第87話『万能適応の戦略』
ユークは剣を構えたまま、ザヴァートの動きを見極める。
先ほどの《奈落雷槍》の一撃。
(……あの威力、まともに喰らえば即死だな)
ユークの脳内で、万能適応 がフル稼働する。
ザヴァートの魔力の流れ、攻撃パターン、動きの癖——
それらを解析し、最適な戦術を導き出す。
「……ふむ、なかなかの観察力だな」
ザヴァートはユークの様子を見ながら、再び魔力を高める。
その足元に、新たな 漆黒の魔法陣 が展開される。
「だが——観察する暇などないぞ」
次の瞬間、空間が弾けるように歪んだ 。
「《虚影瞬動》」
——バシュッ!!
ザヴァートの姿が 消えた 。
(……っ! 消えた? いや、違う!)
ユークは瞬時に察知し、右側へ跳ぶ。
その直後——
「遅い」
背後から 黒い刃 が襲いかかる。
——ギィィンッ!!
ユークはギリギリで剣を振るい、ザヴァートの攻撃を弾く。
衝撃が腕に響く。
(この速度、ヤバいな……!)
ザヴァートは 瞬間移動に近い速度で動いている。
しかも、攻撃の一撃一撃が重い。
「お前の『万能適応』……試してみる価値はあるな」
ザヴァートは口元を歪め、再び魔法陣を展開する。
「《深淵解放」
——ゴォォォォ……!!!
空間が黒く染まり、重力が増したかのような圧力が広がる。
ユークの体が一瞬、沈み込むような感覚に襲われる。
(これは……魔力の圧縮領域か!?)
全方位から襲いかかる 闇の魔力の波動 。
ユークは歯を食いしばりながら、その中で 適応を加速させる 。
(この魔力の流れ……攻略法は……)
——ピンッ
脳内で 戦略が閃く 。
「……なるほどな」
ユークは剣を逆手に持ち替え、一歩踏み出す。
その瞬間——
「……何?」
ザヴァートの目が大きく見開かれる。
「バカな……!」
ユークの動きが、完全に適応したのだ。
「俺の番だな」
ユークの剣が、闇を切り裂くように閃く——!!
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