猫の能力
妖精は身をかがめ、ネズミ目がけて飛びかかろうとした。
「ストーップ! その前に、ネズミに魔法をかけるわ」
ヨシコは、ネズミにパワーアップの魔法を唱えた。
すると、メキメキと体が大きく膨らみ、妖精と同じくらいのサイズになった。
「えっ、ちょ、何してるんですか!?」
「そりゃあ、ただのネズミを倒しても経験値は微々たるものだから。 これなら、経験値もがっつり入ると思うわ。 ただ、油断したらやられるわよ」
ネズミは2本足で立ち、ファイティングポーズを取った。
予想外の反応に一瞬戸惑うも、妖精も負けじとファイティングポーズを取る。
(ネズミの癖に、生意気です!)
まず、仕掛けたのはネズミだった。
素早い跳躍からのジャブで、妖精はガードを強いられた。
腕で顔面を覆い、ジャブのつなぎ目を狙う。
(相手が疲れて手を休めたところが、好機!)
その時、妖精は天を仰いだ。
(えっ!?)
妖精の片方の足に、ネズミの尻尾が巻き付いている。
ニヤリ、とネズミの口角が上がった。
ドスン、と体が横転すると、ネズミは前歯を外し、右手に持った。
ガスガス、と馬乗りで攻撃を食らう。
(くっ、卑怯ですっ…… そ、そうだ!)
妖精は手に隠していた爪をシャキン、と伸ばす。
それを見たネズミは驚いて飛び退いた。
(仕切り直しですが…… 右目を負傷しましたね……)
先ほどの前歯で目の上を切った。
そこから血が流れ、右目が塞がる。
ネズミは当然死角になった右側に回り込もうとするが、左目で何とかその姿を追う。
その瞬間、反転して左に飛び出し、妖精は背後を取られた。
「……チチッ!?」
反射的に妖精は飛び上がっていた。
猫には、爪以外にも並外れたバネが武器として備わっている。
妖精は好機と、空中で爪を構える。
「くらえーーーーーっ!」
「ピギイイイイイイイイイーーーーッ」
ズン、と妖精の爪がネズミの脳天を貫いた。
ネズミの命は絶たれた。
「はあっ、はあっ……」
「おめでとう。 でもまだよ」
振り向くと、巨大なネズミがもう1匹いた。
「ま、まだいるんですか!?」
「連戦だと経験値が1.2倍に増えるわ。 つまり、さっきのネズミで100の経験値とすると、このネズミを倒せば合計で200。 さらにボーナスでプラス40の経験値が追加される。 お得でしょ?」




