↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
霊事警察 ~霊が見える刑事と、霊が怖すぎる刑事が挑む怪事件~  作者: 星乃渚(旧:鈴片ひかり)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/43

霊能者対決

警視庁には、表に出ない部署が存在する。

様々な凶悪事件に対し霊的アプローチを用いた捜査を行う――刑事部 霊事課 通称 霊事警察。

捜査一課の刑事・八神恭史郎は、ある日、霊が見える刑事「本条ひなた」とコンビを組まされる。

だが八神は、極度の怖がりだった。

人面犬事件、猟奇殺人、犯罪組織の暗躍

そして都市の闇で進む謎の薬物実験。

人間の犯罪と怪異が交差する事件に、凸凹コンビの捜査が始まる。


 ※ この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。



「おい、あの姉ちゃん、いい女だな。殺すには惜しい。

 だがお前に関してはプロとして仕事をしなくてはならない」


「ここで投降すれば司法取引について捜査本部へ進言してやってもいい。あれをモンスターだと言うお前はこの中で一番まともかもしれないからな」


「まともね? あの狂信者共と一緒にはされたくはないがね、だがあいつらはやべえぞ。

 まじでやばい何かの力が働いているのを、神も悪魔も信じてない俺が言うんだからな」


「黒田という男を知っているか?」

「おい、お前まさか黒田と面会したっていう刑事か?」


 そこで傭兵風の男が身を乗り出してきた。

「俺は鮫島だ。

 お前は黒田の安全確保を要請したんだったな?


