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暴走能力を持つ主の苦悩  作者: 焼納豆
297/321

(296)結果①

 宿でダイヤジャックをクラスメイトとして扱うことを宣言したロイは、これで授業を続けて受講できると安心して眠る。


 ダイヤキングは一言二言ジャックにロイの指示を違えないようにアドバイスするとカードに戻り、ジャックはそのまま音もなく学校に向かった。


 教室の場所を含めて全てを把握しているので誰にも気が付かれない状態でさっさと一人教室に入って席に座り、最も早く来るミルバを安心させようと思っている。


 ヨーレイもそうだがミルバも主であるロイの大切な人との認識なので、心労は少しでも減らそうと自ら考えて行動している。


 過剰な力を使うことは厳に禁止されているので、この程度であれば問題ないだろうと未だ日も替わっていない時間帯に席について微動だにせずその時を待っている。


 翌朝スペードキングからダイヤジャックは既に教室で待機中と報告を受けたロイは、今日も楽しい一日が始まると食事をすると学校に向かう。


 楽しいの中にはタッシュとゼシューの目論見が完全に瓦解して悔しがる姿も含まれており、権力を権力とも思えない常識から外れている様を見せつけている。


「おはよう!」


「ロイ君、おはよう。ロイ君の言っていた通りに新しい仲間が来てくれたよ!」


「自分はダイヤジャックと言います。町で一度お会いしたことがあるロイさ・・・ロイ君に声をかけていただいて、とても嬉しいです」


 なんとも説明口調で色々と突っ込みたいところが満載だが、ミルバもこれで授業が続けられると喜んでいた。


 この授業を受けて何とか能力を発動した際に、その能力が国家繁栄に有用と判断されれば無能のレッテルは完全に剝がれるので王位継承の争いに再び名乗りを上げることができると思っている。


「お、おは・・・本当だったのですか?」


 その後に落ち込んだ雰囲気のヨーレイが入室すると、ダイヤジャックを見て喜びに打ち震えている。


「自分はダイヤジャックです。長いので、ジャックとお呼びください!」


「そ、そっか、ジャックさんですか。よろしくお願いします。わ、私は魔力分野担当教官のヨーレイです」


「こちらこそよろしくお願いします。クラスメイトとも早く打ち解けたいので、先生にも親睦を深める意味でもジャック君と呼んでいただければと思います!」


 ヨーレイは全員を“さん”付けで呼んでいるのだがなんとなく壁ができているし教師の方が生徒に対して過剰に配慮していると映るので、これを機に変えたいとロイが呟いていた対策を実行しているダイヤジャック。


 クラスが消滅しない安堵、自分が何かしらの能力を得る夢が潰えていない安堵、担当教官という立ち位置を失わずに済んだ安堵によって暫くはダイヤジャックを含めた雑談で授業は始まった。


「で、ジャッ君(・・・・)はロイ君と町で知り合ったらしいですよ、ヨーレイ先生。素晴らしい出会いでしたよね?」


「そ、そうなんですか。本当に一期一会・・・正直本当に助かりました。ありがとうございます、ジャッ君」


 何故かジャック君ではなくジャッ君になってしまったのだが、壁が取れたように感じて嬉しくなっている様に見えるロイを見て指摘せずにその流れに乗っているダイヤジャック。


 ヨーレイは今まで必死に学んできた魔力分野の担当教官を続けられることに安堵していたのか、ロイが心配していた様にダイヤジャックに見惚れる事はなかった。


―――ガラガラ―――


 過剰に力を使うなと言われている以上は周囲の警戒をしておらず、またロイの安全はスペードキングがいる為に間違いなく問題はないので音を聞いて初めて来訪者がいたと知るダイヤジャックは、初めてその目で直接不届きな二人を確認した。


「おや?可能性としては考えていたけど、有象無象を一人強引に連れてきたのか。そのしぶとさには感心するよ?」


「タッシュ、安心しろ。当然余がこうなる事を見越して事前に魔力がある人物を必要最低条件とした。お前の道具で判別できるだろう?必死に足掻いた結果が無残に散るのを見るのも良い余興になるだろう!」


 望まぬ来訪者はタッシュ、ゼシュー、そして被害者と言っても良い少しだけ希望の表情になっている校長だ。


「ふはははは、わ・・・自分はダイヤジャックと言う。自分の能力を調べもせずに何やら否定的な事を言っている様だが、非常に不愉快だ。比較するのもバカバカしい程の格下から見下されるのは我慢ならん!」


 怒りによってダイヤキングの影響を大きく受けた素が出始め、思わず万屋としての対応が出そうになった為に一瞬言葉を飲み込んだ後に攻撃的に反応するダイヤジャック。


「・・・やはり無能のクラスには真面な態度も理解できない無能しか来ないのだな。お前が聞いているか否かは不明だが、この無能クラスに所属するには全く役に立たない魔力が相当量必要になる。判断基準としては無能らしくて良いだろう?審査はこの余自らが実施してやる。ありがたく思うんだな」


「お前はバカか?少し前の自分の言葉を聞いていなかったのか?遥かに格下から見下されるのは我慢ならんのだ。何故お前ごときに審査されなくてはならない?納得できる説明をしてもらおうか?あぁ?」


 ロイ以上に攻撃的で引く様子を見せないダイヤジャックなので、思わず反射的にヨーレイが事情を知らないのかと割り込む。


「ジャ、ジャッ君・・・あちらのお方は第二王子のゼシュー様で、隣のお方は最も重要な錬金術の担当教官であるタッシュ先生です。こ、このクラス存続の条件として、魔力の測定は実施されることになっていました」


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