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#2-2 寄り添うシステムの下で 【ロボデザイン-挿絵あり】

リンドヴルムのおよそのデザインです、余裕があればそのうち清書するかも。

挿絵(By みてみん)


 およそそこは真っ白な室内だった、天井はやや低く中央は異質と言える物体が鎮座していた、《Δデルタ》の真っ黒な《石版モノリス》だ。 

 《石版モノリス》の代言者の如くレールに吊るされた球体機械の前に、エルフピュティはメタリックな機械の椅子に身を任せ相対する様に座っていた、同伴し立会い人でもあるアキラはすこし遠巻きで真っ白の空間の壁に身をもたれ事の推移を見守ってた、この部屋全体が振動スピーカでどこにいてもゼロ距離と同じく、ほんの些細な声も聞き取れる。


 『少々お待ちください、書類を出します』

 「判りました」


 球体が小さく機械の軋む音を立て、吊るされたそれは変形を開始した。

 球体全体がぱっかりと縦半分に開閉し、機械の亀裂から展開されるいくつかの電子カメラのレンズが、相対して座ってるピュティの姿を鏡の様に映し出す。

 開閉により横へ伸び始めた各半球体は変形トランスフォームを開始し、やがては細長く枝の様な長い機械の手を宙吊りの機械から垂れ下げてく、やがて枝の手は白い床に手が届きそこから突き出された取っ手に手を取る、ずっしりと重そうな質量を細い機械で引き持ち上げる、そしてそこから音もなく椅子に座ってるピュティの前に地面が競りあがり、それが机となる。 

 ブロック机が地面から引き出され、今度は機械の枝手は天井へ手を伸ばし、天井の一部分の取っ手をとり引き出す、天井から長方形のケースを引き出し、それを机の上へ倒し置く。

 長方形のケースが《Δデルタ》の信号に反応したのか、『ピピッ』と短く小気味良い音が鳴り、箱が展開し中から数個のファイルと小型《石版モノリス》とよく似た透明な水晶が置かれていた。

 《王蟲オーム》の事件後ある程度の経緯、エルフの起源、人類の超文明を説明し、ある程度は理解を示したピュティではあったが、やはり実際で見ると不可思議な物で、箱の展開の仕方や未知の技術を前に、目がこれでもかというぐらい見開いて、興味深く書類を取る機械の手の動きを目で追っていた。


 『書類の準備が出来ました、では、開始します』

 「お願いします、精霊様」

 『申請者、ピュティ・ドリアドネで間違いないですね?』

 「は、はい!」

 『ピュティ・ドリアドネ以降【甲】とし、緊急プロトコルにのっとり今回受付をする《Δデルタ》AI所属アンバー以降【乙】とする、以降問題がある箇所はすぐに申し付けてください』

 



 『グリニッジ標準時間--日--時  申請第----.----.----.----号』


 『地上部族及び代表【甲】は当施設の地上占有権を主張す、これを【乙】が申請を受理し、《中央ブレイン》へ審査を提出す』

 『第一条・該当地域地上主張権は批准日より即時正当効力を持つ』

 『第二条・【甲】にて発生する部族内的争いに【乙】は干渉をしない、但し【甲】へ例外的機械災害への対処義務を【乙】が負うことにす』

 『第三条・【乙】にて深刻な損害を負うことによる、人的援助義務を【甲】が負うことにす』

 『第四条・・・』


 ・・・

 ・・

 ・


 『最終条項・【甲】【乙】共の社会的道徳を守ることを遵守とす』

 『《中央ブレイン》申請書提出後、審査期間中申請地域はレベルEの保護指定を受けます』

 『・・・』

 『《中央ブレイン》の審査期間は・・・期間不明です』


 そう幾つもの条例が説明が終わると細い枝手が読み上げてた書類を水晶の上に置き、書類は鉱物である水晶石版に吸い込まれる様書類が沈んでいく、水晶の中央まで沈むと書類は止まりその場で固定された。


 『ではピュティ、これを』

 「は、はい!大事にします!」


 書類を保存した水晶は機械のアームで綺麗に装甲を着けられ、持ちやすい様手提げをつけられピュティに手渡され、彼女はそれを慎重に拝借する。

 

