表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

『聖域の侵入者と、断罪の強制パッチ』

神界中央創造局、午前3時。

ソウゾウは深夜のオフィスで、4つ目の奇抜な世界『空しかない世界』の空気抵抗データを、流れるような手際でエレガントに計算していた。

その刹那、画面の隅で、第1話で創り上げた『おしゃべり植物の世界』の観測モニターが真っ赤に点滅した。緊急アラート。未知の質量データが、世界の内部に直接発生している。

「む……? 我が至高の箱庭エデンに、異物が混入しただと……!?」

ソウゾウが劇画調の鋭い眼光でモニターを凝視すると、信じられない光景が映し出されていた。

どうやって侵入ルートを見つけたのか、見知らぬ神2名が、植物世界の地表に直接その肉体を持って降臨していたのである。

「おい、この星マジで植物しかいねえぞ! ウケる!」

「しかもこいつら喋るぞ! ほら、火をつけたらどうなるかなぁ!?」

降臨した不届きな神どもは、ソウゾウの愛する植物たちを足で踏みにじり、おもちゃのように扱い、好き勝手に世界を荒らし始めていた。画面の向こうでは、おしゃべりな植物たちが「痛いよー!」「火はダメだよー!」と涙を流して悲鳴を上げている。

その瞬間、ソウゾウの逆鱗が完全に弾け飛んだ。

「ふざけるな……! 監視グループの目を盗み、私が血と汗を流して種を植え、剪定し、ようやく開花させた奇跡の生態系だぞ……! それを、そんな汚い足で踏みにじり、おもちゃのように扱いおって……!」

ソウゾウの顔面が、怒りで凄まじい劇画調の闇に染まる。全身の筋肉が怒髪天を突くほどの怒りで膨れ上がり、彼の肌から凄まじい熱気の蒸気が立ち上った。神界の大事件には目もくれなかった男が、自身の芸術を汚されたことで、真の「破壊神」のごとき覇気を放っている。

「私の……私のパッション(情熱)への冒涜は、万死に値する……っ!!」

ソウゾウの指先が、キーボードを破壊せんばかりの猛烈な速度でカウンタープログラムを打ち込み始めた。タイピング音はまるで機関銃の掃射のごとくオフィスに轟く。肉体的な殴り込みではない。超一流の技術による、冷徹でエレガントな神のハッキング断罪。

植物世界では、暴れていた神2名が突感、異変に気づいて足を止めていた。

「……ん? なんだ、足元の地面の座標がバグって――」

ソウゾウは血管の浮き出た凄まじい形相で、キーボードのエンターキーを、全霊の力で「ッターン!」と叩きつけた。

「我が論理の鉄槌(強制パッチ)を喰らうがいい! 貴様らのような有象無象には、奈落の底すら生ぬるい……! 滅びゆくゴミ溜め(デリート対象の世界)で、永久に這いずり回るがいい! ――消え失せろ!!」

次の瞬間、植物世界の地表がパカッと割れ、神2名の足元に暗黒の次元孔が物理的に出現した。

「うわああああっ!?」という絶叫を残し、不届きな神2名は、解体グループが処分を待つだけの「滅んだ暗黒の世界」へと文字通りストーンと奈落へ突き落とされた。そして、二度と他の世界へ転移できないよう、彼らのアカウント権限ごと完全にロックされたのである。

世界から侵入者の気配が消え去った。

ソウゾウはフッといつもの冷徹な劇画顔に戻ると、乱れたネクタイをエレガントに整え、眼鏡をクイと上げてボソリと呟いた。

「ふん……。ざまーみろ」

画面の中では、助かった植物たちが「ソウゾウ様ありがとうー!」「すごかったー!」とガヤガヤと大騒ぎで歓喜している。

ソウゾウはそれを見て、いつものように大真面目な顔で、冷や汗を流しながら呟いた。

「静かにしろ。……神界の上層部どもにバレたら、本当に終わりだからな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