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第7話 何度も跳ねる

ウィーーーン




耳に入ってくる煩雑な音楽。


金属音を響かせる機械。


人々から感じる熱気。


そんな煩わしいものたちも、今は私を祝福している。


なんたって、カフェでデートからのゲームセンターに今来ている。まさに華のJKの模範的行動と言える。


そして隣にいるのは現在六百円目の理君。


「おかしいな。僕の完璧な物理演算だと、もう5回は取れているのに」


そう言ってさらに硬貨を投入していく。


私にはなぜ欲しいのかはよくわからないが、原子周期表のクッションが欲しいらしい。


というかなぜそんなものが景品になっているのか?このゲーセンのセンスはいつ見ても謎である。


「ちょっと貸して。1回やらせてほしい」


そう言ってお金を投入する。ここで華麗にとってプレゼントをしたらどんなに喜ぶかが目に浮かぶ。


『プレゼントが、大きな愛を育てる。特に、それが思いがけない時に届くなら』


とのオーヴィル・ミラーさんも言っていた。


古今東西、プレゼントは相手の心を射抜くために必要なのだ。


アームが金属音を立てて動き、クッションの上で止まる。


ガシッと掴むと、クッションが上がっていく。


『この瞬間が、ドキドキだね!』


UFOキャッチャーの機体から声が聞こえる。


あと1秒でも持っていたら入る。


そんな時、アームがクッションを離そうとしてしまう。ヤバい。


ガタッと音がして、アームからクッションが離れてしまう。


獲得口の壁さえなければはいるかもしれない、だが、そんな甘いことは世の中には存在しない。心の中で諦めをつけ、もう百円を投入しようとしたら、跳ねた。


落ちたクッションが跳ねた。


バネが入ってるのかというレベルで、跳ねた。


跳ねた勢いで壁を越え、獲得口に自由落下していく。


『すごーい!獲得だよ!』


「「やったー!」」


思わず声が揃ってしまう。周りの人たちも心なしか笑顔に見える。


「やったね。獲得だよ!」


そう言って私は景品を取り、彼に手渡す。


「え?」


そう言ってキョトンとした顔で見てくる。


「これ、あげるよ。欲しかったんでしょ?」


「いや、いいよ。愛嬢さんが取ったやつだし……」


彼は一歩身を引く。


「いやいいって。何より原子周期表のクッションはいらない。マニアックすぎる」


「え、そうかな?そんなことないと思うけど……」


「まあいいから受け取って」


そう言って私は彼の腕にクッションを押し付ける。


「なんか他のもやろうよ」


流れるようにそう言って私は指をさす。


そこにあるのは、とてつもなく怖いで有名な、『チック・ザ・マッスル』だった。

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