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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
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(316)調査の前の偶然②

 余りにも部屋が汚くなっているので、探すべきところは探し終えたと判断した校長がタッシュの暴走を止める。


「そろそろ次の部屋に行きましょう。これ以上探す場所はないでしょう?」


「・・・何処に隠した?」


 未だにヨーレイを無駄に疑っているタッシュだが、冤罪ながらも疑惑の目を向けられているヨーレイは反応できない。


 本来あるべき場所にダイヤジャックから借りている道具がなかったので、何故このような状況になっているのか全く理解できなかった為だ。


「ヨーレイ先生?申し訳ありませんが部屋の片付けが必要でしょう。先生はこの場に残って頂いて結構です。本日の業務は終了になりますので帰宅して頂いても良いですよ?一応守衛によるチェックは受けて頂きますが。さっ、行きますよ?タッシュ先生」


 校長が強引にタッシュを連れ出しており、実のところはもう少し冷静に家探しさせたかったのだが、少しだけ自分も疑惑を持ってしまった事とタッシュの勢いから無駄に止めてしまうと中途半端な調査だったと主張する可能性が高いとも思ったので止めなかった。


 結果的に疑惑は晴れている状況になった為に、申し訳なさからヨーレイをここで完全に開放していた。


 当然仮想の道具の話をしているので、どこを探そうが品を見つけられるわけも無く・・・数時間後に再び会議室に戻ってくる二人。


「皆さんも問題なかったようですね。結果を申し上げますと何処にも道具は有りませんでした。ヨーレイ先生は調査の段階で相当部屋が荒れてしまいましたので、片付けをした後に帰宅を許可しています。もちろん疑いの目がかからない様に守衛のチェックは受ける事になっていますよ?」


 校長はヨーレイがいない事情を説明し、これ以上できる事はないと解散を宣言した。


「それでは最後は大変残念な結果になってしまいましたが、今のところ関係者は完全な白である事は嬉しい知らせです。今後は各自でタッシュ先生の情報を基に、時間のある時に調査する事にします。では解散!」


 ザワザワしながら教官が部屋から出て行く流れに乗って、タッシュも悔しそうに出て行く。


「あの態度であれば、悔しさをばねに本当に作ったのかもしれませんね」


 その様子を改めて確認した校長は、結果的にタッシュが本当に練成に成功していたのならば近い内に同じ品が公開されるだろうと思っているので悲壮感は一切ない。


 タッシュは被害者と認識されているので唯一調査対象になっていない為に、誰も来ていない部屋に戻ると・・・そこには一人の男がいた。


「タッシュ。随分と待たせるな?お前は今日、新たな道具を発表したのだろう?余にもその成果を見せて見ろ!」


「ゼシュー王子・・・どうやって?生徒は誰一人入っていないと報告を受けましたが?」


「はははは、余にかかれば守衛を黙らせるのは容易い。国家繁栄に繋がる成果を直接見るためにお忍びで来たのだ。余が誰よりもこの情報をいち早く陛下に報告すれば、未来の王位は盤石になる!」


 第二王子のゼシューがソファーにふんぞり返っており、何故かいつも以上に自信満々の態度になっていた。


「そ、それが・・・新たな道具は盗まれたのです。あれ程の道具を練成するには相当な素材と技術が必要で、再び練成するにはあり得ないほどの時間が必要になります」


 少し冷静になったので自己暗示は解けたのか自分は道具の改修を試している途中に意識を失った事を思い出しており、ポケットには性能を確認する前の状態の道具が入っている事も把握している。


 この場で成果として出さないのは、やはりしっかりと練成出来た確証が無いので出せないと言った表現の方が正しいだろう。


「ははは、そうか。では余が非常に素晴らしい成果をお前に貸与してやろう。余が練成したと公にする事も考えたのだが、その場合二度目を要求されては対応できないからな。だがタッシュ!お前の実力があれば自らの功績としても問題ないだろう?」


 ゼシューが懐から取り出したのはタッシュのポケットにある道具と比べると一回り小さい道具であり、一見したら周辺に落ちている綺麗な石と言っても疑われないレベルだ。


 投げ渡されて受け取ったタッシュは、この道具がどのような効果があるのか不明の為に起動する事を躊躇している。


「タッシュ。魔力を少しで良いから籠めてみろ!」


 最も力のある第二王子から命令されては断れないので、そもそも道具の補助がなければ微弱な魔力しか持っていないタッシュであれば意識せず共少しの魔力しか流せない。


 流すと言う概念は魔力分野の領域だが、練成する時と同様に意識をこの道具に向ける事で微弱な魔力が流れると・・・周囲に淡い光が現れる。


「な・・・王子!ゼシュー王子!これをどこで?」


 正に待ち望んだ魔力可視化の道具であり、タッシュの微弱な魔力でも正確に起動して鮮やかに可視化された魔力が見えている。


「余にかかればこの程度の道具を仕入れるのは容易い・・・と言いたい所だが、コレは偶然発見した品だ。何と言ったか?無能教官がいただろう?」


「魔力担当教官のヨーレイでしょうか?あの無能は錬金術の能力を持っておりませんので、絶対にこのような品は作れませんが?」


「そうだろうな。だが、腹いせに何かできる事はないか部屋に入って漁っていた所でコレを見つけたのだ。何の道具かは分からなかったが例の道具と似ていた上に、あの場にあると言う事は魔力に関係する品である事は間違いないだろう?おそらくジャッ君とか言う奴が再び準備した品だと思い余が事前に起動してみた結果、素晴らしい成果を得たわけだ」


「す、素晴らしいですね!では、私がこの品を練成したと公にするのですね?」


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