 なぜだ? 俺たちはたくさん殺した まあ罪悪感もねえがよ」


「警察官だからだ」


「そうか。お前みたいな刑事がいても悪くはない。

 黒田への対応について、一応ダチだからな礼だけは言っておく。

 ありがとよ。


 だがプロとしての仕事は別だ。こんな膿やヘドロのような汚物にまみれた仕事だが、一度受けた依頼は果たさなければならない」


「もう一度言う、武器を捨てて投降しろ」

「断る。いくぞ八神!」


 鮫島はHK416をフルオートで連射してきた。

 カウンターの大理石がガリガリと削れて破片が八神の頭上から降り注ぐ。


 30発。クアンティコで八神を気に入ってくれた元海兵隊の教官が、弾数のカウントを仕込んでくれたのが生きてきてる。


 撃ちきったタイミングで飛び出して二階へいる鮫島を撃とうとしたが、すぐに身を隠すことになった。

 素早くハンドガンに切り替えた鮫嶋が撃ち尽くすタイミングに反応した八神を待ち構えていたのだ。


「ほう、あれを避けるか! 日本の刑事にしちゃよくやるじゃねえか!」


 鮫嶋は豪胆にも二階から飛び降りるとハンドガンを撃ちながら迫ってくる。

 八神もカウンターを挟んで撃ち返していく。


 頬を掠って血が滲んでくる。左のアームガードに当たった弾丸が弾かれたのを感じた。

 いい腕をしている。

 しかも戦闘のプロだけあって、駆け引きがうまい。


 ゴム弾を全弾撃ち尽くし、実弾弾倉へ切り替えるべく腰から取り出したときだった。


 偶然にも跳弾した弾丸が削った何かの破片が弾倉に当たって取り落としてしまう。

 八神には衝撃が起きて取り落としたという認識しか持てずにいたが、その弾倉は回転しながら転がり壁と床の隙間へ落下してしまうのだった。


 鮫嶋は八神が何がミスをしたと察知し一気に距離を詰めて肉薄しようとしたが、そこに隙が生まれてしまった。


 八神が投げたのは銃そのもの。

「!?」逆に虚を突かれた鮫嶋は顔へぶつかるのを本能的に避けたために体勢を崩し、「わっ」と近くのカウンターの端を掴む。

「ぐっ!」と堪えて体幹を取り戻そうとしたその時間に対し、距離を詰めた八神は襟と取って内股を仕掛ける。

 見事に引き倒された鮫島は、素早く手錠をかけられ床に転がった。


「逮捕術ってのもすげな、分かったよ俺の負けだ」

「はぁはぁ、殺人とか色々の容疑で逮捕だ」

「はぁ今回の仕事はクライアントが狂いすぎてたぜ」


 愚痴を言う鮫島を結束バンドでがちがちに拘束し、八神はひなたの後を追おうとした。

 だが、自動扉が閉まりその先にシャッターが降りている。

「だめだぜ、二階からじゃねえとあっち行けねえよ」


 ひなたが心配な八神は二階への階段を駆け上がる。

 腰のCOMBAT MASTERにはもう弾丸はなく、落した弾倉も回収は厳しすぎたためひなたの救出を優先することにする。


 ここに来て八神はこの最上階にある建造物の構造を理解した。

 恐らく、カタツムリの殻に似た構造で部屋が繋がっている。だから奇妙な構造の部屋を通り抜けなければならない。


 そしてひなたは――


 ・

 ・

 ・


 警視庁 第8会議室 臨時指揮所 


「現在サイバー犯罪対策課の協力により、スカイリングのセキュリティシステムの掌握が進んでいます。VPN確保、あと少しで館内の監視カメラ映像が、映像来ました!」


 会議室のモニターに映し出されたのは地下サーバールームを確保した鬼塚一課長の部隊が拘束されていた職員を解放し、システム権限の回復をはかっているらしき映像だった。


 破損し映らないカメラもが多かったが、かろうじて映った最上階カメラには、本条ひなたの姿があった。

「本条さんだ! 音声ないの音声!?」

 思わず西園寺刑事部長が心配で身を乗り出す。


 ひなたの正面には白スーツにニット帽をかぶった40代の痩せた男が立っている。


 痩躯ながら眼の力が異様に高い男。

 久世に天城漣と呼ばれたこの計画の呪術責任者である天城。


「本条家のお嬢さん、今からでもこちら側に来ませんか? 本来の巫女の役割は妹さんが果たすことになったのでしょう?

 あなたは妹さんほどに力はないのですから」


「やかましいわこのハゲ。さっさと武器を捨てて逮捕されなさい、殺人、殺人未遂その他の容疑で逮捕します」


 ひなたがSIG P365を構える。

「これは残念というより無様ですね。霊能者とあろう者が銃に頼るとは、…… シンイジョガク……ジョカイ」


「っ!?」


 その瞬間、ひなたの右手に激痛が走り思わず銃を取り落としてしまう。

「っ! 動物霊を使役してるの!? 悪趣味ね」


 そう右手を押さえるひなただったが、ポタポタと血が滴っていた。


 会議室では西園寺刑事部長が悲鳴を発しながら「血だよ血! 早く応援を!」と叫んでいた。


「あなたはせっかく霊能というギフトがあるのですから、私と霊能術で勝負すればいいのですよ。

 呪法でもなく密教呪術でもなく、神道でもなく修験道でもなく、法術でもない。


 本条家にだけ伝わる霊能術。

 霊能力は歴代でも目立たないものの、その霊能術の精度は歴代随一との評判のあなた。

 ぜひ私と勝負してください。

 本条の霊能術をぜひ!」


 天城が懐から取り出したのは呪符だった。

 幾何学模様が描かれた天城オリジナルのもののようだ。


「よくしゃべるハゲね。いいわのってやるわよ、見たいんでしょ 本条の霊能術が」


 そのすごみに、会議室で見ていた警察幹部たちでさえ思わず後ずさりするほどだ。


「ぞくぞくします。ならば! シンイジョガク シンオン ジョカイ オン……」


 ひなたはパンと両手を合わせると祈るように目を閉じていく。


「黒瀬課長は!?」

「黒瀬課長は各階に貼られた結界の解除を現場で担当中とのこと。扉を封印している呪詛シールと呼ばれる呪物の処置で手一杯とのことです!」

「本条君無事でいてくれ!」


 大勢の幹部たちが祈る中で、ひなたは意外な行動に出た。


 パンと合わせた手で合掌し何か術を準備するのかと思いきや、相手が詠唱に入ったのを見計らい一気に走って距離を詰める。

 対して天城は凄まじい集中力のためまったく気づいていない。

「霊能術で勝負するって言ったなあああああ!」


 キーン!


 指揮所にいた警察官幹部や警官たちが同時に甲高い金属音のような効果音を脳内再生していた。


「あっ!ぐっおっ!」


 思わず股間を抑えて白目を剥く寸前の天城。

「あれは嘘じゃああああああああああ!」


 くるりと後ろに回り込んだひなた。

 あろうことか股間を押さえて動けない天城の腰を掴む。


「「「まさか!」」」


 そしてそのまま担ぎ上げながら後方へ……


「「「「 ジャーマンスープレックスだとおおおおおお!」」」」


 そこにいた全員が脳内再生をしたもう一つの音。


 ノックアウトを告げる カンカンカン! と終了を告げるゴングを聴いていた。


 くるりと体勢を解いて立ち上がるひなた。


 ジーと監視カメラがひなたを捉えたことに気づくと、茶目っ気たっぷりピースをする。


 そしてひなたは天城漣を結束バンドでがちがちに拘束、上着やポケットから呪符関連のものを取り出し投げ捨てる。


 さらに、奴の指を結束バンドで拘束してから思い切り踏み抜いて砕いてしまう。

 一瞬だけ天城が 悲鳴を上げた。


 残忍な行為だとひなたもやりたくはなかったが、八神や後続のSATにこいつの術が及ぶことを恐れた。


 ひなたは落ちていたSIG P365を拾おうと手を伸ばすも、天城が仕掛けた動物霊がいまだに銃に絡みついているため諦めて八神との合流を急ぐことにする。


 ひなたが奥に進みその後の映像を拾えないまま、会議室には沈黙が流れる。

「どうやら八神と本条が奥で主犯の確保に向かってくれているようです。

 まるで何かに縁を紡がれているかのように彼らに収束していく。


 予感ですが、今回の一連の犯罪に対するカウンターとしての役を与えられたのが八神と本条なのでしょう。ならば我らは全力でケツを持ってやらねばなりません!」

お読みいただきありがとうございました。


よろしければブックマークや評価をいただけると、今後の執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。