五十九話「集まりし難金者」
前回のあらすじ
ビーチを探索することになった紅月一行は、本来砂漠でエンカウントするはずのサンドドラゴンにであった。が、その実首を一つしか出していなかったサンドヒュドラであり戦闘が再度始まろうとしていたところ、一人のドラゴンスレイヤーが全ての首を切り落とし。
紅月達の前に現れた。
「おらっ!見たかーこれがドラゴンスレイヤー、メルド様の実力だァー!!。」
サンドヒュドラの血を空へ払いながら大剣使いはたかだかとそう叫んだ。飛ばされた首は数十秒後地面へ倒れ落ちるのだが、その瞬間が異様に長いと私は感じた。
それとは別に私は唖然した。サンドヒュドラはヒュドラの亜種ではあるがその実、かなりの強さを誇っていることはまず間違いない、、しかし目の前の大剣使いはそれを撃ち破る!っと宣言したようにサンドヒュドラをたった一太刀で終わらせたその実力に…。
「一撃か、。」
紅月様はすっかり戦闘態勢を解いた状態でそう言った。しかし手にはまだ槍が握られており、味方だと完全に思っていないのだとわかる。
とうい私も目の前の猛者の真偽を確かめるまでは迂闊に行けない。理由はもちろんお嬢様だ、、
「メルドさーーん!かっこよかったよー!!」
(こっちが真剣に物事に取り組んでいる間にっ!?)
お嬢様はまるで友達と会った感覚で手を振り、目の前の大剣使いを賞賛した、私はさっきまで覚悟を決めていたのにも関わらず異様に気が抜けた感じがした。しかしこれもお嬢様のアレかもしれない、油断できな…
「お!おー!!ルルカじゃないか!。久しぶりだなぁー!!!」
(あっちもあっちで手をふり返してるっ!?しかも結構いい笑顔で。!。)
※お嬢様のアレ:ファンがアイドルに向かってかっこよかったよー!と言うアレとほとんど同義。
(いやいや、そんなはずない。あのコミュ障で、人見知りで、プレッシャーに弱く、紅月様くらいにしか心を開かないお嬢様がそう簡単に。)
「久しぶりー!!」
(もう走り出してるーっっ?!)
驚きの連続だった。お嬢様があそこまでニコニコしながら、家族(同然)以外の人に走り出すなんてこと、、今まで見たことがなかったからだ。まるで高校時代の友人に出会った陽キャ系JKみたいなそぶり…、いや(私も)高校時代に友達がいなかったわけではないですよ。ただ特に親しいなんて人はいなかっただけなんです。だから羨ましいだとか思っていません!本当に、、。
「、、ウミさんあの人知ってますか?。」
「え!えぇ。まぁ…!。」
私が紅月様に顔を向けた時にはすでにその顔は穏やかではなかった。笑っているのに笑っていない、顔芸者だなとシンプルに思いながら恐ろしいと心の底から思う。
まるでどこの馬の骨だ?っと無言ではない特殊な、、オーラともいうべきか、それに似た雰囲気を抑えることを知らずに垂れ流している。
紅月様でもこんな顔というか雰囲気を出すのだなと正直意外だ。それはそれとして質問に答えなければ先が怖い。
「。えっと確か彼女は…ルルカお嬢様と同じSSランク冒険者でありながら伝説装備の一つ竜殺しの『バルムンク』という大剣の所有者。チーム、『ドラゴンデストロイヤー』のリーダー、『メルド』さんです。」
ちなみにこれだけ詳しく言っている口実際のところ肉眼で見たのはこれが初めて。噂に聞いていたより豪快な人だと私は思った。
「なるほど、そうかそうか。この間言っていたヤツですね。」
ヤツって、、怖いです〜!。紅月様の反応ひとつひとつが怖い、誤解しているのかわかっててこの反応なのか、考える暇なし。なんとかしなくてはと思う一方で触らぬ神になんとやら〜〜っ。
「ちょっと挨拶してくる。」
私がそんなことを考えている間に紅月様は進軍、楽しそうに話を始めた二人の間に向かって行っている。正直修羅場の気配がすごい…
ですが紅月様を今止めることはできない。道理が無いというのは建前、正直本当に怖い…ですがいつでも仲裁に入れるようにせめても紅月様の隣で歩かなくては、、
(どうか酷い結果になりませんように。)
そんな願いの元、紅月様はメルドさんとルルカお嬢様に話をかける。
「あ、お兄様。」
「こんにちは、先ほどはありがとうございます。メルドさん、であってますか?。」
(ひっ!)
