平和な世界
ルシエルさんは、まだ笑っている。
でも、さっきまでのそれとは違って、どこか空っぽだ。
「……ま、いいよ」
軽い声でそう言って、いつも通りの表情に戻った。
「――どうせ分かるから」
え? と思ったけれど、聞けなかった。
――――――
……人間と魔族はどうして争うんだろうね。対立しない、平和な世界を何度望んだことか。
そう、そのために私は聖女として頑張ってきたんだもん。私は、最初は診療所で働いていた。戦闘がほとんどない地域で、私が治すのは病気の人とか、軽い怪我の人が中心だった。
でも、ある時魔族が私たちの町にやってきた。その時に出会ったのがルーカス。魔族が町を襲って、何もかもが壊れた。
今でも、思い出すと胸が苦しくなる。町の人達が、顔見知りの人達が。……私は何も出来なかった。あの場で治療できるのは私だけだったのに。
……私にもっと力があれば、もっと多くの人を救えた。私がもっと頑張れば、誰かの命が助かったかもしれない。
私には与えられた力があるのに、最大限に使えなかった。
だから、魔族に襲われる人が少しでも減るように。私はルーカスと一緒に行動することを選んだ。
……あの時から、私は魔族を憎んでいた。なんの罪もない町の人を虐殺して。
それは、優しい生物のすることではないと思う。戦闘を楽しんでるなんて、本当に馬鹿げてる。
でも、そんな残忍な生き物は、魔族だけではないのだろう。人間も、十分すぎるくらい残酷だ。
相手を苦しませて勝とうとすることは、どれだけ卑怯で惨い行いなのか。……そんなことをするくらいなら、正々堂々と挑んで玉砕した方がいい。……少なくとも、私ならそれを選ぶ。
――私は最期まで人でありたい。
そう、願っているから。
更新遅れてすみません!!
4月から生活変わったので書く時間があまり取れなくなりました……。
週1投稿を目安に頑張ろうかなと思っています。ブックマーク&評価と感想頂けると嬉しいのでぜひお願いしますっ!!