 『これで一先ず、この一帯は暫く安全です』


 ピュティが王都へ一時戻る前に、この儀式を執り行うため、俺はピュティを連れて来た。

 それはこの施設引いてはこの一帯の主張権を旧人類オールドメンである俺立会いの下《中央ブレイン》に申請するためだ、果たしてエルフ族にたいして主張権が認められるのかどうかは正直わからないが、本命は《中央ブレイン》の審査期間は主張権を求める地域の保護指定を受けれるシステムを逆手に取った街を守る方法だ。

 つまり現在AI間の通信障害に加えて《中央ブレイン》の応答無視、つまりその間申請したエルフの土地の主張権は《中央ブレイン》が審査を行なってないであろう今、事実上審査が開始されるまで世界システムの保護下に入る、いわば申請した者勝ちの状態。

 そうなれば《惑星大変革派カタストロフィノヴァ》でも簡単にこの地の街に手を出せなくなる、何せ《中央ブレイン》の公式の保護地域指定を受けてる、流石のAIたちも《中央ブレイン》には弓は引けない。

 だが無論これは稀なケースだ、ピュティの街は森から伸びる施設全体の真上に居た、いわばこの施設内の土地エリアを長期間の時効取得、そのために主張権を申請が出来た、不安定な点といえば今日明日にでも審査が開始され突っぱねられたら保護下も解除されるわけだが、まぁ結局ないよりやった方がいいと納得して、今回街で一番位が高い 姫のピュティ をつれてこのまちのエルフ代表として申請を出して貰うことにした。

 なによりこのアクションで《中央ブレイン》になんらかの反応がないかも試していたが・・・、


 「軽い・・・あんな重そうな水晶だったのに」


 さきほど交わした申請書類と仮契約書が入った水晶を眺めながら、不思議そうにピュティは呟く。

 そんな彼女の反応を他所に吊るされた機械は枝手を再度変形させ体に戻す、そして最初にみた丸い球体へとかわりそのままレールを沿い部屋を出て行った。

 気付いたら机も収納され、また何もない白い空間に俺たちと黒く鎮座する《石版モノリス》だけ残されていた。

 不思議そうにまだ水晶版を眺めてるピュティに俺は歩み寄り、それと合わせるかの如く、ピュティの側に一人の女性が出現する。

 網膜に投影された立体映像の女性は、


 《Δデルタ》AI・アンバー


 先の《大王蟲ギガオーム》の襲撃事件時俺たちに力を貸してくれた《惑星共存派ユニオンノヴァ》のAI。

 

 「どうだアンバー?何か反応は」

 『電子書類は提出しましたが、やはり反応がありません』

 「ふむ・・・また情報の一方通行か」

 

 予想はしてたが、やはり俺たちの起したリアクションにもなんら回答はない。


 「まぁ、当初の予定どおりこの街の保護指定は出来た、それでも上出来だ」

 「あの、アキラ」

 「ん?なんだ」


 俺に何か言いたそうにピュティはもじもじとしてる、そのなんともいえない仕草にドキッとする、ピュティはAIから授かった水晶版を大事に胸に抱え上目遣いで俺の瞳を覗きこんで。


 「ありがとう・・・」


 蒼碧に光る宝石の様な魔眼に見つめられ、化石になったかの様に俺は魅了される、そんな化石と化した俺を謝意の言葉が金の針如く俺をつつき解放する。

 「まぁ、その完全に安全になったわけじゃないし、それに感謝するなら俺じゃなくてアンバーにしてやってくれ」


 もうすこしその青い宝石を眺めたかったが、ピュティに声を掛けられたことで、急に気恥ずかしさが沸いてきて自分の言葉が僅かにキョドってしまう。

 

 「うん、アンバー様、ガラドニカ王国ドリアドネ頭首、街の皆を代表して礼を申し上げます、私たちのためにありがとうございます」

 

 そう言って水晶版を抱いたまま、ピュティは立体映像であるアンバーへ深々頭を下げ礼を言う。


 『いいのですよ長耳族エルフの子、ピュティ頭を上げてください』


 初対面に抱いて印象とは変わって、アンバーは慈愛の女神の様に微笑み頭を下げるエルフの姫に面を上げる様伝える。

 そう言って俺とピュティを交互に見てアンバーは続く。


 『これはあくまで対処療法ですが、保護指定によりこの一帯は《惑星大変革派カタストロフィノヴァ》が簡単に手出しできなくなりました、また外部から《質量転移空間ディストーションフィールド》の指定地域にも外されます、』

 「・・・」

 『もう安全です』

 

