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最近の交友

 龍族の嫁入りを宣言すると、思っていたよりもすんなりと龍族の移住や渡航は受け入れられた。一部龍族独特の臭いに恐怖が抜けない者も居る様子だが、あくまで少数なのでそちらの皆さんに慣れてもらう。それに龍族の渡航者の殆どが何故か豊穣の迷宮と水源の迷宮に集まるので、商売の形式も整い管理も簡易になったと言っていい。ただ、問題が全くないとは言わないけども。

 その問題と言うのは喧嘩や食事量とかではない。ことある毎に僕やタケミカヅチを呼ぶご歴々が多いのだ。特に多いのは前回に会食の代表から外れた古龍族の皆さんである。大概はタケミカヅチが相手をして終わるのだけど、どうしても僕が呼ばれる件がある。それは……。


「ジュネ殿が嫁入りしたと聞いておりますぞ。ワシの娘も一人もらっていただけませんかな?」


 こんな感じで古龍族の長やその子供さんから、嫁入りのお願いがたびたび来る。これが嫁入りフラグなのである。僕が人間社会というか、コミュニティのある文明社会に溶け込んで理解したのが……。婚姻という行為は繁殖以上に勢力の均衡を整える意味で重要なことであるという事。

 大概そこに本人の意志は関係なく、互いの力を強める意味や攻撃をされない為の生贄的立ち位置など。考え方や行われる事情は様々だ。

 ただ、ここに来る龍族の理由はそういう政治的発想よりも時空龍族のガトールさんの前例がある故だ。聞けばガトールさんはとても強いらしい。しかし、ガトールさんは現在の奥さん以外を愛することができない、極まった…ある種狂った愛妻家と龍の中では言われている。龍の社会で一夫多妻や一妻多夫は当然のようにある。その中で強気血を広める行為を拒むガトールさんの方が、異端視されても何らおかしくないのだ。今回ガトールさんが娘さんとお孫さんを送り込んだのは、そういう思想をちゃんと理解していることを周知する意味もある。あとから謝られたが、事が済む前にちゃんと相談して欲しい。半ば政治的な判断だが妻となったディオ、ピオン、アリアドネの三人は生き生きとしているし、僕はなにもいう事はない。その代わりに、やんわりと他の長老への釘差しをお願いしている。


 ~=~


「ようッ! クロ坊。アグニは元気にしてるか?」

「えぇ、今日も鍛冶場でスルトにしごかれてます。はやくオリハルコンを打ちたいらしくて頑張ってますよ」

「ふ~……あの子は……。嫁に出てまで鍛冶鍛冶と……。私は早く孫の顔が見たいわ。その辺りもよろしくお願いしますわよ? 婿殿?」


 それからもう住んでるとも言える人達もいる。厳密には五日に一回くらいのペースで娘の様子を見に来ると宣言し、別荘を建築した炎龍夫婦だ。ヴォルカニアスさんとイグナトレアさん。ヴォルカニアスさんが10000歳なのに対し、イグナトレアさんは1900歳と自個申告する年の差夫婦だ。古龍種としてはかなり若い。その為まだ子供もアグニアスの1人のみ。ちなみに、古龍の産卵もしくは出産は膨大な魔力も要するので安易に繁殖できない。その為個体数もかなり少ない。

 まあ、この夫婦はまだ常識の範囲内だと思う。口うるさく何かを僕に言うでもない。

 この人達は大体豊穣の迷宮のドワーフやスルトと戯れている。ヴォルカニアスさんはお酒を飲んでドワーフと歓談。イグナトレアさんはスルトや娘の様子見。なんでかイグナトレアさんがいたくスルトを気に入っている。あまり交友関係を持とうとしなかったアグニアスの初めての友達ポジションだからかもしれない。よくお菓子で餌付けしている。


 ~=~


 豊穣の迷宮には他にも数名の古龍族が来る。その筆頭格が樹龍のお妃様で神代龍族のダフネさんだ。体のあちこちに枝葉が出ている以外は、ちょっと肉付きのいいエルフって程度なんだけど。薬草畑でよく姿を見る。なんでかはよく知らないが、この人は良くここで一族を率いて何か踊りのようなことをしている。僕には理解のできない行動。僕が居ようが居まいが薬草畑に直行後に、水源の迷宮で飲み明かす一族なので最近は触れない。

 それに合わせて来るのがアースさんとその奥さんのフィオーネさん。ダフネさんの一族のお目付け役的な面もあるだけではなく、他の連れてきて欲しいという龍族を連れて来る役割を担っているようだ。古龍の全てが飛行できる訳ではなく、種族的に飛べない種族もあり、大地の眷属龍の好で鉱石龍族や岩石龍族を連れて来ることが多い。この二族は何でか豊穣の迷宮の鉱山エリアで採掘をしているという。理由はよくわからないが、やりたいようにやらせておけば何も起きないので問題はない。


「いつも通りのようだな、クロ殿」

「こんにちは、アースさん。ラピスラズリに会って行かれますか?」

「いや、娘の方には妻が行っている。既に独り立ちしている娘に過保護かとも思うが……。それが妻の良いところでもある。クロ殿も見逃してやってくれ」

「はは、親子仲がいいのはいい事ですよ。今日もお泊りですか?」

「うむ、世話になる」


 別荘を作ればいいのに、この方はそういう事を好まず、宿泊はいつもホテルだ。アースさんは古龍族の当主としては引退が秒読みらしく、今はそこまで多忙ではないという。なので余暇を利用して休養もしているそうだ。高齢には見えないが龍族は外見年齢が全く嚙み合わない種族の1つだからね。その辺りは突っ込まない。アースさんを水源の迷宮の温泉施設へ案内して僕は別の古龍数段の所へ行く。


