3話 過去に触れる
「少し思うのだけど
貴方達怪物は
どの様にして
産まれてくるの?
生物と同じように
みんな腹から産まれるのかしら?」
「あのねぇ
私達にも
種族があるし
その分違いもあるから
全員が全員
腹から生まれるわけでは無いよ
それはお前達にも言える事だろう?
卵を産む奴もいるし
分裂する奴もいる
種族によって多種多様な
方法があるわねぇ」
「へえ、そうだったのね
みんな同じものかと思ってたわ」
若干の驚きが混じった言葉だった
「私はこれとは違う
方法で産まれたんだけど
説明してると止まらなくなりそうだし
止めとこっかねぇ」
気持ち明るい声でそう言った
「私としては
お前が本当に人の腹から
産まれたのか
気になるのだけどねぇ
あの時のお前の事を
思い出すとどうも
私の知っている人類とは
異なる部分が多すぎるんだよ
お前はさ
元から人じゃ無かった
だから私を受け入れられた
なんて
ありえない話だけど
でもその可能性も
無視出来ないのよねぇ」
重々しく話した
「・・・・・・・・」
暫くの沈黙
「実を言うとね
あの時
お前を助けたのは
私じゃなくて
お前自身だった様な
気がしてならないんだよ
あの時
私は死に掛け
お前も死に掛け
そんな状態で
私はお前に賭けた
成功するなんて
思わなかったけど
成功した
これは偶然なのか
偶然では無いのか
だから一層
気になっているのさ
何であんなふうに簡単に成功したのかねぇ」
辺りの空気が一層重く感じる
「ま、今生きてるからそれで
良いんだけどねぇ
そんな事より
ハラヘッタよ」
諦め半分でそう言った
「・・・・今日は好きに暴れて良いよわよ」
とんでもない爆弾発言
「え゛良いの?
すき放題食べ散らかしても良いの?」
「ええ、良いわよ
と言うか
食べ散らかせ
とにかく暴れまくれ
壊しまくれ
今日は暴れたい気分なのよ
陰陽師だろうが
怪物だろうが
関係ない
殺せ
殺しまくれ
酷く
凄惨にさ」
「良いけど・・・・
お前本当に
お前なのか
あの話が
そんなに気に障ったなら
謝るよ
そこまで感情的になら無くても
良いんじゃないかねぇ」
若干の恐怖を孕んだ言葉だった
「別に私は私だわ
それより
はやくしなさい
はやくしなければ
私が貴方を殺しかねないわよ」
狂気の沙汰としか思えない言葉だった
「お前
完全に怒りに身を任せてるねぇ
凄まじい殺気
やっぱ良いや
別に死にそうって分けでもないし
また今度
今はとりあえず落ち着きなよ
そのままいくと
本当に不味いよ
お前は並大抵の
怪物とは比べ物にならない
程の力を持っているんだからねぇ
悪いけど力ずくでも止めさせてもらうからねぇ」
そう行った瞬間髪の毛が
体全体を縛り上げた
「これは何のつもりかしら?
貴方は人がどうなろうと
良いんじゃ無かったの?」
「そうでも無いさ
人が絶滅なんて事になったら
同属達の食べ物が無くなってしまうからねぇ」
「別に全て殺すわけでは無いわよ
ただ目に入った人を殺すだけ」
「違うね
絶対に止まらない
人どころか怪物も
皆殺しにしても
絶対に止まるような
怒りじゃない
こっちにも
多少だけど伝わってくるんだよ
私でさえ飲み込まれて仕舞いそうに
成るほどの凄まじい怒り
そんなに触れて欲しく無かったのか?
なら謝る
ごめんなさいもう二度と触れません
ほらちゃんと謝った
だからこんな
怒りを静めてくれ
こっちまで狂いそうなんだよねぇ」
焦り気味の声
「なら狂って仕舞いなさいよ
貴方もそうだったのでしょう」
「確かに私は狂っていた
だからあの時
死に掛けた
だからもう狂いたくは
無いんだよ
悪いねぇ」
そういって一層きつく締め上げる
「ぐっ、なんで私に貴方が攻撃できるの?
私の許可が無ければ何も出来ないのに」
「どうしてだろうねぇ
少なくともこのまま
暫く締め続けられていられそうだけど
どうするのかな
このまま締め続けられるか
落ち着いて話をするか
できれば
落ち着いて話をして欲しいんだけどねぇ」
ギチギチと嫌な音が鳴り始める
「あ、があ、ぐ、い、」
もはや声すら出せないほどに
きつく締め上げられ
目に光が無くなり始めた
「そうねぇ
いっそこのまま
落としちゃいましょうか
その方が安全そうだしねぇ」
「あぁ・・・・・・」
暫くすると
人形の様に
動かなくなった
「なんで
高々人間程度が
これほどまでの
怒りを・・・いや
もはや狂気と言える物を
抱えて正常で居られたのか
疑問ねぇ
人なのかと
言われたことが
きっかけで暴走した事も
気になるし
どうしたものか
私でさえももう少しで
狂って仕舞いそうだった
狂気か
やっぱりさ
お前は人間では無いよ
絶対にねぇ」
誰も居ない暗い部屋の中でそう呟いた
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