笑み、田山の職業は魔術師、長い呪文を唱えた後、ウィンドカッター!! スパッ!! 足が切れる
「ぎゃぁぁぁぁ!!」「ギャーーーハッハハハハハハ」
絶叫と爆笑が見事に重なった。
「あ~ つまんね~ そろそろ行こうぜ。じゃあなゴミ屑 ギャハハハハ」
うぅ~ 思わず泣きそうになるが、泣いている暇なんて無い。帰る事が出来る可能性があるなら、少しでも強くなって 楓 を喜ばせてあげたい。とりあえず明日に備えて、今日はゆっくり休まなきゃ。
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「アビゲイル? 彼等の仕上がりはどんな感じですか?」、との王女ジュリアの質問に手応えを感じたのか? 自信ありげに「はっ まだ初日ですが、見たところやはり彼等の才能は他を圧倒しております」と報告した。それを受けて王女ジュリアは大変ご機嫌な表情で「それは良かった。彼等はいわば戦略兵器にして我が王国の栄光の為の道具、くれぐれも上手く利用しなければなりません。周辺情勢も上手い具合に伝えるのですよ?」と念を押した。
そこでヨアキム司祭長は「殿下、くれぐれも油断めされるな。彼等の中の幾人かは一癖も二癖もある輩が居るようじゃからな」と進言する。「もちろん解かっておりますよ。そういった人間を使うのも、我等選ばれた者の使命と言えますから。彼等には我が王国の世界制覇の為に是非とも動いて貰わないとね」と語った。
近衛騎士団のウィリアム団長は「ところで殿下? かの者はどうなされますか?」と問われて「彼の者?」と問うた。ウィリアムは「ほら、あの全く駄目なやつですよ」と言われてあぁとようやく思い出したような表情をした。しばらく考えたが「いつも通り使えない人は、不明ダンジョンゴミ箱で廃棄しましょう。さっそく明日行います」との結論を出した。
そこに「失礼します」、メイドが突然入ってきたのを王女がいぶかしげな目線を送ってどうしたのかを問うと「伝令の兵が来て謁見を求めておりますが、如何致しましょうか?」と尋ねた。
「これは緊急かも知れません」とのウィリアム団長のキザ声に王女は「すぐにこちらに通してください」とメイドに指示をだす。
しばらくして息を切らした伝令が慌てて駆け込んできて、礼をすると「申し上げます、隣国のリゲリア人民共和国の兵が我が領土のドロガ砦に向けて進軍しているようです」と言上した。
「ふむ、仕方ありませんね。じゃあ騎士団長の方には私から言っておきましょうか」というとウィリアム団長は立ち上がって出て行こうとしたが、王女が「少し待ってください。今度の戦争、彼等も連れて行こうと思います」と言った。
ウィリアムはふむと思案顔だったがアビゲイルは驚いたような顔をして「少し早いのでは?」と止めた。が、王女は「いえ、戦争に馴れるのは早ければ早いほど良いと思いますし、弱者切捨てにも早く踏ん切りが付くでしょう。ちょうど良いですよ」と押し切った。
アビゲイルはさしたる感情も見せず「解かりました」と一言言って部屋から先に出て行き、ウィリアムもその後に続いた。
王女はメイドを傍らに呼び、「皆様に今回の決定を伝えてください」と言うと「解かりました」と言って奥に下がった。
これによって彼の運命は決まったのだった。