幕間III 『解き放たれた力、そして新たなる道へ』
静寂が訪れた。
封印の魔法陣はゆっくりと崩壊し、そこにあった膨大な魔力は大気へと溶けていく。
ユーク・アーデルは剣を収め、目の前の光景をじっと見つめていた。
確かに封印は解かれた。
それはすなわち——すべての封印が解放された ということ。
「……終わった、のか?」
ユークがそう呟いた時だった。
——ゴゴゴゴゴ……!
大地が震え、空間が軋む。
「ッ……!?」
セリナとグランもすぐに身構えた。
次の瞬間、封印の中心だった場所に、漆黒の水晶 がゆっくりと浮かび上がった。
「これは……?」
セリナが驚いた声を上げる。
水晶の表面には、複雑な魔法紋様が浮かび上がっていた。まるで、何かを記録しているかのように……。
グランが慎重に魔力を探る。
「……これは、封印の“記録”だな」
「記録?」
ユークが眉をひそめる。
グランは水晶をじっと見つめながら、重々しく言った。
「もともと、この大陸には 『七つの封印』 が施されていた。だが、ルミナスの封印を解いたことで、すべての封印は連鎖的に解除されたようだ」
「じゃあ……もう封印は残っていないんだな?」
「ああ。その証拠に、封印に縛られていた魔力が世界中に解き放たれた。これから、大陸は大きく変わることになるだろう」
「……新しい時代が来るってことか」
ユークは静かに、水晶を手に取った。
もう封印は存在しない。
だが——
静寂の先に、混沌が待っているとは知らずに——。
封印が完全に解かれた後、ユークたちは 知識と遺跡の街・エルディナ に身を寄せることにした。
エルディナは、かつて古代文明が栄えた都市であり、大陸最大の図書館 「エルディナ大図書館」 を有する場所だった。
この街には、失われた魔法や歴史の記録が数多く保管されており、多くの学者や魔導士が集う知の都として知られている。
また、エルディナの地下には広大な遺跡が広がっており、未だに解明されていない謎が多い。そのため、歴史学者や冒険者たちも多く滞在し、日々発掘作業が行われていた。
「ふう……ここなら、しばらくは落ち着けそうね」
セリナがエルディナの街並みを見渡しながら言った。
白亜の建物が立ち並ぶ街は、美しく整備されており、石畳の道を歩く人々もどこか落ち着いた雰囲気を持っていた。
「それに、封印の記録が残っているとしたら、この街の図書館か遺跡のどちらかだろうな」
グランが言いながら、大図書館の方角を指さす。
「じゃあ、しばらくここで情報を集めるか」
ユークはそう決め、エルディナでの滞在を開始した。
***
ユークたちはエルディナ大図書館に足を運び、封印に関する古文書を調べることにした。
しかし、図書館の管理人によると、封印に関する書物の多くは 「王立魔導院」 に持ち去られ、現在は閲覧できない状態になっているという。
「王立魔導院……か。もしかして、封印を施した者たちと関係があるのか?」
ユークは直感的にそう感じた。
「そうだとしたら、私たちの次の目的地は決まったようなものね」
こうして、ユークたちは 封印の真実を追い、新たな旅へと向かうことを決意 するのだった——。
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