3.春陽の推論。神は万能ではない。
次回更新は、4月24日火曜日の予定です。
リズウェルの話では、勇者の召喚には、並行世界の神が関わっているという。成人、特に知識のある地球人を召喚すれば、社会そのものを変えられてしまう。王国や帝国も民主制に移行して、社会が崩壊するかもしれない。
魔王討伐より先に、人間世界で革命を起こしそうな成人は、神にとっても邪魔な存在であろう。
「ひょっとして、春陽、お主は神に狙われているのではないか?」
残念ながら、魔王リズウェルの指摘は正しいと思う。
人間は神聖魔法を使う。回復魔法は、神聖魔法である。祈って病気が治るから、神を崇めるのだ。医学や薬が発達すれば、神を敬わない人間も増えるはずである。
神にとって、都合の良い駒は無垢な少年、少女なのだ。
異世界の食べ物も、衛生管理なしに作れば食中毒の原因になる。
食中毒になれば、病院ではなく、神殿に行き神官に神聖魔法で治してもらう必要がある。
春陽は、博学ではないが、浅く広く法律や社会学、経済学を学んでいる。この世界の神には、確実に敵視されそうな知識がある。
神が、異世界に勇者を召喚するのは、強いからである。しかし、召喚される地球の少年少女は、中高生である。魔法や剣の訓練をしているわけではない。
突出したチート能力は、神が付与したものであろう。なぜ、この世界の人間ではなく勇者にチート能力を与えるのか、神も人間に干渉することに制約があるのではないのか?
春陽は、彼なりにいくつかの仮説を立てる。
「神の力には、制約がある」
夕食後に、春陽と二人きりになると魔王リズウェルは春陽の推論を聞いた。
「待て。お主の話に頭が追い付かぬ。神も人間が科学とやらを発達させないように少年少女を勇者として召喚させているというのか」
「あくまで仮説です。仮説ですが、神も人間をコントロールしたいのかな?と思いまして。それともう一つ、おそらくこの世界の神を管理する上位の神がいると思います。神の思い通りに世界をコントロールできるのなら、チート能力を与えた勇者を召喚しなくても神が自分で魔王を討伐するはずです」
「つまり・・・。どういうことなのじゃ」
リズウェルの見た目は美少女である。童顔のリズウェルが煽情的な桃色の水着を姿で顔を近づけてくると春陽は顔を紅潮させる。
なぜ、半裸の水着姿なのか?。魔王リズウェルが興味津々な神のことよりも、春陽には、リズウェルの半裸のような煽情的な水着の衣装が気になる。気になるが、聞いて良いものなのかどうか。そして、どうせ魔王なんか数百歳、数千歳だろうという春陽の予感が外れた場合、リズウェルが見た目通りの年齢だった場合、彼女とどう接していいのか?。
春陽は、申し訳なさそうな顔で、リズウェルに尋ねた。
「あの、リズウェル様の年齢をお伺いしても」
「最低でも、数百歳以上じゃ。お前よりは年上じゃ。安心するがよい」
春陽は胸を撫で下ろす。美少女とはいえ、ロリババアか・・・。
「お主、いま、余に不敬なことを考えたであろう」
春陽は目を泳がせる。
「余の目を見て、答えよ」
春陽はじっと見つめてくるリズウェルの目を逸らす。
春陽が上位の神のようなものがいると考える理由は他にもある。春陽には、リズウェルの言葉が理解できる。魔王城にいる魔族達と会話をすることも出来た。
魔族が日本語を話しているとは思えない。春陽にも召喚時にチート能力として、異世界語を理解する力が備わったと考えるべきであろう。チート能力の付与はリズウェルを敵視している神がやったとは思えない。であれば、なぜ、リズウェルの言葉が理解できるのか、この世界を統治する神よりも上位の存在がいるのであろう。
こうして春陽は、ロリババアの美少女魔王リズウェルと出会ったのである。
リズウェルは、胸が小さい。見た目は中高生ぐらいであろう。しかし、年齢が数百歳以上なら問題はない。見た目は、童顔の美少女だが、合法ロリ、ロリババアである。
存外、良い場所ではないか?
もちろん、リズウェルが見た目通りの年齢の美少女なら、春陽は地球に逃げた。何とか、帰還した。だが、合法ロリババアなら、春陽の好みのタイプであったから、リズウェルのお世話になることにした。
「のう、春陽。余に対する不敬罪で、処刑しても良いのじゃぞ」
リズウェルの言葉を無視して、春陽の楽しい魔界バカンスがはじまったのである。
魔王城の一室を間借りすると春陽は、魔王リズウェルの仕事を手伝うことにした。
「リズウェル。申し訳ないのですが、とりあえず、2週間ほど休みをいただけますか?」
「はあ?」
魔王の謁見の間で、春陽は魔王リズウェルに要望を伝える。
「何を考えているんだ、こいつは?」という目で見てくるリズウェルの部下達に、春陽は説明をする。
「私、この世界のことを何も知らないんですよ。リズウェルが読む資料や本がありますよね。その研究をする時間をください」
リズウェルは首を傾げる。
「二週間で良いのか?」
「半年間、一年間、休みをもらえれば、助かりますが。よろしいのですか?」
「わかった。一か月間、勉強をする時間をやろう。図書室や執務室は好きに使うと良い」
リズウェルは、春陽に休暇を与えると、じっと顔を見つめた。
「お主、余のことをリズウェル様ではなく、リズウェルと呼んだな。まさかとは思うが、余の年齢が数百歳とわかった途端に、呼び捨てに変えたのではなかろうな?」
「滅相もない」
春陽は目を逸らした。こうして、春陽は魔王リズウェルのことを、呼び捨てで呼ぶようになった。
4月24日、金曜日更新
○地球を追放されたおっさん、美少女合法ロリ魔王様と魔王レンタル業を開業し、ゆるふわ女神と最終戦争をする
4.人間の住む街
主人公の春陽、魔王様のお食事になる・・・。
魔王リズウェルが暇つぶしに図書室に様子を見に来た。
「人間か、食べられないことはないぞ。お主は、食べられたいのか?」
リズウェルが、真顔で春陽に告げる。
図書室にあった人間の料理法というレシピ本を見つけた本条は、当事者の魔王リズウェルに人間を食べるのかと尋ねた。




