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えっ俺がコスプレの十八番だった大賢良師張角に!?朝廷が思ってた以上に腐ってたので念入りに内政をして黄天の世を築きたいと思います  作者: 揚惇命
1章 張角16歳

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閑話休題②洛陽からの脱出

 翌朝、荀彧が目を覚ますと顔を覗き込んでいる麟杏と目があった。


 麟杏「おはよう旦那様」


 荀彧「ぼ、僕の身体に何もしてないだろうな!」


 麟杏「あらあら、それをするにはお互い早いのじゃなくて?」


 荀彧「べ、別に僕は変態じゃない!」


 麟杏「あら、私は何も言ってませんわよ。それとも旦那様の読まれた本にそんなことまで詳しく」


 荀彧「そ、そ、そ、そ、そんなわけないだろ。馬鹿なこと言ってないで、早く行くぞ」


 麟杏「あら、お待ちになって。慌ててる旦那様も可愛いわね」


 荀彧の後を追いかける麟杏。


 荀彧「それで、君の言う案に従ったわけだけど。真っ昼間に商人たちが往来する中で、どうやって済南国行きの荷車を見つけるの?」


 麟杏「え〜知らなーい。だから、片っ端から店を回りましょう」


 荀彧「君は僕を騙したの!?」


 麟杏「騙したなんてひっどーい。だって、あのまま行かせたら養父が差し向けた暗殺者に命を奪われてたし…あぁでも言わないと戻ってくれなかったでしょ」


 荀彧「そ、それは。むぅ。それにか、監視されてたのか…迂闊だった」


 麟杏「仕方ないよ。子供の目線では見えないこともあるから」


 荀彧「それで、僕の脱出に協力すると言ったことまでは嘘じゃないんだろ?」


 麟杏「勿論。でも、私もどれが何処に向かう荷馬車かは分からないのよね」


 荀彧「それって実際詰んでるのでは?」


 麟杏「大丈夫だよ。私に任せて!この中でせ」


 荀彧「わーわーわー。何してんの麟杏!」


 麟杏「えー。分かんないなら聞けば良いかなって、ダメ?」


 荀彧「君、普段は聡明なのに偶に馬鹿になるよね」


 麟杏「うっ。否定できない。ど、どうしよう?」


 荀彧「はぁ。仕方ないなぁ」


 麟杏「きゃっ!」


 荀彧は麟杏の手に指を絡ませて手を繋いだ。

 恋人繋ぎというやつである。


 商人「若いのに見せつけてくれるね〜」


 荀彧「おっちゃん。彼女に可愛い髪飾りを贈りたくて、東平陵とうへいりょう産は無いかな?」


 東平陵は、鉄の産出国だ。

 荀彧は遠回しに聞くことで済南国から売りに来てる売り物は無いかと聞いたのだ。


 商人「東平陵産か。それなら向こうの店頭で売ってるのを見たな」


 荀彧「ありがとおっちゃん。これでりんごを1つ頂戴。彼女の大好物なんだ」


 商人「毎度あり。嬢ちゃんもいい彼氏さんを持って良かったなぁ」


 麟杏「あ、ありがとう」


 その場を離れる2人。


 麟杏「どうして、私の好物を知ってたの?」


 荀彧「婚約者なんだから当然だろ?ほら、次は髪飾りを買いに行こう」


 麟杏「う、うん!」


 さっきの商人に教えられた場所へとやってくる2人。


 済南国商人「なんだよガキが色気つきやがって。冷やかしなら帰んな!」


 荀彧「おっちゃん、冷やかしじゃないよ。彼女に僕の故郷の鉄で作られた髪飾りを贈りたいんだ」


 済南国商人「へぇ、坊主の故郷は俺と一緒か。都で同郷と会えるとはねぇ。ここは地方の人間の品物を買い叩く奴ばかりで最悪だからな。で、どんなのが欲しいんだ?」


 荀彧「せっかくだから麟杏が選んで良いよ」


 済南国商人「おいおい、坊主そいつはいけねぇ。男なら愛する女に自分で選んだものを渡すべきだ。例え、感性が合わなかったとしてもな。ガハハハハ」


 麟杏「私もそっちの方が嬉しいかな」


 荀彧「でも、せっかく一緒に買いに来たんだし」


 済南国商人「おいおい坊主。こういうのは情緒ってのが大事だ。坊主が彼女のために選んで買ったっていう付加価値ってのがわかんないもんかねぇ」


 荀彧「じゃあ…」


 荀彧は、並んでる髪飾りを見てどれが麟杏に似合うか真剣に考えていた。


 荀彧「(緑は違う。青も違う。赤…でもまだ清らかだし白ってのも。黄色は…可憐ではないしなぁ。腹黒いからいっそのこと黒。いやいやいや、これは嬉しくない。上品な紫…大人の色でもあるし似合うかも)」


 済南国商人「坊主、どうだ決まったか?」


 荀彧「うん。決めたよおっちゃん!この紫にする!」


 済南国商人「ほぉ。何で、可愛らしい色じゃなくて紫を?」


 荀彧「僕より大人な麟杏に似合うかなって」


 済南国商人「成程…。良かったなぁ嬢ちゃん」


 麟杏「はい。とても嬉しいです」


 荀彧「じゃあ、これで」


 済南国商人「毎度あり。コイツは坊主にオマケだ」


 荀彧は商店から離れてさっき渡されたオマケとやらを見る。


 麟杏「初めは怖かったですけど良い人でしたね」


 荀彧「うん。それにしてもこれ何だろう?」


 麟杏「落雁らくがんじゃないかしら?」


 紙を開くとそこには麟杏の言う通り落雁と何やら文字が書かれていた。


『同郷って言われて、初めはピンと来なかったが。アンタ、荀緄様の息子の荀彧様じゃないか?相談事があるなら、この場所に止めてる荷馬車の荷台で。違うなら無視してくれ。また後でな』


 麟杏「これこそ天の助けなのでは!」


 荀彧「そうだね。それにしても、もうすぐお別れなのに、麟杏はそれで良いの?」


 麟杏「へっ?お別れ?何を言ってるの?私も勿論旦那様に付いて行くわよ。当然でしょ」


 荀彧「それは、君の養父と敵対するってことになるけど」


 麟杏「私は荀家に嫁いだのだから、荀家と共にすることに何の問題があるのかしら?」


 荀彧「君って人は…とても嬉しいよ」


 麟杏「私も。済南国では毎日イチャイチャしようね」


 荀彧「そ、それはまだ早いんじゃないかな」


 こうして、所定の場所で荷馬車に乗ると。


 済南国商人「やっぱり荀彧坊ちゃんだったか。ここに来たってことは、やっぱり何かお困りごとがあるのかい?」


 荀彧「父が危ないから済南国へ戻りたいんだ」


 済南国商人「それって人質の身分から脱出するってことと捉えて良いですか?」


 荀彧「うん」


 済南国商人「わかりました。昔、お世話になったので何も言わず脱出に協力します。ただし、こちらの指示には絶対に従ってください」


 荀彧「わかった。ありがとう」


 こうして、荀彧は済南国へと向かう荷馬車に乗って、洛陽からの脱出に成功するのだった。

 その傍らには十常侍から略奪した愛しい人を添えて…。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。

 少しでも楽しい・面白い・続きが見たいと思って頂けましたら、下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から評価してくださいますと執筆活動の励みとなります。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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