さっきまで放っていた殺気(?)が薄れ、紅月様はまるで人が変わったような態度でメルドさんへ話かけた、隣にいたお嬢様の声もまるで聞いてなかったかのようなその真っ直ぐすぎる態度は実に紅月様らしくない、おかげで寒気がするほどに背筋にゾワゾワっと何かが通った感じがした。
なるほど、お嬢様が紅月様の丁寧口調を好きにならない理由がわかった気がする。
(なんか?した?。)
お嬢様が目でそう訴えかけてきた気がしたので私はとりあえず見ましょうと察しさせるために目でお嬢様と紅月様を行ったり来たりさせて暗示した。お嬢様も状況が理解できないながらもその暗示をうまく受け取り、私も目の前に集中した。
「そうだけど、アンタがルルカのお兄様って人かい?。随分と色違いだね!、」
ぎゃーそれ地雷です〜!!。っと盛大に心の中で思った時にはすでに右側から何かが溢れ出ていたような感じがした、メルドさんは多分悪気0%なのでしょうが、ある種の紅月様と違った意味で天然がすぎます!!。
「まぁ、種族も違いますしね。」
ニコニコと笑ってはいるが目の奥が決して笑ってない。私は糸目というのを見たことがないのでわかりませんが、なるほどこういうことを指すのですね。っと今,冷静に分析してしまった…
「獲物をとっちまって悪かったねぇ!でもドラゴンとくれば私の本業だから、大目に見てくれ。」
ここで畳み掛ける攻め、紅月様がどういう対応を、、
「いやいや気にして無いですよ。ほんとに、本当に。」
えぇ、確かにサンドヒュドラの件は間違いなく気にして無いでしょう。本当に、、気にしているのはお嬢様との関係性でしょう…。
しれっとお嬢様を手で隠しているところを見るとそっちの方に本気なのがさらに伺える。
「、、ところでルルカとはいつから?。」
紅月様の糸目が少し開き、オーラが増した。ついに紅月様が攻めに転じる時が来てしまったのでしょうか?、。っと半分諦めながら私は分析する、いやだって攻めの紅月様を止めるなんてねぇ?。普段守り側だから大丈夫っと盛大に突っ込んでみたら立場が逆転なんて、
(はぁ。本当にあの時は地獄でした。)
容易に脳裏をよぎる紅月様の動き、かつてゲレームで戦闘訓練を実施した際。私と紅月様は模擬戦をしたのですが、、
その時私が思ったことといえば、
(全面)
気づいた時には背後を取られており、正面からの牽制、攻め、守り、高速移動が可能とする現実離れの性能をまるで手足のように御する技量。3秒も止まっていれば全方向からの火力が飛んでくる、例えそうでなくてもそう錯覚せざる終えないほどにこちらの行動を全て読み…気力も体力も削る。
今まで感じえなかった紅月様の鱗片をこのゲームは大きく見せる。まるでその時は別人かのような、いつもの姿から想像ができないソレはまさに怖い意味で夢かと誤認するほどだった。
「あー、確かルルカとは。前にクエスト中に出会ってな、最初は可愛いだけのお嬢様って感じかと思ってたんだが、たまげたよ。紛れもなく全空間対応型の正真正銘の強者ってことを、、普通はパーティを組んで倒す相手をまるで手玉にとった戦い方、まるで対処方法を生まれた時に全て頭に入っているかのような、正確さ、それでいて…とても可憐だったな。」
(べ、ベタ褒め。)
そしてお嬢様は少し恥ずかしそう。まぁ人に褒め慣れてない、っというかこういう、なんだろう。長く、それでいて的確な『褒め』というのにお嬢様は弱い…私は以前からそう感じていましたが、間違いなさそう。
挙げていったら私もこれくらいの褒め言葉はでそうだが、それでもある程度は時間がかかる。でもメルドさんの褒めは天然の天然物のように感じる。まるで出てきた原石をそのまま使っているようなまっすぐな感じ?だろうか、これはお嬢様が信用するわけだと、これだけで思った。