 それを聞いたピュティは安堵声を漏らし、心の底から嬉しさが湧き上がったのを、側に居た俺でも判った。

 《質量転移空間ディストーションフィールド》の指定地域から一時的ではあるが除外された今、街の住人たちの仮初とはいえ安全は一先ず保障されたわけだ。

 


 《質量転移空間ディストーションフィールド》、あの《王蟲オーム》の群れの様にワープをしてくることを指す、ワープにもいろいろ制限があり実はそこまで便利な代物ではないことをアンバーとアリスに教わった。

 曰く、ワープ先にまず座標指定ビーコン送信者がワープ者に座標を送らないといけない、ワープ者はその座標を頼りワープを開始し目的地へいく、座標とは3次元空間そのもの座標としてるため、座標指定を受けないで《質量転移空間ディストーションフィールド》をした場合、星の自転と公転で目的地は大きくズレ、壁の中にいれば御の字、最悪惑星との座標ズレで宇宙に飛ばされ星の藻屑となる。

 そしてなにより《質量転移空間ディストーションフィールド》とは空間と空間の蟲穴ワームホール通過では有機物は耐え切れず必ず肉体が変質し死ぬ、彼女たちの説明で、いくつかの参考映像ではガラスケースと融合して死んでた哀れなモルモットを見せられた、事実上《質量転移空間ディストーションフィールド》とは無機物である機械AIたちしか通れず、蟲穴ワームホールでスキな場所へいくことは俺にもエルフたちにも無理なのだ。

 では街へ《質量転移空間ディストーションフィールド》でワープしてきた《大王蟲ギガオーム》の座標発信者は誰か?それもアンバーが教えてくれた、スキャンにて街の中心地下牢にて《王蟲オーム》が居た、正確には半壊状態だったが、座標送信機能が生きていて子機の座標を元に《大王蟲ギガオーム》はワープしてきわけだ。

 ピュティに聞けば俺が来るより数週間前に一度、街周辺ではぐれ《王蟲オーム》が現れて、街の兵士総出で対処し蟲を倒した、その際蟲の死骸を研究ために街の中へ持ち込み、後日王都の学者さんたちへ搬送予定だった、結果的にだがその《王蟲オーム》の残骸はこの街へ招かざる者を呼び込んでしまう。

 目覚めた日アリスが俺のせいではないと言った理由がそれであった、自惚れではあるが結果的に俺は通りかかったお陰で街は助かった、自分がここに来た意味があったことに僅かながら嬉しく誇りに思う、速見晶じぶんはようやくこの新星ノヴァで居場所が認められた様な気がしたのだ。






 そして俺たちはある程度説明をアンバーから受け、その白い空間から立ち去る、その荷物を持とうかと尋ねたが彼女に断わられてしまう。

 ピュティにとって質量的重さを感じないはずの水晶板クリスタルを大事に胸に抱えた、この水晶が支えてる命の数を王族であり姫であるピュティはこの上なく重く感じ大事にする。

 結局の所《中央ブレイン》の気紛れでいつでも崩れる薄氷の上の保護システムでも、世界の圧倒的機械暴力の前に、彼女たちエルフはそれに一時の安息を求めて縋り寄る辺とする他なかった。

 




 ---



 

 俺とピュティは白い申請室から出たあとアンバーに案内されるがまま、機械の修理ドックへ来た。

 修理ドックには機械のクレーンや多関節の触手の様な機械アームが竜を改修をしていた、そしてその機械たちの作業空間に俺らが知ってる物体たちが居た。


 「《王蟲オーム》?!」


 意外なことにそれはつい先日街を襲った《王蟲オーム》が蟻の様に施設内を所狭しに資材を運んだり、レーザー機器で何かの資材を切り分けたりと働いてた。


 『おや、驚きましたか』

 「こいつらは・・・」

 「《王蟲オーム》・・・」

 『恥かしい話しですが、この施設の修理用機械だけでは大破した機体2機の修理に時間が掛かりますので、そこで制御を失ったまだ稼動ができる機体をこちらで引き取り、作業用の労働機械として使ってます』

 「なるほど」

 『また破壊された《大王蟲ギガオーム》と《王蟲オーム》は解体し、巨大・物質転換装置レプリケータにかけ、新たな修理用の素材を作ってますね』

 「アキラ・・・《王蟲オーム》たちは襲ってこないょね・・・」



 元々は敵AIディアンナの操作する《大王蟲ギガオーム》の子機にあたる多脚機械《王蟲オーム》ではあるが、どうやらいまではアンバーの子機となりこうして《飛竜リンドヴルム》の改修作業の役に立っているわけだ。

