第82話 適応者の試練
光に包まれた瞬間——ユーク・アーデルの意識は沈んでいった。
目を開けると、そこは見知らぬ世界だった。
灰色の空、果てしなく続く荒野。
風はなく、音もない。ただ無限の静寂が広がっている。
(ここは……?)
ユークは慎重に辺りを見渡した。
すると——
「待っていたぞ、ユーク・アーデル」
目の前に“もう一人の自分”が立っていた。
しかし、その姿は明らかに異質だった。
黒衣を纏い、瞳は深紅に染まっている。
まるで闇に堕ちたユークそのもの。
「……お前は?」
「私は“お前”だ」
静かにそう答えた黒いユークは、ゆっくりと剣を抜いた。
「この試練は、お前が真に“適応する者”であるかを証明するためのもの。お前自身を乗り越えなければならない」
「つまり……お前を倒せってことか」
ユークも剣を構える。
「——なら、やるしかないな」
試練、開始——!
黒いユークが消えた。
(消え——ッ!?)
次の瞬間、背後から殺気。
「チッ……!」
ユークはすんでのところで剣を交差させ、防ぐ。
キィンッ!!
衝撃が腕を痺れさせる。
(速い……!俺と同じ剣筋……いや、それ以上!?)
黒いユークはニヤリと笑う。
「どうした?お前の実力はそんなものか?」
ユークは歯を食いしばり、地を蹴った。
「ふざけるな……!俺は——」
剣に魔力を込める。
「ブレイズ・エッジ!!」
剣が灼熱の炎をまとい、唸りを上げる。
黒いユークもまた、同じ技を繰り出した。
「ブレイズ・エッジ!!」
二振りの剣が交差し、爆発的な炎が荒野を包み込んだ——!!
ドォォォン!!!
炎の衝撃波が広がる。
しかし、ユークはすぐに異変に気づいた。
(俺の炎より……アイツの炎の方が強い!?)
黒いユークのブレイズ・エッジは、より深紅の輝きを放っていた。
「お前はまだ本当の力を解放できていない」
黒いユークは静かに言った。
「このままでは——俺には勝てないぞ」
ユークの額に汗が滲む。
(こいつ……まるで俺の成長した姿みたいだ……)
「なら——試してみるか?」
ユークは目を閉じ、剣を握りしめた。
——もっと奥へ。俺の中に眠る“何か”へ——
黒いユークが動く。
「遅い!」
ユークの背後に回り込み、斬撃を繰り出す。
「ダーク・レイヴ!!」
黒い波動をまとった剣閃が放たれた。
ユークはギリギリで跳び退るが、肩を浅く斬られる。
「くそっ……!」
血が滲む。
(圧倒的に……強い!)
しかし——
「まだ終わりじゃない!」
ユークは剣を天に掲げる。
「ライトニング・インパルス!!」
雷鳴が轟き、剣が蒼白い稲妻を纏った。
「——はっ!!」
ユークは黒いユークめがけ、一気に突進する!
「それで俺を貫けるか?」
黒いユークも応じるように剣を振りかざす。
雷と闇の斬撃がぶつかる——!
バチィィィッ!!!
電撃が荒野に奔り、爆発的な閃光が走る!
(ここで決める!!)
ユークは歯を食いしばりながら、渾身の力で剣を振り抜いた——!
決着の瞬間が迫る——!!
読んでいただきありがとうごさいます!
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