砂漠の国の月の女神
カナリア、ルルベルが会場の中へと消えてゆくとロードをマリアベルはお互いの顔を見合い一度微笑みあってから会場の方へ向き直りロードの腕へ自分の手を当て会場の中へとゆっくりと入っていった。
沢山の人間からの賛辞を受けながらロードはマリアベルをステージ下までエスコートすると、ステージに上がるための階段傍で既に娘が来るのを待っていたミルヴィン王と交代をし、マリアベルはミルヴィン王と共にステージへ上がっていった。
まず最初はこの国の王ミルヴィンからの言葉だ。
「 色々な国々からお集まりの皆様。来ていただいてありがとう。今日、この日私の末娘であるマリアベルが16歳の成人を迎えました。マリアベルは皆様ご存知のとおり、歌、容姿がとても美しく健やかな娘に育ちました。これは皆様方のおかげです。これから娘にはもっともっと幸せになってほしいと私は思っております 」
そう言い一礼すると、どこからともなく拍手が送られた。そして、ミルヴィンは自分の後ろで待機しているマリアベルを手で招く。
呼ばれたマリアベルはゆっくりとミルヴィンの傍まで行くとスカートの両裾を掴み緩やかに礼をしてからステージ一番前、今までミルヴィンが立っていた場所へ立った。
マリアベルがそこに立つとミルヴィンはどこか安心したかのように微笑みながらステージをゆっくりと降りて行き、王妃の元まで歩いていった。そんなミルヴィンを見送ってからマリアベルは口を開いた。
「 皆様。今日は私、マリアベルの誕生式典へおこしいただきありがとうございます。今日一日楽しんで行って下さいね。私は今日で… 」
そこまで言うとマリアベルは言葉を砥ってしまった。そんなマリアベルに客達はざわめきを見せ不思議そうにマリアベルを見つめている。
しばらくすると、マリアベルの瞳から一粒の涙が流れてきた。
「 今日で…私は16歳となりました。私はこの国の人が、世界の人が大好きです。そんな大好きな人達のために良い王女になるためこれからも頑張っていくつもりです。皆様どうかよろしくお願いいたします 」
涙を流しながらそう言い終わると、そのままその場で頭を下げた。
マリアベルの言葉に一瞬会場内はシ…ンとなったが、王妃とカナリアの拍手を最初に会場いっぱいに拍手が鳴り響いた。
そしてその後、マリアベルの美しい歌声が会場中に鳴り響いた。その間マリアベルは涙を流したままだった。
歌い終わり、ステージから降りると予想どおり他国の王や王妃、使者や王子などがマリアベルを囲み祝福の言葉を述べてきた。
「 いやぁ。あのお小さかった姫がもうこんなに大きくなられて…しかもお母上様と瓜二つではありませんか!ミルヴィン王もこんなにお美しい王妃様と姫様達に囲まれて幸せ者ですなぁ! 」
「 そこまで言っていただきありがとうございます。今日の事を理由にこれからも我が国をよろしくお願い致します 」
同じことばかり言ってくる人々に色々な言葉で返事を返すと突然人達が道を作り誰かをマリアベルの元まできやすいようにした。
道の真ん中を通ってくるのはロードだった。
ロードはゆっくりとマリアベルへと歩み寄るとその場で片膝を付きマリアベルに手を差し出した。
「 マリアベル姫。踊っていただけませんか? 」
そんなロードの真剣な瞳にマリアベルはロードの手に自分のそれを載せながら笑顔で微笑み返し返事をした。
「 はい。喜んで 」
二人は手を取り合うとそのまま会場の真ん中へと行きそこで片手を取り合い、腰に手をあてお互いを見合い演奏楽団の曲に合わせて踊りだした。
そんな二人を他の国の姫、や王子、王は最初何分間は見ていたがしばらくしてお互いの傍にいる女性に自らの手を差し出しエスコートしてマリアベルとロードを囲むかのようにダンスを踊り始めた。