 と一通りそんな説明をアンバーから説明され、俺自身は納得をしたが、やはり当事者であるピュティにとってそう簡単に割り切れるものではなく、俺の後ろに隠れてはそっと修理ドックで働く《王蟲オーム》たちをじっと警戒してた。

 まったくもって不本意ではあるが、ピュティは気づかないのか俺を壁にそのたわわな乳を押し付けて、《王蟲オーム》たちに気を取られてる、また後ろにくっついてるピュティは俺の耳元で不安そうに囁く金糸雀カナリアの声が男の持つ保護欲をくすぐられ、背中に押し付けられる胸の感触が男の違うとこ振るい立たせてしまいそうになる。

 ここまでナチュラルに男をたぶらかすピュティの方が《王蟲オーム》より遙かに怖い、これが計算ずくだとしたら喜べピュティお前がナンバーワンだ、乳のサイズ的にも・・・。

  

 『マスターどうでした?結果は』


 そんな俺たちに声を掛けて来たのは聞きなれたアリスの声だった、俺たちを見下ろす様に《飛竜リンドヴルム》の肩に座り脚をぶらぶら遊ばせている。


 「知っててわざと聞くのか、お前は」

 『いえいえこれでも、マスターのプライベートは尊重してるのですよ、他の場所で操作するときや不在時はなるべくマスターの内部情報は見ない様にしてますよ、いやホントに』

 「なるべく・・・なのか」


 そんなアリスのの問いかけを俺は適当に返し、まだ改修を行なわれてるその機体を見上げる。

 最初にアンバーに遭遇したときや《王蟲オーム》襲撃時に慌てて乗り込んだ時にも、チラと見た《飛竜リンドヴルム》は当初の真っ黒なイメージカラーと打って変わって、ところどころ白い装甲が付けられ、ほどよく白と黒のカラーリングがいい味になり、控えめに言ってもかっこいい。


 「ねぇアキラ、《飛竜リンドヴルム》は鎧を着てるの?」


 相変わらず後ろにくっつき胸を押し付けてくるピュティは、呟く。

 頼むから俺の耳で囁くのやめてくれ・・・くすぐったくて変な気分になる。

 

 『《大王蟲ギガオーム》の機体爆発を直撃を受け《飛竜リンドヴルム》の装甲がたいぶボロボロになりましたので、私が《大王蟲ギガオーム》を解体しその装甲の一部を取り付けました、お陰で従来の量産型タイプのスレイヴ・マキナの装甲強度が約40%上がりました』

 

 そうアンバーが説明を俺たちにしてくれた、まぁようは死んだ蟲の殻を剥いで竜に貼り付けてるわけだ。

 無論ピュティはまだ難しい機械の専門用語にはちんぷんかんぷんなのか、《大王蟲ギガオーム》の鱗を鎧代わりに着てる程度の認識だ、まぁもっとも今回はその認識で間違いないと思う。


 「しかし・・・なかなかコイツは・・・」

 「かっこいい」

 「かっこいいですね」


 当初の《飛竜リンドヴルム》の真っ黒なイメージを包み込む白の装甲が絶妙な配置をされ、機械工学的美を醸し出す、それは人間である俺もエルフであるピュティでも同じ感想だった。


 『ちなみに装甲のイメージデザインしたのこの わ た し です』

 

 そんな俺たちにアリスは誇らしげに、えへん と《飛竜リンドヴルム》の上で鼻を鳴らす。

  

 「それに余った《大王蟲ギガオーム》の素材でいろいろ・・・作りました、ちなみに中の方もすこしだけ内装を変えましたよ」

 

 アリスはわざとらしくニヤリとピュティに親指を立てる、そこでピュティは顔がパァと明るくなり、返す様にニパァと親指を立てる、なんだ、こいつら?


 『で、マスター申し訳ないのですがちょっと働いてもらっていいですか』


 ニッコリとアリスは意味ありげに笑みを俺に向ける、それは妹のマイがよく使う買い物で荷物持ちを頼むときの笑顔と似てたのだ・・・お前は俺の内部情報をなるべく・・・見ないんじゃなかったけか・・・。




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