第八話 生徒会長の登場
「なんだよその話!」
「いや、俺もよく知らないんだけどさ。学校来たら噂になってて…」
「誰だよ。そんなデマ流したの」
「聞いた話によると学校のホームページにあるトークコーナーでその噂が書かれてたらしい」
「なんだと?」
俺は携帯を開き、この学校のホームページを開きそのトークコーナーに入る。するとコメントが通常ではあり得ないぐらいの量だった。
「うわぁ。この中から噂になったコメント探すのか」
「骨が折れるだろうな。でもやらないと」
「はーいじゃあ全員席について」
画面を下にスクロールし始めた時、担任の先生が入ってくる。ちっ、これからって時に!
「新くん?席について」
「あ、はーい先生。今日も美しいですね」
「いいから席につく」
「はーい(´・ω・)」
新が少し時間を稼いでくれたおかげで少しだけだが探せたんだけど、全っ然見つからない。むしろ下が見えない。
「真琴くん?何してるの?」
「!!携帯で調べものしてました」
「その調べものはどういうものなの?」
「ユークリッドの行ったことについて調べてました」
「ふーん、ならいいわ。それではSHRを始めます」
何が良いのか全くわからなかったけど、とりあえず助かった。調べるのは諦めよう。問題になるコメントは学校側が消すかもしれないし。
――――――――――――――――――
「~であるからして…である」
だるい。土曜日ぐらいは休ませてくれよ。霙を見るとめちゃめちゃ頑張って板書してる。そんな元気、俺には無いよ。霙は凄いねぇ。新は寝ようとしてる。俺は窓の外の空を見た。ああ、空がきれい…じゃないな。雲ばっかりだ。雨降りそうだなぁ
「じゃあこの問題を…真琴」
「!?俺ですか?」
「お前以外にどこに真琴がいる?」
「僕じゃなくて寝ようとしてる新くんが適任だと思います」
「何言ってるんだ?さっさと解け」
「はーい」
やっべ、全然わかんねぇ。どうしよどうしよ。教科書見ても全然わかんない。内心めちゃくちゃ焦りながら「えーっと…」と言って誤魔化す。視界の端に新が指で何かをしている。えっと?あれ、2、1?ひょっとしてあの問題の答え、21か?
「えっと…21ですか?」
「正解だ。ボーッとしてるから解けないと思ってたぞ」
「いやぁ、あはは」
やっぱりボーッとしてるから当てられたのか。新グッジョブ!また今度覚えてたらチュロス奢ってやるぞ。霙はどうしてるかな。なんかものすごい先生を睨んでる。先生わかってないけど。
「キーンコーンカーンコーン」
「チャイム鳴ったな。これで授業を終わる。起立、礼」
「ふぃーーーーー。やっと終わったぁぁぁぁ」
「真琴、お昼ご飯どうする?」
「あー、今日行く喫茶店、メニュー良いからそこで食べようぜ」
「わかった。じゃあお母さんにそう言っておくね」
霙は用意を済ませて、携帯を触り始めた。俺も用意を済ませる。
「おーい真琴。今日も霙ちゃんと一緒に帰るのか?」
「そうだ。あとサンキュなまた今度チュロス奢ってやるよ」
「覚えてたらが抜けてるぞ。それじゃ、俺先帰るから。じゃーなー」
鞄を持って、走って教室から消えてった。あいつやっぱり足早いなぁ。そう思いながら俺は用意を終わらせた。
「真琴、もう行ける?」
「ああ、行こうか」
俺たちは鞄を持って教室から出た。そして階段まで行き、1階まで下りようとしたその時、ある人に鉢合わせた。
「あら、真琴君じゃないの」
「げ、如月会長かよ」
「心の声が出てますよ」
彼女は如月 雪華、17歳。2年生にしてこの学校の生徒会長。長く伸ばしている髪にスタイルの良いボディ。そして如月財閥という国内No.1の財閥の一人娘。お金持ちがよく乗ってるのをイメージできるあの黒く長い車で登、下校をしている。彼女の支持者はその美貌に魅せられたか、如月財閥の一人娘ということでコネを作っておきたい奴らばかり。まともな支持者は少ない。最近結構よくわからないときに絡んでくる。よくいつも持ち歩いている扇子で口を隠して嘲笑する。
「それはそうと真琴君、不純異性交遊はいけませんよ」
「はぁ?不純異性交遊なんてしてませんけど」
「でもあなたとそこにいる悠坂霙さんが付き合ってるって噂、ありましたよね?」
「その噂デマですよ。そして何故付き合うだけで不純異性交遊になるんですか!」
「年頃の男女が付き合ったらそうなりますよ。全く、汚らわしい」
「付き合ってないけど!これだけは言わせてもらいます。霙となら付き合ってても不純異性交遊はしません!これは断言します!」
「あらあら、見苦しい言い訳ですね」
「霙、行くぞ。話が通じる相手じゃなかった」
俺は霙の腕を引っ張り、階段を下りた。
「どうぞお通りくださいな。別にここを通さないつもりはないので」
「意地でも通してもらうつもりだ」
「でも1つ忠告です。真琴君、あなたいずれ苦しむことになりますよ」
「そうかよ」
俺は会長の話に耳を傾けず、そのまま霙の腕を引っ張って階段を降りて行った。視界の端に入ってきた会長の顔は勝利を勝ち取ったときの誇らしげな顔だった。その顔に腹が立ち、引っ張る力を強くする。
「ま、真琴!痛いよぉ!」
「!すまん!」
引っ張るのを止める。そして霙に頭を下げて謝る。
「良いよ良いよ。さっさと行こ?」
「あ、ああ。そうだな。行こう」
俺たちは階段を下りて靴箱で靴を履き替え、校門から出た。そして予定していた喫茶店に向かった。
――――――――――――――――――
「雪華様、迎えの車が到着しました」
「わかったわ。すぐ行く」
ピッ、と使用人からの電話を切る。はぁ、またしょうもないことしたなぁ。でも真琴君の困った顔、可愛かった。ああ、今すぐにでも壊したい。私の物にしたい。調教して、それからあんなことやこんなこと…。
でも、悠坂霙、危ない子ね。真琴君にいたずらしてる私を殺気のこもった目つきで見ていたんだもの。一応真琴君には忠告したけどきっとわたしの話には耳を傾けてないでしょうね。まあ、それでも良いです。苦しんで心がズタボロになった時、私が入って真琴君を癒してあげるのです。そうすれば真琴君は私の物に…。おっと、そろそろ迎えの車に行かないとですね。真琴君、精々苦しんでください。
あらすじの注意通りでよろしくお願いします。