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#2-15 妹の居場所 【キャラデザあり】

挿絵(By みてみん)

ジェラルド・ヒルベルトのキャラデザ

--- 



 例えて感想を述べるならそれは、映画やドラマで見かける証券取引所の様な場所だった。

 いくつもの先進的な浮遊ディスプレイ映像が飛び交い、緑や白い服のエルフたちが事務仕事をするかの様に、手元の電子キーを打ち込んではモニターの情報が次々と更新されていく。

 

 「何をしてるんだ、あのエルフたちは・・・」


 そんな働き(エルフ)をを見下ろしが一望できる艦橋部屋に案内され、窓からそのエルフたちの働きを眺めて観察していた。


 『ふむ、プロトコルレガリア?未見の情報ですね、・・・しかしこの莫大なデーターを手動で断片情報再並列デフラグメーションとはなかなかご苦労なことです』


 ふむふむと流れていく立体浮遊ディスプレイに表示される情報の断片を眺めてアリスはそう呟く。

 

 「あのアリスさん、俺に判る言葉で頼む」

 『ん~そうですね、レガリアていう、謎のデーターの修復と圧縮をエルフたちは行ってるみたいですね、そのレガリアというデーターがなんなのかはいまのとこ不明ですけどね』

 「レガリア?・・・ん・・・王冠て意味だっけ?」

 『正確には王権の象徴を表す物品や神器などを指しますね、日本人なら ヤタノカガミやヤサカニノマガタマ、アマノムラクモノツルギと言えばピンと来るんじゃないですか?』

 「日本でいう三種の神器てやつか」


 なるほどレガリアか、そう仰々しく冠するほどの何かはこいつらにとっても大事なものなのかも知れないが、いかんせん

 

 『しかし、先ほどの相転移炉にしても、この施設の利用にしても、地上のガラドニカの民とは文明水準が違いすぎます』

 「そうだな、このエルフたちはどちかと人類がいた時代から地続きで存在してみるみたいな・・・文明人てやつ?」


 ―ピピッ ガシャ・・・


 そうアリスと窓の外を観察しながらあーだーこーだ意見を出しながらの議論は、部屋の機械ドアが開く開閉音で中断をする。


 「あんたか」

 「大分待たせてしまったな、少年」

 「いいさ、あんたらのお仕事ぶりを見学できたし」

 「とりあえず座ってくれたまえ」


 そう貌無しが言うと、窓しかない殺風景の部屋の地面から一部床がせり上がり、椅子へと変形する。


 「生身の体だと、お世辞にも座り心地は良いとは言えないが、我慢してくれるとありがたいね」

 「お構いなく、それよりアンタに聞きたいことが多すぎる」

 「だろうな、いいだろう、AIシステムの許可も出た様だし、お互い双方の認識を擦り合わせていこう」


 気づけばアリスは妙に可愛いらしいピンクのウサギ柄の椅子に座っていた、どうやらアリスなりに話合いに応じる態度の現れらしい。

 それより主人の俺よりも先に座るコイツ・・・いや、そこはつっこまないでおこう・・・。

 とりあえず俺は促されるまま、冷たく硬い硬質な椅子に腰を据え、全身サイボーグの貌無しとの面談?が始まった。



---


 

 「さて少年、君のことは少なからず情報は掴んでいるが、それでも君自身から自己紹介して欲しい」

 「・・・わかった」


 自分を表す名前、それをもう一度思い出す。

 俺の名前は・・・。


 「俺はアキラ、速見ハヤミアキラだ、あんたらの言う旧人類オールドメンてやつらしいがね」

 「自己紹介ありがとう、私はジェラルド・ヒルベルト、この場の現場責任者と言ったところだ」

 

 そう貌無しことジェラルドは俺と同じく自己紹介をする。


 「そうか、じゃジェラルドさん、まず聞きたいことは山ほどあるが、だが・・・まぁそれはまだ別にいい、単刀直入に言う俺は≪EXEエグゼ≫と会いたい、聞かなければいけないことがある」


 妹の居場所を知っているであろうAI≪EXEエグゼ≫、この王都まで来た要因の一つだ。

 レイチェルの言葉を信じるなら、こいつらの組織に≪EXEエグゼ≫を匿っているのは確かだ。


 「ふむ、そうだったな、君は妹を探してるのだったね」

 「そんなことより≪EXEエグゼ≫に面会させてくれ」

 「すまないがそれは出来ない、いま現在彼女は大事を成している、それまで会うことは出来ないのだ、レイチェルができない約束をしたのを私から謝罪をしよう」

 「そんな・・・ッ」


 落胆、そんな感情が俺の内から湧き上がる、もちろん目前まで情報源にたどり着いたのだから、俺はこのまま食い下がる気などはなかった・・・。


 「そう判りやすく落胆するな、まだ会わすわけにはいかないが・・・≪EXEエグゼ≫は君に関心がある、三日後の地上の式典が終われば君と会いたいそうだ」

 「・・・それは朗報なのかな、あと三日の辛抱というわけか、て式典?」

 「待つ必要はない」


 スっと俺の目前に立体映像で球体が表示される。

 何故ジェラルドが今それを出したのか判らなかった。


 「君の知りたいことはじかに聞いてきた、そのために少し君を待たせてしまったがね」

 「なんだこれは?」


 見慣れた球体、誰もが知っている球体。


 「君の妹が現在保管されてる場所だ」

 「おい、まて・・・本気か、これて・・・」

 「冗談ではないさ、正確に≪EXEエグゼ≫こと南条博士が≪中央ブレイン≫のデーターベースから問い合わせしてきた情報だ」


 その球体は、見覚えがあるクレーターを持ち、誰もが一度は教科書はたやテレビで目にする、地球ノヴァの衛星。


 『マスター、これは』

 「わかっている、こいつは月・・・なのか!」

 「そうだ、君の妹、速見ハヤミマイ氏は現在、惑星破滅派カタストロフィノヴァの総本山、≪月の裏側ダークサイド・ムーン≫に冷凍睡眠で保存されている」

 「・・・嘘だろ」

 

 ジェラルドのもたらした情報から判明した妹の居場所、冗談でなければ地球の衛星である月に妹は保管されていることになる。

 その衝撃な情報に、俺はいささか眩暈がしてきた、月て・・・あの月だよな。

 脳内で月への行き方を考えてみたが、まったくわからん、飛竜リンドヴルムで行けるかどうか脳内でシュミレーションしてみたが、いや無理だろ。

 いくら学のない俺でも地球の引力はとんでもない重さぐらいは知っている、無論飛竜リンドヴルムが地球の引力を振り切る第二宇宙速度を出せるわけがないのは、何度も操作してる俺なら断言できる。


 「・・・」

 『マスタ~しっかりしてくださいよ!ほら!シャキッとしてくださいて』 


 アリスの呼びかけも虚しく、ただただ途方に暮れる、打つ手無しとはこのことだ。


 「アキラ君、悲観するのにはまだ早い」

 「え?」

 「我々が君を月へ送れると言えば、興味はあるか?」

 「・・・その話、詳しく教えてくれ」

 「・・・よかろう、では話の擦り合わせを続けよう」


 僅かだが頭までサイボーグ化してかおがないはずのジェラルドが、俺には不敵に微笑んだ様に見えたのだ。

 

 



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