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メリトクラシア  作者: Lancer
★【第4章】《学園編》★ テーマ:階級を超えた友情と成長
51/88

★【第23話】約束の刃、交わる影(心音システムリライトVer)★

──“立つ”ということは、孤独の中で己と向き合うこと。

階級、血統、未来すら決められたこの国で──

少年はただ“勝ちたい”と願った。


挑発、罵倒、優越──

それらすべてを剣と心で越えていく。


これは、“選ばれなかった者”が、選ばれる者たちに挑む物語。

そして今、彼の内なる鼓動が静寂を破り──

世界のシステムに抗う、たった一振りの刃となる。

──静寂が、闘技場を包んでいた。

魔力の余波は、地を這うように漂い、焦げた空気が肺を焼く。

割れた地面。砕けた石片。全てが「何かが起きた」ことを物語っていた。


ジェイドは膝をつきかけたまま、肩で息をしていた。

視界はぼやけ、耳鳴りがひどい。

それでも、その瞳だけは──まっすぐに、ただ前を向いていた。


---


「……下層の分際が、僕を……!」

ライナルト=グロースの声が、苦々しさと混乱を孕み、張り詰めた空気に響く。

彼の顔には、初めて“焦り”がにじんでいた。

観客席に、奇妙な沈黙が落ちる。


──あの少年は、何をしたのか?

まだ、誰も答えを持たない。


---


*【外界サポート:観客・嫁陣営】*

アイリスが胸元の魔石を握りしめ、声を震わせる。

「ジェイド様……お願い……負けないで……!」


実況席では、エス=ミュールが口元に指を当て、興奮混じりの声で呟く。

「うわ、これ……やばいんじゃないの? マジで“開花”してる……」


ユミナの視線が鋭く光る。

「彼は……魔力を“放った”だけじゃない。制御は未熟。でも……」

その言葉に、場の空気がわずかに震えた。


---


*【心音システム 作動──】*

──ドクン。

……ドクン……ドクン……。


「対象術式《封氷牙》解析開始──」

「……解析完了」

「対応コード発行──**霧散**」


冷たい、無機質な声がジェイドの内的世界に響く。

(……なんだ、この声は……俺は……)


「認証完了。対象、ライナルト=グロース」

「反詠唱を実行してください──」


ジェイドは目を見開いた。

冷たく、凍えるような空気の中で、心臓の鼓動だけがやけに大きく響く。


──ドクン…ドクン…ドクン……!


---


「我が血に刻まれし凍光の誓い──」

外界。ライナルトの詠唱が空間を震わせる。

「幾星霜を越えし声が、今も響く」

足元の魔法陣が青白い光を放ち、冷気が地を這う。

「絶対零度の刃よ──」


---


*【反詠唱発動】*

ジェイドの瞳が燃える。

「……砕けろ」

「燃えろ、紅き衝動──全てを貫け!」


**応えろ、《紅炎牙・未式ブラッド・フェイザー》!!**


紅の光がほとばしり、ライナルトの**《封氷牙》**を真っ向から断ち切った。

氷の空間が砕け散り、宙に舞った結晶が陽光にきらめく。


---


*【外界サポート:観客・嫁陣営】*

「ジェイド様……!」

アイリスの叫びが届くかのように、赤い光が一閃する。


実況席のエスが目を見開き、叫んだ。

「空間魔法を“切った”…!? 下層の子供が、どうして──」


ユミナが息を呑む。

「……勝者、ジェイド=レオンハルト」

その声は、審問庁にも観客にも確かに届いていた。


---


*【審問庁・ヴィオラ視点】*

「No.134、覚醒反応、段階Ⅱ──」

ペン先がカチリと鳴る音だけが、冷たい記録室に響く。

「記録、継続」


---


*【次回予告】*

──これは、ただの“勝利”ではない。

少年の覚醒に呼応し、学院という舞台は新たな火種を迎え入れる。

階級、派閥、陰謀──すべてが動き出す。


---


*






*【次回予告】*

──これは、ただの“勝利”ではない。

少年の覚醒に呼応し、学院という舞台は新たな火種を迎え入れる。

階級、派閥、陰謀──すべてが動き出す。

【後書き(リライトVer)】*

この回は**外界の声援と内界の心音システム**が交差する覚醒回です。

ジェイドが孤独な心音領域で咆哮し、外界ではアイリス達が祈りで支える。

その二層構造が、より深い没入感を与えるよう意識しました。


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