幕間_その14_初詣
高 → 高島さき
加 → 加賀遊規
新 → 新渡戸夕貴
蔵 → 蔵野まち
山 → 山田ヒロアキ
ひ → 山田ひろみ
皆で初詣に来ていた。
高 「ねぇ、神社に行ってお寺に行くのって、何か不思議よね」
加 「そう?」
新 「しょうがないから神社にいったー」
高 「新渡戸君、ダジャレいらないからっ!」
新 「ほう、よく気付いたな。英語を混ぜているというのに……」
高 「あたしだってスキルアップしてるのよ!」
加 「ダジャレに超反応する恋人ちょっとやだな……」
高 「え……ごめん加賀君! これからはダジャレ放置するね!」
加 「……で? 何の話だっけ?」
高 「神道と仏教でしょ? 神社行ってお寺行くのって不思議よね。異なる二つの宗教じゃない?」
新 「クリスマスも祝ったしな、キリスト教も合わせて三つだな」
高 「無節操よね」
加 「それが日本って名の宗教なんだよ」
新 「そういや加賀もたまにラマダーンみたいなことするもんな」
加 「いや、お前それはただ金がないのと面倒なのとでご飯食べれないだけだ」
高 「加賀君加賀君! あたしがごは――」
加 「ノースペクタクルで!」
高 「むー……」
加 「あぁ! 可愛いなぁ!!」
加賀が、高島の頬を指でぐにぐに押していた。
新 「バカップルはどっかいけ」
高 「むにぃー……加賀君やめふぇー……」
加賀はしばらく頬を押して満足したようで、手を放した。
落ち着いたところで高島が言う。
高 「でもさ、色んな宗教受け入れられるって、素敵なことよね」
新 「俺もそう思うよ」
加 「うん。僕も」
新 「世界平和を祈っておきますか」
高 「へぃわぁ」
加 「へぃわぁ」
新 「……お前らふざけてるのか?」
高 「よく言われるけど至って真面目よ。ね?」
加 「うん。それに馬鹿やってたほうが楽しいじゃん」
新 「それは確かにそうだな」
高 「…………いつかはここにいる皆も変わっていってそれぞれの道を進むんだよね」
新 「ああ、そうなるだろうな」
高 「変わることが普通なんだよね」
新 「ああ」
高 「色んな経験して、色んな情報が影響与えて、いつしか麻痺してしまうこともあるんだろうね」
新 「ああ、そうだな」
高 「なんだかそれ信じられなくて、実感湧かなくて……でも、もうみやこちゃんはいなくなっちゃったっていう事実も……あって、あたしは怖がりだね……先に進むのが怖いのよ……」
新 「それは、俺も、加賀も同じだよ」
加 「そうだね、僕も怖がりだから、まだ……」
新 「傷を塞ぎたくないんだよな、加賀は」
加 「僕の心読んで深層をえぐるのやめてよ」
高 「あたしをただのかさぶたにしないでよ?」
加 「……そうしたくないから……まだ進みたくない……のかな? 自分でもよくわかんないや。はい、この話はやめよう」
高 「うん。あたし達はおみくじで大吉出たもんね。何でもうまく行くよ!」
加 「そうだね!」
新 「俺は凶引いたよ……」
高 「おみくじも嘘だといいねっ」
新 「……酷いこと言うなぁ」
高 「あははは」
新 「まぁ、あれだ。俺は、今年から俺として生きるぞ! いいな?」
高 「うん、今年もよろしく」
新 「あ、そういえば一番大事なこと言い忘れてたぞ、俺達」
加 「え?」
新 「あけましておめでとう!」
高 「――ありがとう」
新 「さきちゃん……違う、それ違う!」
高 「ごめん、反射的に」
加 「新渡戸、もう一回だ。せーので言うか?」
新 「そうだな、せーの」
「「「あけましておめでとう!」」」
加 「……なんか、新鮮だね」
新 「あとで全員でやるか」
加 「だな」
山 「おーい、新渡戸ー、加賀ー、高島ー歩くの遅いぞー」
新 「お前ら二人が速いんだろー……ってあれ? ひろみは……?」
加 「ついてきてるもんだとばかり……」
新 「ヒロアキー! ひろみどこだー?」
山 「あれっ、また迷子かっ!」
加 「元旦から迷子って……」
高 「ひろみちゃんらしいー」
山 「まち!」
慌てた声を上げたヒロアキ。
蔵 「ええ、全力で探すわ」
走り出したまち。
山 「見つけたらここに戻って来いよー」
まちは、その声をきいた途端に戻って来て、ヒロアキの手を掴んだ。
蔵 「あんたも来るのよ!」
山 「何でっ!?」
蔵 「に、新渡戸ー、そこで待ってろよー!」
加 「……だってさ」
新 「動かないと寒いんだがなー」
高 「寒いー」
新 「俺が温めてやろうか?」
高 「うわ、やだ」
加 「…………」
高 「加賀君……じゃあ僕がとか言わないわけ?」
新 「……加賀は甲斐性なしだからな」
加 「ひっついたらひっついたでバカップルって言うんだろ?」
新 「褒め言葉だよ」
加 「……さ……さきちゃん、じゃあ僕が……」
蔵 「ただいま」
新 「速いなおい」
高 「むー……」
蔵 「私を誰だと思ってるの? 数十秒で見つかるわよ」
山 「ハァ、ハァ、ハァ」
加 「ヒロアキは何でそんなに疲れてるんだ?」
山 「た、鍛錬不足です……っはぁ」
蔵 「さ、それじゃ帰りましょうか」
新 「あ、ちょっと待った」
蔵 「何よ新渡戸のくせに」
新 「新渡戸のくせにって……ひでえな……何も言ってないのに」
蔵 「気にしないで」
新 「……たく。で、だ。よかったら、うち来ないか? 特に何もないけどよ」
高 「おお、新渡戸くんの家なら皆で暖まれるね」
蔵 「行きましょうか」
「おー」「おー」「おー」「おー」




