表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わりなき理想郷  作者: DDice
空よ哭け、地よ呻け、空虚な夢物語は終わりなく
49/60

いざ征かん、空の裏側へ

 濃密な会議の末、俺は奈穂(なほ)さんの相手を。文野(ふみの)香苗(かなえ)さんの相手を。遼太郎(りょうたろう)さんは蜘蛛野郎とやらの相手を。そして、燈樫(ひがし)さんは最優先目標が津雲(つくも)さんの奪還、その後援護に行くということになった。

 そして、(おおとり)さんと波留(はる)さん、彩花(あやか)の3人はドローンで四人と(ひかり)ちゃんを移送&護衛をすることになった。

「それじゃあ、みなさん覚悟はいいですか?」

 全員が互いの顔を見合い、強く静かに頷く。それを確認した俺は2()()、懐中時計のボタンを押した。




2017年07月21日(金)0時31分 =旧文野(ふみの)宅=


 瞼を素早く開け、行動に移る。俺たち襲撃組は素早く体にドローンに繋がったロープを巻き付ける。

「それじゃあ、俺は先に置いてきた薙刀を回収してくる。」

 そう言うと遼太郎(りょうたろう)さんは一足先に宵闇の街中へと飛んで行った。

「二人とも、準備はいい?」

 文野(ふみの)が俺と燈樫(ひがし)さんに問いかけてくる。

「もちろん、万全。とはいかないですが、なるべく粘りますよ。」

「ああ。命大事に、ガンガン行こうぜ。俺たちには大義名分があるからな。」

 そう、大義名分がこちらにはある。

 それは、俺がこの町に来た理由である対神課の()()()()。俺に課せられた任務はただ一つ。奈穂(なほ)さんに一撃を入れること。そのためであれば何をやっても良いと言質は取っている。だから、今回はそれを利用させてもらう。本来、警察署への襲撃などと言う行為は称されるべきことではなく、どう考えても非常識な行為。重大な違法行為とされる可能性さえある所業だ。だが、今回に限り主目的ではないが目的の一つとしてそう言う理由があるということで目をつぶられる可能性に賭けている。だから、俺はどうしても奈穂(なほ)さんとかち合わなければならない。逆に、それ以外に出会ってはまずいことになる。だから、これは針穴に毛糸を通すぐらい難しい運ゲーに勝たなければならない。

「そう言えば、文野(ふみの)。お前、(れい)の服の中をまさぐってたが何をしてたんだ?」

 燈樫(ひがし)さんがそう問いかけると、文野(ふみの)は薄ら笑みを浮かべる。

「ちょっとした保険だよ。何かがあったとき用のね。」

 そう言ってから、文野(ふみの)は慣れた手つきでロープを巻き付ける。そして、ベランダへと出る。うっすらと輪郭が見える月に照らされた夜の街は静寂に包まれていた。

「さあ、行こうか。未来を書き換えにね。」

 文野(ふみの)がそう言ったのを皮切りに俺たち3人も遼太郎(りょうたろう)さんのように静寂の街へと降り、警察署へと向かう。




2017年07月21日(金)0時44分 =住宅街(まじな)い屋近郊=


 薙刀は回収した。しかしながら、着地をミスっちまったせいでロープが解けちまったからどうしたものかと考えていたが、運がいいのか悪いのか。だが、変に見失うよりかはよかったかな。

「そう思わないか、蜘蛛野郎。」

「この身体の名前は狭間(はざま)潤一(じゅんいち)だ。蜘蛛野郎と言うのは間違ってはいないが、ちゃんと名前で呼んだ方がいいぞ、狛凪(こまなぎ)遼太郎(りょうたろう)。」

 俺は警察署に向かう道中、幸か不幸か蜘蛛野郎と出会うこととなった。であれば、足止めをするのみ!


狛凪流(こまなぎりゅう)  居待月(いまちづき)


 狛凪流(こまなぎりゅう)の一つ、居待月(いまちづき)狛凪流(こまなぎりゅう)唯一のカウンター技であり、相手の行動によって大きく行動を変化できる技だ。上弦月(じょうげんのつき)下弦月(かげんのつき)有明月ありあけのつき。様々な技に変化できる技だ。

 さあ、来い。どこから来たとしても、お前のあの糸に対応してやる!

「お前が何を考えているかは知らないが、そんな見え据えの罠に引っかかるほどお利口ではないのでね。お前に足止めされるほど暇じゃないんだ。それじゃあ、失礼させてもらう。」

 そう言って奴は糸を掌から噴射し、瞬時に家々を飛び越える速度で打ち上げられる。

「マジかよ!?」

 流石にあんな速度で飛ばれたら追いかけることは難しいな。それも、家を超えるほどの跳躍力。糸で射出されているからと言っても明らかに異様な速度だ。

 俺も急いで後を追うように駆け出す。あっちの方向は...(まじな)い屋か...?

 追いかけ、住宅街の曲がり角を二つ曲がる。そして、着地したであろう箇所を目撃した瞬間、そこには驚きの光景があった。

 (おおとり)がどこから持ち出したのかわからない、黒い羽のような大剣で狭間(はざま)と戦っていた。

「おい、お前の担当じゃなかったのか?」

「うっせぇな、協力しやがれ!俺だけじゃどうしようもできねぇよ!」

 まだ、時間を稼がねぇといけねぇ。早く終わらせてくれよ、お前ら!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