で、肝心の紅月様はというと、
「、、。。」
あれ、さっきまでの雰囲気は?っと一瞬拍子抜けしてしまうほどの変わり様、しかも本人じゃ無いのに少しほこらげ。…
(もしかして、私が想定していたより紅月様は、、。)
「もう!メルドさんやめてよ!・・・がいるんだから。」
小声で最後の方は聞き取れなかったが誰を思ってのことかは容易にわかることだった。メルドさんもわかるほどに、、
「、そうだったな!、悪い悪い。私は空気が読めないヤツでね。」
剛性に笑いながら、自分が言ったことを遠回しに表現するメルドさん。剣幕だった雰囲気はメルドさんが引き起こし、最終的にはメルドさんの手(口)で終わらせられたのだった。
(普通に考えて運が良い。)
っと私は心底そう感じた。
「メルドの姉御ー!。」
雰囲気がおさまったところで、メルドさんと同じ様な鎧を纏った兵士のような、傭兵のような人たちが向こう側の崖から姿を表した。
「お前たち、遅いぞ!。」
「無茶言わないでください、こんな暑くて足がとられる地形で、、。」
「それをなんとかしてでもドラゴンを狩る。言わなかったか?。」
「ドラゴンレーダーみたいなものがあればまだわかりますが、、。はぁ、うちらにそんな鼻ついてませんよ。」
顔から出る汗を拭って、崖から滑りながらきた数名は着き次第にメルドさんから怒られた。話を読めばなんだか若干理不尽の様に感じるが、、各々の顔にツラいという文字は存在していなかった。
「シャキッとしな、うちらはバカンスに来たんじゃ無いんだから。仕事は仕事、もし海で泳ぎたかったら泳いでくれば良い。ま、泥だらけだがな!。」
「ぎくっ!」
お嬢様はメルドさんがそう言い放った時には針に刺された様な声を出し、なんだか弱った様子になった。
(お嬢様はバカンス目的が大きいでしたもんね。)
元々は現実で叶わなかった手前、こちらでやるという形でしたので、。ですが基本的に責められる立場では無いと思いますか、、お嬢様は自覚があるのですね。、やることをたまにしっかりやらないというところ…。
「へい〜!。」
「っと、悪いね。アイツらはうちの連れ、有り体に、チームメイトなんだ。まぁ海に行けると聞いたやつしか来なかったけどね。」
「だから少ないんだ、。」
「そ、。予想だと倍くらいくると思ってたんだけどねぇ。やれ泳げないだの、やれ日焼けが嫌だの言って結局ノリのいい連中しか、って感じだ。」
メルドさんの言葉から察するにもう少し人数がいるということなのでしょう。考えてみれば、『ドラゴンデストロイヤー』はチームと名乗ってはいるもののその実はギルド級に匹敵する戦力、ドラゴンを狩ることに特化はしているものの、それ以外でも実力を落とすことはない。
(リーダーの他にも何名かネームドがいたはず。)
「運営も大変なんだな。」
紅月様が口を開き、そう言う。若干素っ気ない感じを見せているところ自分の認識が少し甘いと思ってしまう。
「私ぁ竜種を狩れればそれで良いんだけどね。ま、今やそれどころじゃないけど、、。」
海に顔を向け真剣な表情でメルドさんはそう言った。
「メルドさん、何か知ってるの?。」
「うん〜、。知ってるっていうか、被害者っていうか、、。まぁとにかく歩きながら話すか、、」
っと言いチームの人たちの元へ戻っていく様にしてメルドさんは歩き始めた。言い方を聞く限り場所を決めている様な感じだけれども、、
「どこへ行くの?」
「、そうだなぁ難金者広場って感じだな。」
(な、難金、者?広場?。)
