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狂イユク夏ノ日ハ延々ト  作者: 大亀
10/30

第十話 店長の料理

あらすじの注意通りでよろしくお願いします

「お待たせしましたにゃ」

「おおっ」


ミートソースパスタとカルボナーラがきた。どっちもめちゃくちゃ美味しそうだ。いつも運んでいる俺も思わずごくっと唾を飲んだ。


「「いただきます」」


俺はカルボナーラを一口。頬が落ちるほどの美味さだ。その美味さで服が弾け飛びそうなぐらいだ。


(店長、さすがっす!)


俺は心の中で厨房にいるであろう店長にそう言った。


「美味しい!」

「そうなんだよ。店長の料理めちゃくちゃ美味しいんだよ。いつもバイト中注文をを運ぶ時によだれが垂れそうなんだよな」

「へぇ。でもこの美味しさならわからなくもないね」

「だろ?霙もわかってくれるか」

「うん!」


俺も霙も笑顔になる。店長の料理は人を笑顔にする力でもあるのかな?いつも店長の料理食べてる人は笑顔になっている。店長はすごいよ。24歳なのに自分の店を持ってこれだけ素晴らしい料理が作れるなんて。


「「もぐもぐもぐもぐ」」


俺たちは無言で食べ続けた。美味くて会話をすることを忘れ、ただただ食べていた。


「「ごちそうさまでした」」

「美味しかったね真琴」

「うーん」


俺はメニューを見て悩む。


「真琴、どうしたの?」

「いや、俺の好物の『苺たっぷり生クリームパフェ』にするか新メニューの『極上の甘さ!!ハニートースト』にするか迷っててな」

「!!!ゴクリ」

「?」


霙の子供の目がキラキラ光って食べたい食べたいって言ってるよ。多分さっきの「ごくり」って音は霙が唾を飲み込んだ音だろう。


「霙」

「…は、はい!」

「どっちも頼んで二人で分けよう。食べれるか?」

「た、食べれるけど…」


霙はもじもじしている。俺を気にしてくれてるんだよな。嬉しいんだけど、言うなら目をどうにかしてくれ。食べたさのあまり光輝いてるよ。


「猫田さーん」

「うにゃ?まだ頼むのかにゃ?」

「ハニートーストと苺たっぷり生クリームパフェで」

「大丈夫かにゃ?結構重いにゃよ?」

「大丈夫ですよ。それより早く注文、厨房に届けてください。店長でもハニートーストとかパフェ作るの時間かかるんですから」

「それもそうにゃね。んじゃ、注文確認するにゃ。『苺たっぷりにゃまクリームパフェ』と『極上の甘さ!!ハニートースト』にゃね?」

「はい」

「じゃあ、まこ坊。多少待つにゃ」


メニューを書いたメモを持って厨房に行った猫田先輩。そして数分すると戻ってきてレジに行った。俺らとあの人以外の組が会計するんだ。


「ありがとうございましたー」


そう挨拶するとすぐさまあの人のところに行く。そして笑顔で何かを会話し始めた。俺はそれをチラチラ見ながら、コーラを飲んだ。


「真琴、良かったの?あんなにスイーツ頼んで」

「だって霙が食べたそうだったから」

「わ、私は良いって言ってたけど」

「目が全部喋ってくてれたぞ。食べたい食べたいってな」

「う、嘘だぁ」

「本音は?」

「……食べたいです」

「ほらね」


霙に俺は勝ち誇った顔をする。霙はそれをみて「むぅぅ」と頬を膨らませる。子供の言い合いか?これ。


「だって美味しそうな名前なんだもん」

「本当は俺の財布を気にしてくれたんじゃないか?」

「…そうです」

「やっぱりか」

「だって、真琴が頑張ってバイトして貯めたお金、私なんかに使ってもらうのは悪くて」


ああぁ。そう思っていたのか。そうして霙は俺を気にしていたのか。優しいし、ちゃんと相手をしっかり見ている。霙はきっと良いお嫁さんになる。関係ないか。


「そんなことない。しかも俺は霙が美味しいって笑って食べてくれてることが一番のご褒美だよ」

「―っ!」


笑顔でそう言うと霙は顔を伏せた。やばっ、今の言っちゃいけないやつだったかな。普通に言ったけどまずかったのかな。とりあえずどうしよう。頭がショートしそうなぐらい思考していると、あの人がパフェとハニートーストを持ってきた。


「どうぞ。いつも菜那がお世話になっています」

「あれ?猫田さんはどうしたんですか?」

「あそこで寝ちゃってね。店長さんも厨房で寝ちゃってたから代わりに僕が持ってきたんだ。何かいけなかったかな?」

「大丈夫です。ありがとうございます」


俺は一礼し、ハニートーストと15㎝ほどのパフェをもらう。すると霙が小声で


「ねえねえ、この人誰?」


と聞いてきた。それには俺も小声で返す。


「この人は霑静(てんせい) (なぎさ)さん。猫田さんが帰るとき、いつも迎えに来てる人。毎日昼はいるから俺も覚えちゃったんだ」

「ちなみに僕は菜那の婚約者(フィアンセ)だよ」

「「!?」」

「ごめんごめん、驚かせちゃったかな?僕も菜那と同じで耳が良いんでね。邪魔して悪かったよ。それじゃあ」


渚さんは猫田さんが寝ているところの前、自分がさっきまで居たところに戻る。スマートで顔もいい。カッコいい。俺もあんな風になれるかな。


「真琴!真琴!」

「ああ、さっさと食べないとな。どっちから食べたい?」

「うーん…じゃあ、ハニートースト!」

「わかった」


俺は自分のところにパフェを、霙のところにハニートーストを置く。そして、食事開始の挨拶、


「「いただきます」」


今思ったんだけど、何で俺デザート食べるのにごちそうさまって言ったんだろ。まあいいか。もう過ぎたことだし。

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