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リロード  作者: 黒十二色
第二部:RE LOAD
32/125

幕間_その8_あたしは、あたし。

視点:蔵野まち→山田ひろみ

 あたしは知らないはずのこの人たち。

 あたしは知っている気がした。

 でもあたしは知らなくて、こういうの、どう言ったら良いんだろう。


 表す単語をあたしは知らない。


 ぼんやりふわふわした、水の中で誰かの声が聞こえてくるみたいな音。

 皆が喋っているのが、どこか遠い世界の出来事で、

 声が遅れてきこえてくるみたいな感じがする。


「確かに、みやこちゃんにどことなく似てるけど……」


 みやこって誰?

 あたしの名前じゃない。


「霧野に似てないじゃん」


 あたしは、あたし。でも、どう言えばいいだろう?


 あたしは言葉をよく知らない。


 知っているはずだと思う、よくわからないあたしもいる。


 もしもたくさん言葉を知っていたら、この人たちともっと話したいのに……。


 あれ?


 でも、皆が、何を話しているのか、少しだけだけど、わかるんだから、

 きっとあたしは、もっとたくさん、言葉を知っているはずなんだけどな。




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