ミルヴィン王と王妃も輪の中へ入るとダンスを踊り始めた。王と妃が踊り始めると、カナリア・ルルベルもそれに合せ傍にいた客にエスコートされながらも輪の中へ入りダンスを踊った。
子の刻が近づき、マリアベルは誰にもばれぬよう広間を出た。だが、広間を出たところには先客がいた。
カナリアと王妃だった。二人はマリアベルの姿を見つけるとゆっくりと歩み寄ってきた。
「 行くのですね…? 」
王妃にそう問いかけられるとマリアベルは首だけを動かして答えた。
「 …っつ…体には…気を付けて…。私はいつも…いつも貴方を思っていますよ… 」
王妃は涙を流しながらマリアベルを抱きしめそう言った。
「 お母様も…お体を壊さずお元気でお過ごし下さい…私はいつも…空からこの国の人々を見守っております… 」
王妃にマリアベルも涙を流しながら抱きつき返した。
「 マリア… 」
名を呼ばれたマリアベルは声のした方に視線を送ると、カナリアが今にも泣きそうな表情で一生懸命笑顔を作ってマリアベルの方を向いていた。
「 お姉様… 」
マリアベルの前まで来るとカナリアはマリアベルの頭を撫でてあげた。
「 ロード様の事…任せなさい…。忘れないで。私とロード様が結婚してもロード様の心はいつも貴方のここにあることを… 」
カナリアはそう言いながらマリアベルの頭を撫でていた手を下のマリアベルの胸の前で止めた。
―――――心の中に…―――――
「 はい。お姉様。400年後にまたお会いいたしましょう。今度こそ天国という名のその場所で 」
マリアベルはそう告げると、王妃とカナリアを後にすると城で一番高い西の塔へと向かった。
カツーン。カツーン。カツーン。
階段を上がっていると無駄に靴の音が鳴り響く。音を聞いていると、マリアベルは今自分がどこにいてどこにむかっているのかを改める。
―――――――もう…思い残す事はないわ…国のため…家族のため…世界の人々のため…私が世界を照らさなければ…――――――――
階段を上がりながら一瞬目を閉じると、覚悟を決めたかのように目を開き前を見据えた。
カツン…
一番上、最上階までくると。そこは月がよく見える場所だった。
「 綺麗…私は今からあの月の女神になるのね… 」
―――――さようなら。お父様、母様、カナリアお姉様、ルルベルお姉様、そしてー…――――――
突然マリアベルの視界少し上が光輝きマリアベルは目を瞑ってしまう。
光がやみ目を開けると、そこには夢の中で見た月の女神本人が立っていた。
青と白を基調としたドレスは彼女の瞳と髪にとても生えて見えてとても美しかった。
月の女神が現れるとマリアベルはドレスの両裾を掴み少し足を曲げ、礼をとった。
「 クス。礼はしなくても良いと言うたではないか。分からん娘だ。お前は今から私になるのだ私がお前に礼を取らなければならないかもしれぬほどなのだぞ? 」
月の女神からそう言われるなり、マリアベルは微笑みの表情を浮かべはするが返事は返さなかった。
そんなマリアベルの表情を見るなり月の女神は表情を固くし真面目な表情を作ると、自分の後ろ少し上にある月を見上げた。そして、月に向かって片手を上げる。
「 どうだ?美しかろう?我月は 」
女神の言葉にマリアベルは静かに『はい、とても』と答えた。
「 我はな…400年前月の女神となったあの日からず~~っと、あの月を輝かせてきたのじゃ。愛する人の元を離れ愛する子を他の者の元へ送り。そして、今やっと二人の元へ行けるのだ…見送って…くれるだろう…? 」
さきほどの真面目な表情を崩し少し悲しそうな表情をした女神が手を月にかざしたまま後ろにいるマリアベルの方ヘ顔を向けた。