 ~=~


 問題と言って問題なのはこの人達かもしれない。リヴァイアサンの一族の皆さんだ。この一族は代々女系らしく、女性の比率が凄く多い。それに比例するように男性の肩身が狭いとのこと。男性陣は凄く落ち着いているのに、女性陣はそれ程強くない酒を好み、高級レストランのラウンジを占拠するという事件を数回引き起こした。それからはヴュッカにより専用の施設を設けられた。最近では女性の人魚に担がれ、龍族専用のホテルへ連れていかれるまでが恒例。

 片や男性の皆さんは凄く良心的で、いつも迷惑料としても過剰なくらいの対価を用意してくれる。ちょっと悪い気もするが、受け取らないと彼らが物凄く悩むし不安がるしで……。結局僕が苦労するので、最近は特になにも考えずにやりたいようにさせている。現在のリヴァイアサンはメリアの妹でナタロークという龍が勤めており、財務担当になるのがメリアの弟のギルさんで財布役。


「今日もお疲れ様です。ギルさん」

「いつもご迷惑をおかけします。姉さん達は言っても聞いてくれませんので……」

「ははは。そうでしょうね。メリアも最初はそうでしたし」

「さ、最初は?『こ、この人メリア姉さんを躾けたのかッ?! ヒィッ!!』」

「だ、大丈夫ですか?」

「え、えぇ、姉は酷いものぐさでしょう? 今後ともできれば手放さぬよう伏してお願いいたします」

「大丈夫です。働かないなら体に覚え込ませるだけなので」

「ヒィッ!!」


 こうやってことある毎にビビられるので僕が疲れる。しかし、相手をしない訳にはいかない重鎮ではあるので僕がちゃんと挨拶はしている。ただ、毎回だとこの人が可哀そうなので、頻度は低い。それにこの人や男性のリヴァイアサンの皆さんは、湯治に来ている感じなのでリラックスして欲しい。


 ~=~


 それに大きな問題はまだまだ散見している。最も個人間で出しているのはジュネの一族である煌龍族の皆さん。食うわ食うわ……。この人達の場合は対価に労働を課している。幸いなのが特に嫌がるそぶりもなく、豊穣の迷宮で農具を握り、しっかりと畑仕事をするし、蛇神神殿で畜産業やサトウキビと稲作の手伝いもするし、水源の迷宮で漁の手伝いも当たり前のようにする。最近ではこちらに来る道中に何かを狩って持ち込みすることを覚えたらしい。それでもそれが当たり前であるというように、食量生産の手伝いはしていく。心なしか楽しそうなのだが、本業の獣人族や人族が気を遣うのでできればご遠慮願いたい。

 あとは、この煌龍族のライバル?のような種族の閃龍や光龍、輝龍などの煌びやかなお姉さん龍が蛇神神殿に大挙しているのも大きな問題だ。この人達はたまにジュネにボコられて詰め所で説教を受けているから、スイーツのドカ食いを止められないのだろう。最初に来た時より心なしか太った気もするし。それから、食い物目当ての婚姻申し込みは受け付けてないので……。ジュネはちゃんと僕を気に入ったらしいですし? いや、食い物目当てだったかも? そんなことないと怒られた。


「でも、各族1人は妻にしても損はない。光系の龍は強いし、皆料理は上手。他はダメだけど」

「ほう……ジュネが言うと確信が持てるね」

「うっ……。が、頑張るからごはんの減量は勘弁してください」


 こうやってなんやかんやと僕は問題龍の手綱を握っている。問題を起こさない龍は逆に僕が手を出す必要もないし。どちらかと言うと、派生の古龍の皆さんからの婚姻申し込みがそろそろ爆発しそうで怖い。なんかフラグを折るどころか、次々に刺されてモグラたたき状態なんだよね。もう、僕の手では折りきれない。

 まぁ、でも最近は各族のお父さん繋がりやギルさんのように、普通に話せる龍族中心の友人も増えた。それ以前にも大酒のみのゴードンさんとか、エルフの若者というには年のいった皆さんと談笑もしていたんだけどね。実はこの領以外でも一夫多妻は多い。ゴードンさんやギルさんとはそういう悩み話が多い。僕個人の悩みは置いておくけど、皆さん悩みはしっかりとあるのだ。そういう事をさらけ出して楽しく語らえる友人が増えたのはとても嬉しい。ヨハネスさんやゴードンさんを始めとし、最近だと鍛練のお誘いや開発のお誘いもある。仕事のない時は僕も息抜きに彼らと話ながらいろいろ楽しんでるよ。特に定住を決める縄張りを持てない龍族とは仲良くしている。

 僕の根底にまだ残る野生の感覚からか、たまに外を駆けずり回って狩りをするのがいい息抜きになるんだけどね。ヨハネスさんレベルでも厳しい区域もあるし、実力としては下位でも生存率が格段に高い龍族の若者は僕の狩りの同行者としては最高なのだ。彼らも僕との繋がりは良いステータス。最近では彼らの方から狩りに誘ってくれたりもする。嬉しいものだ。


~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後135日~140日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

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