私たちはメルドさんはついていくしかなかった。なぜならこのまま彷徨ったところで何か解決するわけでも、何か大きく進むわけでもないと各々感じていたからだ。
メルドさんを先頭に、すぐ後ろに私たち、そしてその後ろに『ドラゴンデストロイヤー』の皆さんがつく様な隊列のような形で移動することになった。
「さて、どっから話したもんかなぁ?。」
頭をかきながら話のでだしを考えているメルドさん、こちらから話した方が良さげなので。
「では、質問よろしいですか?。」
私が質問することにした。
「ん、どうぞ。」
「この今も歩いていると思うのですが、『泥』はいつからありました?。」
私たちと『ドラゴンデストロイヤー』が同時に来たとは考えにくい、メルドさんが「難金者の広場」という私たちが知らない情報を持っている以上、おそらくメルドさんたちは先にこちらに到着していてある程度知っている。ならば今発生時期が定かではない泥を聞いてみるのも一手だろう。
「それなぁ〜、私が来た時にはもうこんな感じ、、いやもう少し少なかったか。、少なくともここら辺まで『泥』は来てなかったな。」
(まるで生物のように言う。やはり、『泥』は生物なのでしょうか?。)
っと、そんな疑問を置いておいて私は次の質問をだす。
「その、『ドラゴンデストロイヤー』の皆さんが来た理由は?。」
「あー、まぁバカンスと捉えてもらっても良いが、私としてはリヴァイアサンを狩りにきたんだ。」
リヴァイアサンというと海の竜種の一体、限定的な場所での出現となってはいるが、その実力は地上の上位種の竜にも匹敵するほどの強さをもつとされている。水上であるゆえの討伐難易度も影響しているが、空をかけるように海を泳ぐ姿は捉えることが難しいからとも呼ばれている。
いわば地上に降りることのない竜を狩るようなものだ。
「なるほど。」
「、、驚かないんだな?。」
メルドさんは反応に薄かった私にそう言った。
「あの手際を見せられてゼロとはいえませんから。」
「、へぇ。お褒めにあずかりだな、」
自分はできますけど、オーラを放ちそこまで自信満々に話すあたり信用しない方が逆におかしいまである。おそらく彼女なら成し遂げられる範囲なのだろうとメルドさんを過大評価し次の質問へ移る。
「今向かっているところは、具体的にどんなところですか?。」
難金者の広場、なんとなくでしかその実態を言葉から抽出できないソレは現時点で一番、いや二番目くらいに謎だ。
「まぁ言葉通りって言ったらそんなんだが、、今回のクエスト報酬、かなり良いだろ?」
メルドさんは小声で私に話してくる。オブラートに包むっという訳かと私は察し、耳をそのまま傾ける。
「んで、もちろん参加者も多い。でも実際の状況がこれだ、仕事の少しも進められやしない。で、この状況を打破するために協力関係を互いに組んだ、そしてその拠点がいわゆる『難金者の広場』って訳だ。」
「あの、なぜ『難金者』?。」
「クジで出た名前にしようってことで、。まぁそんな感じだ、、」
なぜよりにもよってクジで…。
他にもう少しなんというかこうあったと思う、別にかっこいいのを求めていたと言うわけではないのですが、、なんだか始まりが始まりなら終わりも終わりな感じがする。
「私は正直なんでも良いけどな、でもまぁ治安はいい方だぞ!、難金者っていかにも賊っぽい名前に反して。」
今のあなたも難金者ですよね?!。ったツッコミたかったがやめた。この人には実戦で勝てる気がしないからもあるが余計な争いはしないに限るからだ…
「、協力関係と言っていましたが具体的にどのような事を。」
