#2-17 狗と少年
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ーもぐもぐっ
案内され地上への昇降用リフトエレベータに乗っていた。
「・・・」
-もぐもぐっ
「おいバカ、いい加減にしろ、俺の上に食べかす落とすな」
「お、ごめんて、気を付けるから もぐもぐ」
俺の案内係兼見送り係なのかリフトには、もう二人?乗り込んでいた。
一人は昼間の少年、名前はたしかレジルだったか、先ほどから乗り込んだリフトでもぐもぐとこからか持ってきたの蒸かし芋を食べていた。
「おい、また食べカス落としやがったな!」
先ほどから怒鳴っている人物、いや狗?狼?形容するのならば、しいて言うなら機械狗である。
その機械狗に跨り、その躰の上でレジル少年はポリポリと芋を食べ、食べカスがぽろぽろと機械狗は駆動部の隙間に入り込んでることで不満なのか抗議をしていた。
「なんだ、旧人類俺の顔に何かついてるのか?」
「あ、いや・・・その」
そんな少年と機械狗のやり取りを俺は不思議そうに眺めていたのだろうか、機械狗が不意に俺に話しかけてきた。
「アンタもジェラルド・・・さん、と同じ体を機械化してるみたいだが・・・なんで狗なんだ?て思って」
「フレ兄ちゃんは、見た目こうだけど、結構凄いんだぜ、脚がシュババて、ナイフズババて投げれるし、んぐもごもぐ」
「だーかーら!食べかす落とすな!」
喋りながらも、まだ芋を食べるレジルの意地汚さにまたキレそうになる機械狗。
「言っておくが、俺はこの体で満足してる、これはこれで便利なんだ、人の身ではできない事や行けない場所にも行ける、例えばこんな風にな」
「ッ!」
そう言い、俺は初めて喉元にナイフが置かれていることに気づく。
機械狗の長くケーブルの様な尻尾は、触手の如くうねり、尻尾の先端は人の様な機械の指に変形をし、冷たいスローイングナイフを握り締め、俺の喉元にナイフの急襲を寸止めていた。
「おいおい、なんのつもりだ、・・・その、こうゆうのは良くないと思うぞ」
突然のことに俺は動けず、狼狽える、すこしでも動けば喉をかっ切られる気がしたからだ。
「なんだ、あの旧人類と聞いたが、思ったよりは反応がつまらないヤツだな」
俺にどんなリアクション期待してたのかしらないが、機械狗はつまらなそうにナイフを下し尻尾の様な触手を機用に操り躯体の装甲にしまう。
「あ~気にしないで、フレ兄ぃにいつもこんな感じで部隊の新人いびりするから」
「嫌な先輩だな・・・」
「いや違う、いびりじゃない、相手の度胸を試してるだけだ」
いやそれがいびりだろ。
「それにそろそろ、旧人類、旧人類て大雑把なくくりはやめてくんないかな、俺にはちゃんとアキラて名前があるんだがな」
「お~~、んじゃアキラ兄ぃ!だな、せっかくだしお近づきのしるしに芋いる?」
そういってレジルは食いかけの新しいジャガイモを差し出す。
「・・・い、要らない」
「あ、もう姉ちゃんから聞いてるかもしれないけど、俺はレジル、レジル・スゥー、よろしくなアキラ兄ぃ!」
「お、おう、よろしくな」
そう芋をもぐもぐ食べる少年はレジル・スゥーと名乗った、レイチェルの物静かで口数が少ないイメージとは対照てきに騒がしく元気な少年だった。
レイチェルと同じく赤い瞳をし、誰にでも人懐こそうな顔つき、昼間はローブのマントで判らなかったが、この施設内の人たちと似た装飾の衣装を纏い、右腕には弓を模したかの様な入れ墨が施されていた。
歳はおよそ妹の舞と同じかそれより一個下かてところだろ。
そしてレジルを印象付けるのは短パンから伸びる太腿の下が、機械の義足、およそ年ごろの少年の体には似つかわしくないほど、無骨で剥きだしの機械の足。
「・・・」
そして、この流れからのレジルが乗っかっている機械狗は先ほどからリアクションせずダンマリを決め込む。
「・・・」
「・・・」
おいおい、この流れなら自然に軽く自己紹介しておいてもバチは当たらんだろ。
そう俺は心中毒ずく。
「あ、そうだ、レジル」
「ん?どしたんアキラ兄ぃ、やっぱ芋欲しいのか」
「いらねーよ!いや、レイチェルはどうした?」
「あ、ん~多分自室で謹慎言い渡されてると思うよ」
そう、俺をこの基地に案内した張本人のレイチェルがどうなったか気になったので、レジルにそのことを訪ねた。
「なるほど、変な招待状と無断接触したてことで咎められてるのか」
そう俺は納得した。
「招待状?なんのこと?接触したのは姉ちゃんの指示だったけど、そっちはしらないな」
「ん?お前らじゃないのか?夜中、俺の部屋の窓に変なラブレター貼ったんじゃないのか?」
レジルが不思議そうに首を傾げるので、詳しくおれが説明するがレジルは増々訳が分からないという表情をする。
「ん~知らないかな、姉ちゃんからもそんな話聞いてないし、それに俺と姉ちゃんは別に頭イイ訳じゃないから、地下の心臓炉を管理してる大人と違って古代文字の読み書きできないしな」
「・・・、じゃ一体誰が?」
ーガコン、ピピッピピッ・・・・
思考の迷路に入りかけた俺を、小さくアラートが意識を呼び戻す。
「おっと」
「お、ついたついた」
僅かに足場が振動し、エレベーターリフトが地上の目的地に着く。
「アキラ兄ぃ、この先の通路進めば地上に出る、あとはなんとか自分で帰れるっしょ」
そういい俺はリフトエレベーターから降りる。
「んじゃアキラ兄ぃ、またなぁ~」
「お、おう案内サンキューな」
「サンキューてなんだ?美味しいの?、まぁいいや、じゃねー」
俺たちを乗せたリフトが元の階層に戻るため、降下を始める
「・・・、フレデリックだ」
「?」
別れ際、手を振るレジルとは対照的に、機械狗はボソっと呟く。
「て、いまさら時間差で自己紹介かよ」
フレデリックと名乗った機械狗とエルフの少年レジルが去るのを俺は見送った。
「さてと・・・、屋敷に帰るか」
『ですね』
「はぁ、なんかどっと疲れたぜ」
『いろいろ先が見えて来た感じですね、得た情報の精査も必要ですが、今日はお疲れ様です、あ、そうだ!頭なでなでしてあげましょうか?』
「いらんわ」
俺の体の中に同居人のAIアリスは隣で屈託のない笑顔で俺を労わる、当然ながガキでもないし幼女にバブみを感じる趣味はないので頭なでなではお断りだ。
「そろそろ腹減ったな・・・」
よくよく考えたら昼間のピザロールとレイチェルから渡されたキャラメルなどを口に入れてからしばらく立つ、地上はすでに夜、腹が空いてくるのは自然な生理現象だった。
『昼間のピザロールの店はまだやってるみたいですよ』
アリスは衛星から地上の写真を表示する。
「んむ~そうだな、小腹も空いたし帰りついでにまた買ってくるかなぁ」
そう思案しつつ俺とアリスは地上への通路をを行き、地上のガラドニカ王国へと帰還したのだ。