「 はい。心の底方お見送り申し上げます 」
マリアベルの答えに女神は一度微笑み、もう片方の手も月に向けて掲げた。すると、月の真ん中が光輝き指輪の形となった。正確には女神の手の中に現れたので。突然。
女神はその指輪を大切そうに両手で包み持ちマリアベルの方ヘ向き直り前に差し出した。
「 この指輪は月の女神の証。指輪についている石は月の結晶だ。これを体に宿した時点でお前は女神となる。そして、指輪を手放したと同時に私は灰と化すだろう。役目を終えた者の最後だ 」
マリアベルは一度ツバを飲むと両手を前に差し出した。
『 これより月の女神の交代の儀を執り行う。我、現月の女神は目の前にいるマリアベルを次の月の女神として迎える事をここに証明する 』
女神の声が夜の世界へと響きわたる。女神が言葉を言い終わると指輪がまたもや光だし、形を変えるとそのままマリアベルの胸へと飛び込んできた。
指輪がマリアベルの中ヘ入ると同時にマリアベルの体から神々しいほどの光が溢れ出し、来ていたドレスも今まで着たこともないような美しい物に変わった。
マリアベルがドレスを見た後目の前を見ると、そこにはもう…女神の姿はなくなっていた…。
「 女神様…お二人の元へ行かれたのね… 」
マリアベルは空と月とを仰ぎ見ると胸の前で手を組み目を瞑り祈った。
祈り終えるとマリアベルは塔の上から城を見渡した。
―――――あぁ。なんて美しいの。私が愛した国。愛した城は――――――
城はまだ式典が開かれているのか。それとも意味のわからないパーティーにでも変わったのかわからないが、とても光り輝いていた。そこで、マリアベルは視線に気付いた。中庭に人の姿があった。妃とカナリアだった。
二人はマリアベルを見ると微笑みながら手をふってくれる。
マリアベルは背から白銀色に輝く翼を出すと、その翼で飛び立ち二人に手を振って月に向かって飛び去ったのだった――。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ザバザバザバザバ!ギュッ。
「 よ…いしょっと! 」
「 あらイザベラ洗濯終わったのかぃ? 」
「 えぇ。お母さん。他にすることはある? 」
「 ないよ。天気も良いし昼寝でもしておいで 」
「 そう。じゃあ何かあったら呼んでね 」
「 あぁ。そうさせてもらうよ 」
少女は花畑の広がる丘に登ると、その一番頂上で横になった。青銀色の髪は花の上で綺麗に広がった。
そして眠りに付く…。
「 貴方…だぁれ? 」
「 私は月の女神マリアベル。貴方に伝えたい事があってきたの―― 」
こんにちは!
最後まで読んでいただきましてありがとうございます!
感激です!感激すぎて泣きそうです~~!!。゜(゜´Д`゜)゜。うぇぇん←もう泣いとる
1話を書いた時は話数は今までの作品の中で一番少ないかもと書きましたが…多いほうですか・・・ね?w13話書きましたよw頑張りましたよw
そうですねぇ・・・エロシーンなかったからかとても書きやすいお話でしたねw
皆様、どうでした?最後のマリアベルは。自分の大好きな人達を守るために自分が犠牲になる…良い話じゃぁないですか!。・゜・えぇ─(o≧д≦o)─ん・゜・。←うざい
自分で書いておきながらなんですが…この作品は自分で書いた作品の中で…2番目?のお気に入りです!w
最後まで読んでいただいた皆様☆まだまだ新しい作品出しますのでどうぞ読んでくださいね^^ちょ~~~~~~~~~~~~っと時間はかかるかも?wしれませんが!必ず最後まで完成させますので!是非是非に読んでください!
それでは皆様。またどこかでお会いできる日を心待ちにしておりまっす☆
八”ィハ゛ィ...φ(≧□≦*)ノシ