ここが問題だ、協力とは個々が個人で太刀打ちできない時に同胞や同じ目的を持つもの同士と手を組み取り組むことを指す。少なくともこの【SAMONN】内においてはその認識が一番近い。
「、あー。それはまぁ見てもらった方が説明しやすい、、ほらもうすぐそこだしな。」
「え?。」
メルドさんが丘の上まで早歩きをし、私は回答を聞きたくメルドさんの後を追った。メルドさんがちょうどてっぺんらしき部分で下を剥き始めたので私も近づいて下を見る。
そこにはプレイヤーたちが大勢いた、テントも多く見られ、例えを言えば全勝基地のような形だったどこからともなく寄せ集められた木は作を簡易的に作り、また一つの何かを作っている痕跡を確認できた。
「あれだ、。」
メルドさんの目は大きな建築中の建物に向いていた。大きな布がかかっており、その全貌は見られないものの一目でとても大きいことがわかる。どのくらいかというと一軒家を5倍にしたような大きさ、。
「あれが今私たちが作っているモン、私はただの兵だから細かいことは、っと。」
喋っている途中でメルドさんは身を軽々とし、下の道に降りて行った。右側にしっかりとした道があるが、わざと通らなかったあたり性格がよく出ている。
「あそこで指揮している奴にでも聞いてくれ、私は一足先に方向に行ってくるよ。ゆっくり来な、」
そう言いながらメルドさんはささっと目の前の広場へと向かって行った。私たちは足並みをそろえつつ、言われた通りゆっくりと広場へと向かって行った。
広場へ近づくと、開放的な入り口が見えて来た。門番らしき人物が二人といたが、一礼をして「通っても良い」というそぶりを見せていた。
広場はまるでホームレスの会場となっているかのように様々なテント、プレイヤーで溢れかえっていた。『ドラゴンデストロイヤー』の皆さんと別れた後はメルドさんが言っていた建築中の建物へと自然に足を運ぶ。
「これは、、。」
近づいてみるとわかる、これは建物じゃない。少なくとも家系統のものではない、どちらかといえばこれは。
「船って感じだね?。」
お嬢様が興味津々に前のめりになりながらそう言った。そう、船っぽい…だけどなぜ?という疑問だけが残った。
『ガゴン!!』
「そこ!、しっかり集中して,もし壊したら取りに行ってもらいますからね!!。」
何かが落ちる音と共に若い女性のような声が大きく聞こえる。
「あー!もうっ、だからそこはー。」
焦り、というよりかはうまくいかないことに腹を立てているような声が連続して聞こえてくる。しかしその指示一つ一つはわけがわからない自分でも的確だとわかるほどにキレがあるもの、司令官の貫禄を無意識のうちに感じるほどに、、
「あなた達!そこで何を!って。」
ちょうど真上から聞こえて来たので、自然と顔を上へ向ける。滑車を利用したキリキリキリっという音が連続して聞こえてき、時間と共にその音は近く、大きくなってくる。
「、、。」
滑車を利用して自分たちと同じ高さに背を合わせたその少女は眼鏡をカチャっと一回整え私や、後ろのお嬢様、紅月様を全体として見る。顔は険しそう、、
「メルドが言っていた新しい人?、ですか。」
顔であなた達誰ですか?っと表現しながら聞き慣れた名前が飛ぶ。メルドさんが言っていた指揮している人とはこの人なのだと理解した。が、その1秒後には(え?この子が?。)っと思った。背の高さといえばお嬢様より少し高いがとても大人として見れるほどの大きさではない、しかしならず者とも見られない綺麗な正装、何か明確な役職についていることが一目見ればわかる。わかるのだが、ゆえに見た目とのギャップに脳が反応に遅れる。
「メルドさんが私たちのことどう言ってたか知らないけど、多分そう。」
