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勇者がヒモになったなら  作者: ひーらぎ
「プロローグ」
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プロローグ

今作品は、C90「よろづ屋本舗」にて販売した作品となります。



挿絵(By みてみん)


 勇者業を休業してヒモになってから早三ヶ月が経過した。

 かつて魔王を滅ぼすべく聖剣を手に戦っていた勇者が現在戦っているのは、彼女の女神を思わせる微笑みと、そろそろ何かしないと、そんな危機感。

 しかし、自分の意思と裏腹に彼女がそれを許してくれるかは全くの別問題であり、

「何もしないのも結構苦痛なんだよなぁ……」

 すっかり定位置になった喫茶『雨宿り』の入口傍、左手へレジカウンターと開閉大窓を望むカウンター席でホットコーヒーを啜る朝のひと時を過ごしていると、


 カラン、コロン。


 今日もカウベルの音が響く。本日のお客様一号だ。

 半身で扉へ振り返ったのとほぼ同時に店内の掃除をしていた店長、栗色を薄くした髪を後ろでまとめた女性、水星深雨がとたとた小走りでやって来た。

「いらっしゃい。またサボりに来たんですか?」

「息抜きだよ、息抜き。ブレンド、ホットでね」

「飲んだらちゃんと働くんですよ。また怒られても知りませんからね」

 クスクス笑いながらコーヒーを淹れに戻った深雨を横目に、カップを傾けていると、

「おかわり飲む?」

「えっ、じゃ、じゃあお願い」

「でも飲みすぎると夜寝れなくなっちゃうから気をつけなね。なら、オレンジジュースとかのほうがいいかな……。アルトはなに飲みたい?」

「コーヒーでいいよ。まだ朝だし。あ、あとさ……おれ、今日から――」


 カラン、コロン。


 邪魔するように再びカウベルが鳴る。

 少しは空気読んでくれないかなぁ……。

 内心愚痴りながら、深雨へ空のカップを手渡し――『元』勇者、アルベルト・シュナイダーが頬杖を付いて、窓の外へ広がった五月晴れの空を覗き見た。

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