「…そうですか、初対面でありながら失礼しました。」
お嬢様の何も思わないような口ぶりに目の前の少女は先ほどとは違う落ち着いた声で若干冷たく対応した。ビジネス人あるあるのマニュアル通りの感じだ。別にそれがどうというわけではないが…
「えっと。」
私の頭がだんだんと戻って来たので、静まった雰囲気に声をかける。
「あなた方の話は聞いています。初めまして、私はアリスと言います。」
っと滑車で繋がっていた台を降り、私の前へ立つ。流れるような動きで握手の手をだす。
私は勢いに押され、主人が取る握手を代わりに取った。
簡単に手が触れ終わるとアリスと名乗った少女は再滑車付きの台へ乗り私たちが彼女を見上げる形になるまで巻いた。
「貴方には来てもらって早々で悪いのですが、素材集めをお願いします。」
そう言いながら素っ気なさ全開で自分の隣にあった紙をこちらへ落として来た。さっきと態度がいや最初の態度に戻ったというべきか、
「あの、、。」
渡されても、って感じです私はアリスさんを見るしかし…
「メルドさんなら、多分ジュース飲んでるので探したら簡単に見つかりますよ。、では、」
あまりに早い仕事への転換、忙しいことは分かりますが顧客を大事にしてほしいと少しわがままに思った私、そして何も言わないお二人方。
渡されたのは私っということなので、
「メルドさんを探しにいきましょうか?。」
そう提案して、私たちはメルドさんを探しに建築中の場所から出た。
『ステータス』
紅月(水陸両用型装備)
種族 オートマタ
[HP]82000(体力)
[E]210000(小型エネルギーパック)
[A]20000(障壁耐久値)
[STR]9000(駆動力)
[VIT]36000(対海仕様+装甲)
[AGI]650(通常歩行)
[LUK] 75(運)
[DEX]9500(器用さ)
[スキル] [称号]
・魔力放衣 ・無限のエネルギー
・第二公式大会優勝
・鉄血の死神
・受け継ぎ
・イレギュラー級
[身体構造(内)]
[頭]パララス [胴体] パララス
[左腕]イーズ [右腕]イーズ
[左脚]イーズ [右脚]イーズ
[身体]ケイレイム [内部]ケイレイム
[劣化部位] 無 [修復部位] 無
結果 無
コア:ガジュラスメナス-マイナス
[身体構造(外)]
[頭]アンチグラス [胴体]アンチグラス
[左腕]アンチグラス [右腕]アンチグラス
[左脚]アンチグラス [右脚]アンチグラス
表面状態 対水圧特殊障壁(未展開)
[装備]
・レールクローガン
【詳細】四本の四角いプレートが合わさり発射口になっているのが特徴的な槍。電磁砲を発射することが可能で遠距離にも攻撃対応可能な兵装、近距離ではプレートにヒート加工がされてありエネルギーを流し込むと発熱、高い貫通性、打撃性を誇る。ちなみにプレートの素材はロスオリハルコンとという上位の素材を使用している。
・小型シールド
【詳細】左腕部に装着された小型シールド。先端にはクローアンカーが装着されてあり、水陸において高い汎用性を持つとともにワイヤー部位に電磁効果をもたせ鞭としても使えなくない。(本来は拘束用として使う)
高度な水圧にも耐えられる仕様になっているため、水中で性能を落とすことはない。
・レーザーコンバットナイフ
【詳細】シールドに格納されてあるレーザー式のコンバットナイフ。ビーム兵装と違い、魔力の攻撃性を浴びていないため魔法に対する汎用性に欠けるが、その分物理に対して無類の貫通性を誇り、水中で使用が不可能なビーム兵装と違い水中でも十分なポテンシャルを発揮できる。




